11.血液・造血器系

ウェイリズ(リルザブルチニブ)の作用機序【ITP】

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2026年5月29日、厚労省の薬事審議会・医薬品第一部会にて、「免疫性血小板減少症(ITP)」を対象疾患とするウェイリズ(リルザブルチニブ)の承認が了承されました!

現時点では未承認のためご注意ください。

サノフィ|申請のニュースリリース

基本情報

製品名 ウェイリズ錠400mg
一般名 リルザブルチニブ
製品名の由来
製造販売 サノフィ(株)
効能・効果 持続性及び慢性免疫性血小板減少症
用法・用量 1日2回経口投与?
収載時の薬価
発売日

 

ウェイリズは、免疫性血小板減少症(ITP)では初のBTK阻害薬です。

 

BTK阻害薬は、主に血液腫瘍領域で用いられていました。

 

また、近年では癌以外の領域でも応用されるようになりましたね。例えば、同時期に登場したラプシド錠(レミブルチニブ)もあります。

ラプシド(レミブルチニブ)の作用機序【慢性蕁麻疹】

続きを見る

 

これまで免疫性血小板減少症の治療は限られていましたので、治療選択肢が増えることは朗報ですね。

 

今回は疾患解説と共に、ウェイリズ(リルザブルチニブ)の作用機序について解説していきます。

 

実体験記事

施設・在宅特化の「しろくま薬局(RISE)」で仕事と趣味のバレエを両立されている薬剤師の実体験を記事にしました!よろしければご覧くださいませ♪

免疫性血小板減少症(ITP)

免疫性血小板減少症(ITP:Immune thrombocytopenia)は、血小板減少を来す自己免疫性疾患で、難病に指定されています。1)

 

以前は「血小板減少性紫斑病(ITP:Idiopathic thrombocytopenic purpura)」と呼ばれていましたが、近年では、自己免疫的機序によることから「免疫性血小板減少症」と呼ばれるようになりました。

 

主なは出血症状で、皮下出血(点状出血又は紫斑)を認めることもしばしばあります。その他、歯肉出血、鼻出血、下血、血尿、頭蓋内出血なども起こり得ますね。

 

急性型と慢性型(持続型)があり、特徴は以下の通りです。

  • 急性型:小児に多い。ウイルス感染等によって発症し、6か月以内に自然治癒する。
  • 慢性型(持続型):成人や高齢者に多い。明らかな原因は無く、寛解と増悪を繰り返す。

 

今回ご紹介するウェイリズは、慢性型(持続型)の免疫性血小板減少症に使用しますね。

 

原因・病態

明確な原因は不明ですが、感染症(ヘリコバクター・ピロリなど)によって引き起こされることもあります。

 

また、病態として、血小板に対する抗血小板自己抗体が産生されているのが特徴です。

産生された自己抗体が血小板に結合することで、脾臓のマクロファージに取り込まれやすくなり、破壊(分解)が促進される結果、血小板減少が引き起こされます。

 

抗血小板自己抗体は、B細胞から産生されていますが、その産生にはブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)を介したシグナル伝達が関与しています。

正常時よりもBTKが活性化することで、抗血小板自己抗体が過剰に産生され、ITPの発症・進行が引き起こされていると考えられていますね。

ITPでは、BTKの過剰亢進によって血小板に対する抗血小板自己抗体が過剰に産生されている

 

治療

ヘリコバクター・ピロリに感染している場合、まずはそちらの治療を優先します。

それ以外が原因の場合でも、治療の必要性がないと判断されれば経過観察が基本です。

 

血小板が2万/μL未満や、2~3万/μLで出血症状があるなど、緊急性を要する場合や、ピロリ除菌が無効だった場合、第一選択薬は副腎皮質ステロイドによる治療です。

その他、脾摘(脾臓を摘出する手術)や、トロンボポエチン(TPO)受容体作動薬などが行われることもありますね。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
今回ご紹介するウェイリズは、上記いずれかの治療歴がある場合に効果が期待されています!

 

同様の治療ラインでは、チロシンキナーゼ(Syk)阻害薬のタバリス(ホスタマチニブ)が使用されることもあります。

タバリス(ホスタマチニブ)の作用機序【ITP】

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ウェイリズ(リルザブルチニブ)の作用機序:BTK阻害薬

ウェイリズは、抗血小板自己抗体を産生しているB細胞のBTKを選択的に阻害する薬剤です。

ウェイリズ(リルザブルチニブ)の作用機序:BTK阻害薬

 

BTKの阻害によってB細胞の活性化・増殖が抑制されることで、抗血小板自己抗体の産生が抑制されると考えられています。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
この結果、ITPの症状緩和や進行抑制に繋がります。

 

エビデンス紹介:LUNA3試験

根拠となった第Ⅲ相臨床試験(LUNA3試験)をご紹介します。2)

本試験は、持続性/慢性ITPの患者さん(治療歴あり)を対象に、ウェイリズとプラセボを比較した試験です。

 

主要評価項目は「持続的な血小板反応が得られた患者さんの割合」とされ、結果は以下の通りです。

試験群 ウェイリズ群 プラセボ群
持続的な血小板反応が得られた患者さんの割合 23% 0%
p<0.0001

 

木元 貴祥
木元 貴祥
反応率はウェイリズ群で有意に高い結果でした!

 

副作用

正式承認後に更新予定です。

 

用法・用量

正式承認後に更新予定です。

臨床試験では、1日2回経口投与とされていました。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

ウェイリズはこんな薬

  • 持続性/慢性ITPに使用する
  • ITPでは初のBTK阻害薬
  • B細胞のBTKを阻害することで抗血小板自己抗体の産生を抑制
  • 1日2回経口投与

 

木元 貴祥
木元 貴祥
これまで免疫性血小板減少症の治療は限られていましたので、ウェイリズは新たな治療選択肢として期待できます!

 

以上、今回は免疫性血小板減少症の疾患解説と共に、ウェイリズ(リルザブルチニブ)の作用機序について解説しました。

 

引用文献・資料等

  1. 難病情報センター|免疫性血小板減少症(指定難病63)
  2. LUNA3試験:Blood. 2025 Jun 12;145(24):2914-2926.

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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