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2022年12月23日、「慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)」を対象疾患とするタバリス(ホスタマチニブ)が承認されました!
キッセイ薬品工業|ニュースリリース
基本情報
製品名 | タバリス錠100mg/150mg |
一般名 | ホスタマチニブナトリウム水和物 |
製品名の由来 | 特になし |
製造販売 | キッセイ薬品工業(株) |
効能・効果 | 慢性特発性血小板減少性紫斑病 |
用法・用量 | 通常、成人には、ホスタマチニブとして初回投与量100mgを1日2回、経口投与する。 初回投与量を4週間以上投与しても目標とする血小板数の増加が認められず、 安全性に問題がない場合は150mgを1日2回に増量する。 なお、血小板数、症状に応じて適宜増減するが、最高投与量は1回150mgを1日2回とする。 |
収載時の薬価 | 100mg:4,188.00円 150mg:6,226.80円 |
発売日 | 2023年4月6日(HP) |
タバリスは脾臓マクロファージのチロシンキナーゼ(Syk)を選択的に阻害するといった新規作用機序を有している薬剤です!
これまで特発性血小板減少性紫斑病の治療は限られていましたので、治療選択肢が増えることは朗報ですね。
今回は疾患解説と共に、タバリス(ホスタマチニブ)の作用機序について解説していきます。
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
特発性血小板減少性紫斑病(ITP:Idiopathic thrombocytopenic purpura)は、血小板減少を来す自己免疫性疾患で、難病に指定されています。1)
近年では、自己免疫的機序によることから「免疫性血小板減少性紫斑病」と呼ばれることもあるようです。
主なは出血症状で、皮下出血(点状出血又は紫斑)を認めることもしばしばあります。その他、歯肉出血、鼻出血、下血、血尿、頭蓋内出血なども起こり得ますね。
急性型と慢性型があり、特徴は以下の通りです。
- 急性型:小児に多い。ウイルス感染等によって発症し、6か月以内に自然治癒する。
- 慢性型:成人や高齢者に多い。明らかな原因は無く、寛解と増悪を繰り返す。
今回ご紹介するタバリスは、慢性型の特発性血小板減少性紫斑病に使用しますね。
原因・病態
明確な原因は不明ですが、感染症(ヘリコバクター・ピロリなど)によって引き起こされることもあります。
また、病態として、血小板に対する抗血小板自己抗体が産生されているのが特徴です。
産生された自己抗体が血小板に結合することで、脾臓のマクロファージに取り込まれやすくなり、破壊(分解)が促進される結果、血小板減少が引き起こされます。
また、マクロファージに取り込まれる際、抗血小板自己抗体がマクロファージのSykと結合することで取り込みが促進されると考えられていますね。
Syk:Spleen tyrosine kinase(脾臓チロシンキナーゼ)
治療
ヘリコバクター・ピロリに感染している場合、まずはそちらの治療を優先します。
それ以外が原因の場合でも、治療の必要性がないと判断されれば経過観察が基本です。
血小板が2万/μL未満や、2~3万/μLで出血症状があるなど、緊急性を要する場合や、ピロリ除菌が無効だった場合、第一選択薬は副腎皮質ステロイドによる治療です。
その他、脾摘(脾臓を摘出する手術)や、トロンボポエチン(TPO)受容体作動薬などが行われることもありますね。
タバリス(ホスタマチニブ)の作用機序
タバリスは脾臓マクロファージのチロシンキナーゼ(Syk)を阻害するといった作用機序を有する薬剤です!
脾臓マクロファージが血小板を取り込む際、Sykを介することから、これを阻害することで血小板の破壊・分解が抑制される考えられています。2)
この結果、ITPの症状緩和や進行抑制に繋がります。
エビデンス紹介:FIT1/FIT2試験
根拠となった臨床試験の一つに、海外で行われた2つの第Ⅲ相臨床試験(FIT1試験、FIT2試験)があります。3)
両試験は、持続性/慢性ITPの患者さん(治療歴あり)を対象に、タバリスとプラセボを比較した試験です。
主要評価項目は「24週目までの安定した反応率(14~24週目までに2週間毎に6回来院のうち、少なくとも4回で血小板数が50,000/μL以上と定義)」とされ、両試験共に主要評価項目を達成しています。統合した結果は以下の通りです。
FIT1/2試験の統合結果 | タバリス群 | プラセボ群 |
24週目までの安定した反応率 | 18% | 2% |
p=0.0003 |
副作用
10%以上に認められる副作用として、下痢(31.3%)、悪心などが報告されています。
重大な副作用としては、
- 重度の下痢(1.7%)
- 高血圧:高血圧(21.2%)、高血圧クリーゼ(0.6%)
- 好中球減少:好中球減少(5.6%)、発熱性好中球減少症(0.6%)
- 感染症:肺炎(1.1%)等
- 肝機能障害(17.3%):ALT(8.4%)、AST(5.6%)、ビリルビン(2.2%)等
が挙げられていますので、特に注意が必要です。
用法・用量
通常、成人には、ホスタマチニブとして初回投与量100mgを1日2回、経口投与します。
投与開始4 週後以降に血小板数の増加が認められず、安全性に問題がない場合は150mg を1日2回に増量します。
なお、血小板数、症状に応じて適宜増減しますが、最高投与量は1回150mg を1日2回とされています。
収載時の薬価
収載時(2023年3月15日)の薬価は以下の通りです。
- タバリス錠100mg:4,188.00円
- タバリス錠150mg:6,226.80円(1日薬価:9,234.30円)
算定根拠等については以下をご確認ください。
-
【新薬:薬価収載】13製品(2023年3月15日)
続きを見る
まとめ・あとがき
タバリスはこんな薬
- 慢性ITPに使用する
- 脾臓マクロファージのチロシンキナーゼ(Syk)を阻害し、血小板減少を抑制する
- 1日2回経口投与
以上、今回は特発性血小板減少性紫斑病の疾患解説と共に、タバリス(ホスタマチニブ)の作用機序について解説しました。
引用文献・資料等
- 難病情報センター|特発性血小板減少性紫斑病(指定難病63)
- Immunotherapy. 2018 Jan;10(1):9-25.
- FIT1/FIT2試験:Am J Hematol. 2018 Jul;93(7):921-930.
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