4.消化器系 12.悪性腫瘍

ホスネツピタントの作用機序・特徴【抗がん剤に伴う悪心・嘔吐】

2021年3月、「抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状」を対象疾患とする新規NK1受容体拮抗薬ホスネツピタントの製造販売承認申請が行われました。

大鵬薬品工業|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名
一般名ホスネツピタント
製品名の由来
製造販売大鵬薬品工業(株)
効能・効果抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う
消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)?
用法・用量抗悪性腫瘍剤投与1日目に1回点滴静注?
収載時の薬価
発売日

 

木元 貴祥
抗悪性腫瘍剤とは、いわゆる抗がん剤です。

 

これまで抗がん剤の悪心・嘔吐予防としては、同作用機序を有する注射剤のプロイメンド(ホスアプレピタント)または、経口剤のイメンド(アプレピタント)が使用されていました。

プロイメンド(ホスアプレピタント)の作用機序【小児用制吐薬】

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ホスネツピタントはイメンドと同じくNK1受容体拮抗薬に分類されていますが、副作用として注射部位反応(注射部位の痛みや紅斑など)が少ないといった特徴があるようです。

 

今回は抗がん剤の悪心・嘔吐、ホスネツピタントの作用機序・エビデンスについてご紹介します。

 

抗がん剤(化学療法)と悪心・嘔吐

一般的に抗がん剤を投与する際に、患者さんが最も気にする副作用の一つとして悪心(気持ち悪くなること)や嘔吐(吐いてしまう)があります。

 

木元 貴祥
皆さまも病気や食あたりの時に悪心・嘔吐を経験された方がいらっしゃると思いますが、やはり嫌ですよね・・・。私も嫌です。

 

抗がん剤の中でも、特にシスプラチンは悪心・嘔吐が強いことが知られています。

 

嘔吐が起こるには、延髄に存在する「嘔吐中枢」が深く関わっていて、この嘔吐中枢が刺激されると、嘔吐が引き起こされます。

また、嘔吐中枢の近くには、化学受容器引き金帯(CTZ)という部位が存在し、このCTZが刺激されると、その刺激が嘔吐中枢に伝わってしまい、嘔吐が引き起こされるといったメカニズムです。

抗がん剤による嘔吐・悪心のメカニズム:CTZと嘔吐中枢が関与している

 

抗がん剤による悪心・嘔吐のメカニズム

抗がん剤を投与すると、体内ではセロトニン、サブスタンスP、ドパミン、ヒスタミンといった様々な物質が放出されます。

 

ここで最も重要なのがセロトニンとサブスタンスPです!

 

セロトニンはのセロトニン5-HT3受容体に結合し、その刺激が嘔吐中枢に伝わります。

また、CTZには5-HT3受容体と、サブスタンスPが結合するNK1受容体が存在していて、これら両方の刺激によって、嘔吐中枢が刺激され、嘔吐が引き起こされると考えられています。

抗がん剤による悪心・嘔吐のメカニズム:セロトニン・サブスタンスP・ドパミンなどが関与している

その他にも以下のような機序が考えられています。

  • ドパミンがCTZのD2受容体を刺激
  • ヒスタミンが消化管のH1/H2受容体を刺激
  • セロトニン5HT3受容体以外の受容体(5-HT2)を介した刺激
  • ムスカリン受容体を介した刺激

 

木元 貴祥
このように、抗がん剤の嘔吐メカニズムには多くの経路があるんです・・・。

 

悪心・嘔吐の対策とホスネツピタントの作用機序

一度、悪心・嘔吐を経験してしまうと、その後の治療意欲の減退やQOLの低下を招いてしまいます。

 

そのため、抗がん剤治療を行う上では、悪心・嘔吐を予防することが重要です!!!

 

特に、悪心・嘔吐の強いシスプラチンを含む抗がん剤治療では、5-HT3受容体拮抗薬とNK1受容体拮抗薬(ホスネツピタント)を併用し、抗がん剤投与前にこれら2剤とステロイドを併用して投与します。1)

HECの抗がん剤では5HT3+NK1+ステロイドによる予防が基本

 

主な5-HT3受容体拮抗薬は、

  • カイトリル(一般名:グラニセトロン)
  • アロキシ(一般名:パロノセトロン)
  • ゾフラン(一般名:オンダンセトロン)
  • ナゼア(一般名:ラモセトロン)

などですね。

 

ホスネツピタントはNK1受容体を選択的に遮断する薬剤で、CTZのNK1受容体を遮断することで悪心・嘔吐を予防できると考えらえれています。

ホスネツピタントの作用機序:NK1受容体拮抗薬

 

ホスネツピタントは5-HT3受容体拮抗薬とステロイドと併用しますが、臨床試験では全て同一バッグに混和して投与が可能でした!

 

木元 貴祥
投与時間の短縮にも繋がるので結構、いいですよね~。

 

ちなみに、これらの予防投与を行ったとしても悪心・嘔吐が発現してしまうこともしばしばあって、その場合にはジプレキサ(オランザピン)が併用されることもありますよ。

ジプレキサ(オランザピン)の作用機序と副作用【抗がん剤に伴う悪心・嘔吐】

続きを見る

 

エビデンス紹介:CONSOLE試験

根拠となった臨床試験をご紹介します(CONSOLE試験)。2)

本試験はシスプラチンを含む抗悪性腫瘍剤投与患者さんを対象に、ホスネツピタントとプロイメンド(ホスアプレピタント)の有効性および安全性を比較した国内第Ⅲ相臨床試験です。

いずれの群も5-HT3受容体拮抗薬のアロキシ(パロノセトロン)とデキサメタゾンを併用

 

主要評価項目は、シスプラチン投与開始後0~120時間における「嘔吐完全抑制率*」とされ、プロイメンドに対するホスネツピタントの非劣性が検証されました。

ホスネツピタント群プロイメンド群
嘔吐完全抑制率75.2%71.0%
差:4.1% (95%CI:–2.1%~10.3%)
非劣性が証明
射部位反応に関する有害事象11.0%20.6%
p<0.001

*嘔吐性事象(嘔吐、空嘔吐)なし、かつ制吐処置なしの症例数の割合

 

木元 貴祥
プロイメンドと遜色のない効果が得られていて、かつ注射部位反応が低いのはいいですね!

 

副作用

後日更新予定です。

 

用法・用量

後日更新予定です。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

ホスネツピタントはこんな薬

  • NK1受容体拮抗薬
  • 5-HT3受容体拮抗薬とステロイドと併用して抗がん剤投与前に投与する
  • 注射部位反応はプロイメンドと比べて低い

 

これまで国内にはNK1受容体拮抗薬はイメンド・プロイメンドしかなかったため、新たな治療選択肢が望まれていました。

 

ホスネツピタントは新規の作用機序というわけではありませんが、注射部位反応の頻度も低いため、新たな治療選択肢として期待できるのではないでしょうか。

 

以上、今回は抗がん剤の悪心・嘔吐、ホスネツピタントの作用機序・エビデンスについてご紹介しました!

 

引用論文・資料等

  1. 日本癌治療学会|制吐薬適正使用ガイドライン
  2. 国内第Ⅲ相試験(CONSOLE試験):J Clin Oncol. 2021 Nov 18;JCO2101315. doi: 10.1200/JCO.21.01315. 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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