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エピシル口腔用液の作用機序と副作用【がん化学療法による口内炎】

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がん化学療法および放射線治療法による口内炎に伴う疼痛の緩和に用いる口腔用液状医療機器「エピシル口腔用液」が2017年7月に承認されました!

医療機器会社

  • 製造販売業者:ソレイジア・ファーマ(株)

 

エピシルは口内炎病変の被覆・保護を目的とする非吸収性の液状機器に分類されている医療機器です。

 

皆様も口内炎は経験されたことがあるかと思います。

口の中に1つできるだけでも痛くて不快だと思いますが、がん化学療法では同時に多数の口内炎が口中にできることもありますので、非常に辛くて不快な副作用です。

 

本日はがん化学療法と口内炎についてご紹介します。

 

がん化学療法(抗がん剤治療)

がんの治療には、大きく分けて、以下の4つがあります。

  • 外科療法(主に手術)
  • 放射線療法
  • 薬物療法(抗がん剤を用いた化学療法)
  • 免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬)

 

通常、がんの治療はこれらを組み合わせて行います。

 

がん化学療法による口内炎

その中でも特に抗がん剤を用いた化学療法では、がん細胞も攻撃しますが、同時に正常細胞も攻撃してしまうため、様々な副作用が発現します。

代表的な副作用には「骨髄抑制」、「下痢」、「嘔吐」、「脱毛」、「口内炎」、等が知られています。

がん化学療法を行う上では、治療効果を担保しつつ、上記のような副作用を上手にコントロールして治療を継続することが重要です。

 

本日ご紹介する「口内炎」は、抗がん剤が口腔内の粘膜を直接障害することや、骨髄抑制により白血球の働きが低下し、免疫力が低下すること、等によって発現すると考えられています。

 

発現してしまうと回復までに時間がかかり、その間は痛みや不快感、嚥下障害、味覚異常等を伴うため、患者さんのQOL低下や治療意欲の減弱にも繋がってしまいます。

 

特に口内炎を発現しやすい抗がん剤としては、以下が知られています。

  • メトトレキサート
  • エトポシド
  • 5-FU系薬剤(5-FUS-1カペシタビン、UFT)
  • シクロホスファミド
  • シスプラチン
  • ブレオマイシン
  • シタラビン
  • ドキソルビシン

口内炎の発現には予防が重要で、日ごろから口腔内を清潔(保湿、ブラッシング、うがい、等)に保つことが大切です。

口内炎が発現した際には抗炎症薬によるうがいや、痛みに対する鎮痛薬等の対症療法が行われます。

 

エピシル口腔用液の作用機序

今回ご紹介するエピシルは、脂質ベースの液体で、口腔粘膜を覆う強固な生体接着保護膜を形成し、患部を物理的に保護するといった作用機序を有する初の医療機器です。

 

口内炎が発現すると、患部にモノが当たるだけで激痛が走りますが、エピシルは患部を樹脂で物理的に保護することで痛みを軽減する医療機器です!

 

物理的に保護(バリア)を形成することで、食べ物等が口内炎患部に直接触れることが無くなりますので、痛みの軽減が期待されます。

 

エピシル口腔用液の副作用

主な副作用として嘔吐、悪心、適用部位不快感などが報告されています。

 

エピシル口腔用液の服用方法

使用は簡単で、ノズルヘッドをプッシュして口腔内に塗布します。

その後、舌を用いて、口内炎の患部に塗り拡げます。

 

適用後は5分程で口腔内の疼痛が緩和し、その効果は8時間程度持続することが確認されているようです。

1日の使用回数は、必要に応じて1日2~3回使用できます。

 

また、携行に便利なポケットサイズの容器に充填されていますので、普段から持ち歩いて、痛みが出てきたら口腔内にすぐに適用が可能です♪

 

注意点として、継続して使用する場合、「30日」が上限です。

 

エピシル口腔用液の償還価格

収載時(2018年4月)の保険償還価格は752円/mLです。

 

まとめ・あとがき

エピシルはこんな機器

  • 強固な生体接着保護膜で患部を保護する
  • 口腔内に塗布すると8時間効果が持続する

 

がん化学療法に伴う口内炎には、これまで対症療法しかありませんでしたが、エピシルによって口内炎の痛みを物理的に軽減できるため、患者さんにとっては朗報ではないでしょうか。

 

がん治療のQOLの向上とそれに伴う治療効果の向上に期待したいと思います^^

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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