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2014年2月21日にレグパラ錠(一般名:シナカルセト)の新効能・効果追加として「副甲状腺がんにおける高カルシウム血症、副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症」の適応追加が承認されました。
今回は副甲状腺がんにおける高カルシウム血症とレグパラ(シナカルセト)の作用機序についてご紹介します。
副甲状腺とPTH
二次性副甲状腺機能亢進症の説明の前に、副甲状腺と「副甲状腺ホルモン(PTH:パラソルモン)」の働きについて説明します。
喉の近くにある甲状腺の裏側には、米粒大の「副甲状腺」という臓器が存在しています。
副甲状腺から分泌されるPTHは、
- 腸管からのカルシウム吸収促進
- 尿からのカルシウム排泄抑制
- 骨のカルシウムを血中に放出(骨吸収)
などの作用によって、血中のカルシウム濃度を上昇させる働きがあるホルモンです。
その他にも、リンの尿中排泄を促進する働き(血中のリン濃度低下作用)もあります。
血中のカルシウム濃度が上昇すると副甲状腺の「カルシウム受容体」がそれを感知し、PTHの分泌を抑制します。
逆に、
血中のカルシウム濃度が低下するとカルシウム受容体が感知して、PTHの分泌を促進させます。
このように、
血中のカルシウムやリンの濃度を一定に保つために働いているホルモンがPTHです。
副甲状腺がんと高カルシウム血症
副甲状腺にがんが発生すると、がん細胞は無秩序にPTHを過剰分泌します。
PTHが過剰分泌されることで血中カルシウム濃度が上昇してしまい、高カルシウム血症を発症してしまいます。
副甲状腺がんの治療の基本は手術によって取り除く治療です。
しかし、手術ができない患者さんではしばしば高カルシウム血症を発症し、倦怠感、多尿、口渇、腎障害等の様々な症状が発現します。
高カルシウム血症は時に重篤化し、高度の場合には高カルシウム血症クリーゼにより死に至ることもあるため、効果的な治療が望まれていました。
レグパラ(一般名:シナカルセト)の作用機序
レグパラは、血中カルシウム濃度のセンサーである副甲状腺のカルシウム受容体を直接刺激するカルシウム受容体作動薬です。
カルシウム受容体を刺激することでがん細胞からの過剰なPTHの分泌が抑制され、血中のPTH濃度を低下させるといった作用機序を有しています。
その結果、血中のカルシウム濃度が低下し、高カルシウム血症が改善できると考えられます。
レグパラ錠の副作用
特徴的な副作用として消化管障害(悪心・嘔吐、胃不快感、食欲不振、腹部膨満)があります。
その他、低カルシウム血症や血清カルシウム減少、QT延長も認められることがありますので注意が必要です。
あとがき
副甲状腺がんでは、しばしば高カルシウム血症のコントロールが困難になるケースがあります。
手術以外の選択肢ができたことで患者さんの治療の幅が広がったのではないでしょうか。
二次性副甲状腺機能亢進症とレグパラの作用機序については以下の記事をご参考ください。
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