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今回は二次性副甲状腺機能亢進症とレグパラ錠12.5mg/25mg/75mg(一般名:シナカルセト)の作用機序についてご紹介します。
レグパラの効能・効果は以下の通りです。
- 維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
- 下記疾患における高カルシウム血症
- 副甲状腺がん
- 副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症
副甲状腺とPTH
二次性副甲状腺機能亢進症の説明の前に、副甲状腺と「副甲状腺ホルモン(PTH:パラソルモン)」の働きについて説明します。
喉の近くにある甲状腺の裏側には、米粒大の「副甲状腺」という臓器が存在しています。
副甲状腺から分泌されるPTHは、
- 腸管からのカルシウム吸収促進
- 尿からのカルシウム排泄抑制
- 骨のカルシウムを血中に放出(骨吸収)
などの作用によって、血中のカルシウム濃度を上昇させる働きがあるホルモンです。
その他にも、リンの尿中排泄を促進する働き(血中のリン濃度低下作用)もあります。
血中のカルシウム濃度が上昇すると副甲状腺の「カルシウム受容体」がそれを感知し、PTHの分泌を抑制します。
逆に、
血中のカルシウム濃度が低下するとカルシウム受容体が感知して、PTHの分泌を促進させます。
このように、
血中のカルシウムやリンの濃度を一定に保つために働いているホルモンがPTHです。
腎臓の働きとカルシウム濃度
腎臓の働きの一つに「活性型ビタミンD3の産生」があります。
活性型ビタミンD3は、
ビタミンDが肝臓と腎臓を経て産生される物質で、腸管からのカルシウム吸収を促進して血中カルシウム濃度を上昇させます。
その他、リンの排泄にも腎臓が大きく関わっています。
慢性腎不全(透析患者さん)と二次性副甲状腺機能亢進症
透析を行っている患者さんでは腎機能が低下しています(慢性腎不全)。
そのため、活性型ビタミンD3の産生が低下し、腸管からのカルシウム吸収が悪くなってしまっています。(→低カルシウム血症)
また、リンの排泄もできなくなってしまい、体内にリンが蓄積されてしまいます。(→高リン血症)
このような低カルシウム血症と高リン血症の状態が長期間持続してしまうと、低下したカルシウム濃度を上昇させるために、副甲状腺からPTHが過剰に分泌されます。
この状態になると、カルシウム濃度に関係なく常にPTHが過剰分泌されてしまい、血中のカルシウム濃度が異常に上昇してしまいます。
このような疾患を「二次性副甲状腺機能亢進症」と呼んでいます。
二次性副甲状腺機能亢進症の症状
PTHの過剰分泌によって、骨からカルシウムが放出(骨吸収)されてしまいます。
そのため、骨が脆くなってしまい、骨折を引き起こすことがあります。
また、血中のカルシウム等が骨以外の場所(関節、皮下、眼、血管)に沈着する「異所性石灰化」がみられることもあります。
血管に異所性石灰化がみられると、動脈硬化などの心血管系障害の発症リスクが高まり、生命予後に影響を及ぼす可能性もあります。
二次性副甲状腺機能亢進症の治療
二次性副甲状腺機能亢進症の治療の基本は、薬物療法です。
主に用いられる薬物療法には、以下があります。
- 活性型ビタミンD3製剤
- カルシウム受容体作動薬
薬物療法で効果が不十分な場合は、手術が行われることもあります。
今回ご紹介するレグパラは「カルシウム受容体作動薬」に分類されている薬剤です。
レグパラ(一般名:シナカルセト)の作用機序
レグパラは、血中カルシウム濃度のセンサーである副甲状腺のカルシウム受容体を直接刺激するカルシウム受容体作動薬です。
カルシウム受容体を刺激することで過剰なPTHの分泌が抑制され、血中のPTH濃度を低下させるといった作用機序を有しています。
その結果、血中のカルシウム濃度やリン濃度が正常になり、二次性副甲状腺機能亢進症の症状緩和が得られると考えられます。
レグパラ錠の副作用
特徴的な副作用として消化管障害(悪心・嘔吐、胃不快感、食欲不振、腹部膨満)があります。
その他、低カルシウム血症や血清カルシウム減少、QT延長も認められることがありますので注意が必要です。
類薬とあとがき
同様の作用機序(カルシウム受容体作動薬)をもつ薬剤としてオルケディア(一般名:エボカルセト)も登場しました。
今後は使い分け等が検討されれば興味深いと考えます。
以上、今回は二次性副甲状腺機能亢進症とレグパラ(一般名:シナカルセト)の作用機序についてご紹介しました。
副甲状腺がんにおける高カルシウム血症とレグパラについては以下の記事をご参考ください。
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