9.眼疾患

アイザベイ(アバシンカプタド)の作用機序【加齢黄斑変性】

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2025年8月29日、厚労省の薬事審議会・医薬品第一部会にて「萎縮型加齢黄斑変性」を対象疾患とするアイザベイ硝子体内注射液(アバシンカプタド)の条件付き承認が了承されました!

アステラス製薬|申請のニュースリリース

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名 アイザベイ硝子体内注射液20mg/mL
一般名 アバシンカプタド ペゴルナトリウム
製品名の由来
製造販売 アステラス製薬(株)
効能・効果 萎縮型加齢黄斑変性における地図状萎縮の進行抑制?
用法・用量 4週間毎に硝子体内投与?
収載時の薬価
発売日

 

木元 貴祥
木元 貴祥
萎縮型加齢黄斑変性において初の治療薬ですね!

 

新生血管を伴う加齢黄斑変性に対しては、既に以下の抗VEGF薬が承認されていますが、萎縮型には使用できませんでした。

 

 

今回は「萎縮型の加齢黄斑変性」の解説と共に、アイザベイ(アバシンカプタド)の作用機序について解説していきます。

 

眼の構造と黄斑(中心窩)

眼の構造は以下のイラストの通りですが、網膜の中心には「黄斑」と呼ばれる部位があります。

黄斑は視細胞が密集しているため、モノを見るための視機能では最も重要な部位とされています。

眼の構造と黄斑(中心窩)

 

黄斑の中心は中心窩(“ちゅうしんか”と読みます)と呼ばれ、ここには視細胞が最も密集しているため特に重要です。

 

加齢黄斑変性の病態と症状

加齢黄斑変性は、黄斑が加齢とともに障害を受け、視力の低下や視力異常をきたす疾患です。

 

50歳以上の男性に好発し、日本では増加傾向にあります。また加齢黄斑変性は失明(中途失明)の原因の上位を占めています(中途失明の第1位は緑内障)。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
緑内障の疾患解説と薬については以下の記事をご覧くださいませ。
セタネオ点眼液(セペタプロスト)の作用機序【緑内障】

続きを見る

 

発症のリスク因子としては「喫煙」や「肥満」がありますので、「目の生活習慣病」とも呼ばれています。

 

症状としては

  • 物が歪んで見える
  • 視野の中心が暗くて見えにくくなる
  • 視力が低下する

などがあります。

 

多くの場合、症状は片眼から現れますが、両眼で見ているとなかなか症状に気付かずに、発見が遅れることもあります。

 

加齢黄斑変性の分類

加齢黄斑変性には以下の2種類があり、原因が異なっています。1-2)

  • 萎縮型:黄斑組織が加齢によって萎縮していく。進行は遅い
  • 滲出型(近年は新生血管型と呼ばれる):脈絡膜新生血管による。進行が速い

 

今回アイザベイが関係するのは「萎縮型」です。

 

漏出型(新生血管型)については、以下で類薬と共にまとめていますのでご参照ください。

バビースモ(ファリシマブ)の作用機序:類薬との違い・比較【加齢黄斑変性】

続きを見る

 

萎縮型では、黄斑の組織が加齢とともにゆっくりと萎縮(これを“地図状萎縮”と呼んでいます)していきます。3)

 

木元 貴祥
木元 貴祥
黄斑の萎縮領域の形状が“地図のように見える”ことから「地図状萎縮」と呼ばれるようですね。

 

地図状萎縮の診断

  • 直径250μm以上の萎縮領域
  • 円形、卵円形、房状または地図状の形態
  • 境界が鮮明
  • 網膜色素上皮の低色素または脱色素変化
  • 脈絡膜中大血管が明瞭に透見可能

 

萎縮型加齢黄斑変性の治療

萎縮型は進行が遅いことから、特に治療は行われません。

しかし、滲出型に移行することもありますので、定期的な検査によって異常がないかを調べておく必要があります。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
さて、ここからはアイザベイの関与する補体について、加齢黄斑変性の病態と共に解説していきます。

 

萎縮型加齢黄斑変性の病態:補体の関与

前述の通り、萎縮型加齢黄斑変性では黄斑組織の萎縮(変性)が認められますが、その原因の一つとして「補体経路の活性化」が挙げられています。

補体(Complement)とは、生体が病原菌などを排除する際に抗体抗原反応などを補助する免疫システムです。補体にはいくつかの種類があり、C1~C9で表されます。

 

詳細は割愛しますが、免疫が活性化する際に、「レクチン経路」、「古典的経路」、「第二経路」と呼ばれる経路によって、補体の「C3」が産生・活性化されます。

この補体C3は、補体C5を「C5a」と「C5b」に分解します。

萎縮型加齢黄斑変性の病態:補体経路(C5)の活性化が示唆されている。

 

補体C5aとC5bは強力な炎症作用のほか、血管透過性の亢進、新生血管の促進、細胞障害作用などを有しているため、それによって黄斑組織が萎縮(変性)すると考えられています。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
発作性夜間ヘモグロビン尿症や重症筋無力症といった他の領域でも補体の関与が示唆されているため、補体をターゲットとした治療薬が既に使用されていますね。
ユルトミリス(ラブリズマブ)の作用機序:ソリリスとの違い【PNH】

続きを見る

 

アイザベイ(アバシンカプタド)の作用機序:補体C5阻害

アイザベイは、補体C5を特異的に阻害するように設計されたPEG化ペプチド製剤です。

アイザベイ(アバシンカプタド)の作用機序:補体C5を阻害するPEG化ペプチド製剤

 

補体C5が阻害されることで、C5aとC5bによる炎症や細胞障害作用などを抑制する結果、加齢黄斑変性の地図状委縮の進行抑制効果が得られると考えられています。

 

他疾患では、補体C3を阻害するPEG化ペプチド製剤のエムパベリ(ペグセタコプラン)が使用されていますね。

エムパベリ皮下注(ペグセタコプラン)の作用機序【PNH】

続きを見る

 

エビデンス紹介:GATHER1, 2試験

根拠となった臨床試験はGATHER1試験4)およびGATHER2試験5)です。今回は代表としてGATHER2試験をご紹介します!

 

GATHER2試験は、地図状萎縮を伴う萎縮型加齢黄斑変性患者さんを対象に、アイザベイ投与群と偽処置対照群を比較した第Ⅲ相臨床試験です。5)

 

本試験の主要評価項目は、「地図状萎縮病変の面積の平均変化量」とされ、以下の結果でした。

アイザベイ投与群 偽処置対照群
ベースラインから12ヵ月目までの
地図状萎縮病変の面積の平均変化量
0.336mm2 0.392mm2
p=0.0064

 

アイザベイ群において、有意な地図状萎縮病変の進行抑制が認められていますね。

 

なお、臨床試験では視力の明確な改善効果までは認められていませんでした

GATHER1試験および同2試験の事後解析では、最高矯正視力(BCVA)の喪失割合がアイザベイ投与群で低いという結果6)でしたが、事前に規定されている評価項目ではないため、解釈には注意が必要です。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
国内での試験も進行中のため、今後の結果が気になるところです。

 

用法・用量

正式承認後に更新予定です。

 

副作用

正式承認後に更新予定です。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

アイザベイはこんな薬

  • 萎縮型の加齢黄斑変性では初の治療薬
  • 補体C5を阻害することで地図状萎縮の進行を抑制させる

 

これまで、萎縮型の加齢黄斑変性では有効な治療薬がなく、経過観察が基本でした。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
アイザベイは本疾患で初の作用機序のため、地図状萎縮の進行抑制が期待できます!

 

以上、今回は「萎縮型の加齢黄斑変性」の解説と共に、アイザベイ(アバシンカプタド)の作用機序について解説しました。

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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