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2022年9月26日、「緑内障、高眼圧症」を効能・効果とするグラアルファ配合点眼液(ブリモニジン/リパスジル)が承認されました。
興和|ニュースリリース
基本情報
製品名 | グラアルファ配合点眼液 |
一般名 | リパスジル塩酸塩水和物/ ブリモニジン酒石酸塩 |
製品名の由来 | 本剤はRhoキナーゼ阻害薬であるグラナテック(GLANATEC)点眼液0.4%の有効成分であるリパスジル塩酸塩水和物と アルファ(ALPHA)2作動薬であるブリモニジン酒石酸塩の配合剤であることから命名した。 |
製造販売 | 興和(株) |
効能・効果 | 次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分な場合 :緑内障、高眼圧症 |
用法・用量 | 1日1滴、1日2回点眼する。 |
収載時の薬価 | 1mL:515.00円 |
発売日 | 2022年12月6日(HP) |
リパスジルはRhoキナーゼ阻害薬(ROCK阻害薬)、ブリモニジンはアドレナリンα2受容体作動薬に分類されています。
リパスジルとブリモニジンの単剤は既に以下が承認・販売されています。
- リパスジル:グラナテック点眼液0.4%
- ブリモニジン:アイファガン点眼液0.1%
今回は緑内障を中心に、グラアルファ配合点眼液の作用機序について解説します。
緑内障と症状
緑内障は眼の病気です。
眼の見えている範囲が徐々に狭くなったりボヤけたりしていき、治療が遅れてしまうと最悪失明に至ってしまいます。
高齢になればなるほど発症する確率が高くなり、日本では40歳以上の約5%に緑内障が発症すると推定されています。1)
緑内障の原因と眼房水の排出経路
緑内障は眼の中の圧力(眼圧)が異常に上昇することで視神経が圧迫されて生じます。
眼圧を調整する物質として眼の中の水(眼房水)があります。
通常は、眼圧を保つと共に角膜・水晶体の栄養補給の役目を果たしていますね。
何らかの異常によって眼房水の量が増えてしまうと、眼の中が眼房水でパンパンになり、眼圧が上昇してしまいます。
通常、眼房水は以下の排出経路によって排出されます。
- 主経路:シュレム管(経線維柱帯流出路)による排出(約90%)
- 副経路:ブドウ膜強膜流出路による排出(約10%)
Copyright: Santen Pharmaceutical Co., Ltd.
しかし緑内障では様々な原因によって上記の排出経路が障害されて眼の中に貯留してしまいます。
また、緑内障は原因によって大きく以下の分類があります。
①原発緑内障 | 排泄経路が障害されているもの。 隅角が開いている「原発開放隅角緑内障」と、 隅角が閉じている「原発閉塞隅角緑内障」に分類される。 |
②小児緑内障 | 先天性のもの。 |
③続発緑内障 | 他の原因(外傷や網膜剥離、薬物の副作用等)によるもの。 |
緑内障の治療
緑内障の治療の原則は眼圧を下げることです。
主な治療には以下がありますが、「原発開放隅角緑内障」の場合は主には薬物治療が基本となります。
- 薬物治療
- レーザー治療
- 手術
薬物治療のうち、局所投与薬(点眼薬等)には以下の選択肢があります。2)
- プロスタノイド受容体関連薬:プロスタノイドFP受容体作動薬、プロスタノイドEP2受容体選択性作動薬
- アドレナリンβ受容体遮断薬
- 炭酸脱水酵素阻害薬
- アドレナリンα2受容体刺激薬
- アドレナリンα1受容体遮断薬
- 副交感神経刺激薬
- イオンチャネル開口薬
- Rhoキナーゼ阻害薬(ROCK阻害薬)
第一選択薬で推奨されているのはプロスタノイド受容体関連薬で、その他にはアドレナリンβ受容体遮断薬がよく用いられています。
プロスタノイドFP受容体作動薬(プロスタグランジンF2α誘導体製剤)については以下の記事で作用機序や一覧表をまとめていますのでご参考ください。
-
【緑内障】プロスタグランジンF2α誘導体製剤の作用機序と一覧
続きを見る
最近では、新規作用機序のプロスタノイドEP2受容体作動であるエイベリス(一般名:オミデネパグ)も登場してきました。
-
エイベリス(オミデネパグ)の作用機序:プロスタグランジンF2α誘導体製剤との違い【緑内障】
続きを見る
基本は単剤から治療を開始しますが、眼圧が十分に下がらない場合、別の単剤への切り替え(作用機序の異なる薬剤等)、もしくは副作用に注意しながら併用療法が行われます。
今回ご紹介するグラアルファ配合点眼液はα2受容体刺激薬とRhoキナーゼ阻害薬(ROCK阻害薬)の配合剤ですので、最初からは使用できません。
グラアルファ配合点眼液(ブリモニジン/リパスジル)の作用機序
グラアルファの有効成分は、
- ブリモニジン:アドレナリンα2受容体作動薬
- リパスジル:ROCK阻害薬
です。
眼には様々な受容体が存在していて、ブリモニジンの明確な作用機序は不明とされていますが、アドレナリンα2受容体に作用することで
- 眼房水の産生抑制
- 眼房水の副経路(ブドウ膜強膜)からの排出促進
の作用を発揮すると考えられています。
また、眼房水の主経路(シュレム管)からの排出に関与しているのがRhoキナーゼです。リパスジルがこれを阻害することで、シュレム管を介した眼房水排泄が促進され、眼圧が低下すると考えられています。
副作用
5%以上に認められる副作用として、結膜充血(53.2%)、結膜炎(アレルギー性結膜炎を含む)、眼瞼炎(アレルギー性眼瞼炎を含む)、眼刺激などが報告されています。
重大な副作用は特にありませんね。
用法・用量
1日1滴、1日2回点眼します。
収載時の薬価
収載予定時(2022年11月16日)の薬価は以下の通りです。
- グラアルファ配合点眼液1mL:515.00円
算定根拠については以下をご確認ください。
-
【新薬:薬価収載】16製品(2022年11月16日)
続きを見る
まとめ・あとがき
グラアルファはこんな薬
- 初のα2受容体作動薬とROCK阻害薬の配合剤
- ブリモニジンのα2受容体作動による眼房水の産生抑制と排出促進
- リパスジルのRhoキナーゼ阻害による眼房水の排出祖更新
最近ではα2受容体作動薬との配合剤が多いですね。
その際にはアドヒアランスの向上する配合剤が使用されますが、一方で副作用にも注意が必要となってきます。
配合剤にはいくつか種類がありますので、今後、どの配合剤がどういった患者さんに適しているのか検討が進めば興味深いですね。
以上、今回は緑内障と初のα2受容体作動薬とROCK阻害薬の配合剤であるグラアルファ配合懸濁性点眼液について解説しました。
プロスタグランジンF2α誘導体製剤の配合剤一覧表にについては以下の記事でまとめていますので併せてご覧ください。
-
【緑内障】プロスタグランジンF2α誘導体製剤の作用機序と一覧
続きを見る
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