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今回はアレディア点滴静注(一般名:パミドロン酸)についてご紹介します。
先発品のアレディアは2016年に販売中止したことから、現在では後発医薬品(ジェネリック医薬品)のみが販売されています。
アレディアは以下の効能・効果を有している薬剤で、主に悪性腫瘍(がん)に対して使用されている薬剤です。
- 悪性腫瘍による高カルシウム血症
- 乳がんの溶骨性骨転移(化学療法、内分泌療法、あるいは放射線療法と併用すること)
- 骨形成不全症
今回は上記2.の「がんの骨転移」とアレディア(パミドロン酸)の作用機序についてご紹介します。
骨の代謝(リモデリング)
骨には大きく以下の2つの役割があります。
- 体の骨格維持
- 電解質バランス(特にカルシウム)の維持
これらの役割を果たすために、骨は「リモデリング」と呼ばれる代謝を繰り返して、常に丈夫な骨が保たれています。
リモデリングに関わる細胞には、骨を壊す「破骨細胞」と骨を作る「骨芽細胞」が知られています。
破骨細胞が古くなった骨を壊し(“骨吸収”と呼びます)、壊された部分に骨芽細胞が新しい骨を作ります(“骨形成”と呼びます)。
このようなリモデリングがバランス良く行われることで、約2年で全身の骨が作り替えられと言われています。
破骨細胞とがんの骨転移メカニズム
正常な状態では骨のリモデリングに関わる骨吸収と骨形成がバランスよく存在しています。
しかし、がん細胞が骨転移を引き起こす場合、骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、骨吸収が優勢になってしまっています。
がんは血液やリンパ液に乗って、全身の様々な臓器(肝臓、肺、脳、骨、など)に転移します。
骨に転移しやすいがんとして、肺がん、前立腺がん、乳がんが知られています。
通常、骨は固い骨膜で覆われていますので、がん細胞は侵入することができません。
そこでがん細胞は「破骨細胞」を活性化させ、骨吸収を促進させて骨を壊していきます。
壊れた部位はポッカリと穴が開いた状態になりますので、そこにがん細胞が移動して骨転移が完成します。
アレディア(パミドロン酸)の作用機序
アレディアは破骨細胞に取り込まれて破骨細胞の働きを抑制する「ビスホスホネート製剤(BP製剤)」に分類されている薬剤です。
破骨細胞の働きが抑制されることで、がん細胞の骨転移を抑制するといった作用機序です。
アレディアによって骨転移は抑制することができますが、全身に存在しているがん細胞は抑制することができません。
全身のがん細胞に対しては抗がん剤治療が基本ですので、アレディアは通常の抗がん剤治療と併用して使用されます。
あとがき
がんの骨転移に対しては以下薬剤も販売されています。
最近ではランマークの使用頻度が高まっていることから、ゾメタやアレディアはあまり使われなくなってきています。
以上、今回はがんの骨転移メカニズムとアレディア(パミドロン酸)の作用機序についてご紹介しました。
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