7.炎症・免疫・アレルギー

アシテアダニ舌下錠の作用機序【ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎】

厚労省は2018年2月16日アシテアダニ舌下錠100単位(IR)、同300単位(IR)の「ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法」の効能・効果に、12歳未満の小児の用法・用量を追加することを承認したと発表がありました。

既に、成人及び12歳以上の小児に適応を有していましたが、12歳未満の小児に対しても適応が拡大されました。

 

今回はダニ抗原によるアレルギー性鼻炎とアシテアダニ舌下錠の作用機序(減感作療法)についてご紹介します。

 

異物(抗原)によるアレルギー性鼻炎

私たちの体は、異物(アレルゲン)が侵入すると排除しようとする機構が働きます。

この排除機構に関わっているのが「肥満細胞(マスト細胞)」です。

生体内に入り込んだ異物(花粉)が肥満細胞に結合すると、肥満細胞から大量のヒスタミンが分泌されます。

このヒスタミンがH1受容体(ヒスタミン受容体)に結合することで、様々なアレルギー関連症状が発現します。

具体的には、異物をくしゃみで吹き飛ばす、鼻水・涙で洗い流す、鼻づまりで中に入れないよう防御するなどの症状が出てきます。

 

対処療法としては、ヒスタミンがH1受容体に結合するのを抑えるH1ブロッカー(ザジテン、セルテクト、アゼプチン、アレグラ、アレジオン、等)が代表的です。

 

最近承認されたH1受容体拮抗薬は、ルパフィン錠アレサガテープがあります。

 

ハウスダストとダニ抗原

皆様の中にも、気温の変化が激しい時、「朝起きると水鼻やくしゃみ」が出たり、「夜から朝にかけて咳が続く」、といった経験がある方もいらっしゃるかもしれません。

単なる風邪の場合もありますが、「ハウスダスト」によるアレルギーが原因のこともあります。

「ハウスダスト」は直訳すると「家の中のホコリ」ですが、一般的に、ホコリの中でも特に1mm以下の肉眼では見えにくいホコリのことを指します。

ハウスダストには、衣類などの繊維クズ、ダニの死がいやフン、ペットの毛、タバコの煙、カビ、細菌など様々です。

 

この中でもハウスダストによるアレルギー性鼻炎の発症には室内の「ダニ」が主たる原因であることが多いと言われています。

なお、アレルギーの原因物質は検査を行うことで特定が可能です。

 

今回ご紹介するアシテアダニ舌下錠は「ダニアレルギー性鼻炎」と確定診断された際に使用することができます。

もし、花粉であった場合(花粉症)には、シダキュアスギ花粉舌下錠等を使用することができます。

 

ダニアレルギー性鼻炎

ダニによるアレルギー性鼻炎では、2種のダニ(ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ)が主な原因であることが知られています。

一般的にアレルギー反応が起こる場合、少量の抗原(ダニ)ではあまり症状が発現しませんが、大量の抗原(ダニ)に暴露されることでアレルギー性鼻炎を発症します。

 

アシテアダニ舌下錠の作用機序(減感作療法)

本日ご紹介するアシテアダニ舌下錠は、ヤケヒョウヒダニコナヒョウヒダニから抽出したアレルゲンエキスで、根治が目指せる減感作療法剤です!

前述のように、ダニが体内に侵入すると「排除しようとする機構」が働きますが、ダニエキスを少量ずつ体内に投与することで、この機構を徐々に弱めていくのが減感作療法です♪

ようするに、体にダニを慣らせていき(異物と認識させなくする)、ダニアレルギー性鼻炎の発症そのものを抑えるということです。

ただし、注意事項として以下が挙げられます。

  • 治療前にダニ抗原によるアレルギー性鼻炎の確定診断が必要
  • 治療は長期間(約3~5年)かかる
  • すべての患者さんに効果が期待できるわけではない

 

注意事項

減感作療法では、アレルギーの原因物質を投与するため、強いアレルギー反応(アナフィラキシーショック)等の副作用に十分注意する必要があります。

従って、添付文書では「本剤に関する十分な知識と減感作療法に関する十分な知識・経験を持ち、本剤のリスク等について十分に管理・説明できる医師のもとで処方・使用すること。」と記載されています。

 

あとがき

同様の作用機序・適応を有する薬剤としてミティキュアダニ舌下錠があります。

共に舌下錠であり、室温保存が可能で、携帯など患者さんの利便性が高い製剤ですが、用法・用量が少し異なりますので注意が必要です。

 

なお、ミティキュアダニ舌下錠も同時期に12歳未満の小児に対して適応拡大が行われました。

 

以上、今回はダニ抗原によるアレルギー性鼻炎とアシテアダニ舌下錠の作用機序(減感作療法)についてご紹介しました。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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