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イブリーフ(イブプロフェン)の作用機序【動脈管開存症】

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未熟児動脈管開存症で保存療法(水分制限、利尿剤投与等)が無効の場合」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品のイブリーフ静注20mg(一般名:イブプロフェンL-リシン)が2018年1月19日に承認されました!

 

今回は未熟児動脈管開存症とイブリーフ(イブプロフェン)の作用機序についてご紹介します!

 

心臓の血液循環と動脈管

通常、成人の心臓は以下の図のような流れで血液が循環しています。

  1. 右心房に血液が流入(大静脈)
  2. 右心室から肺に血液を送る(肺動脈)
  3. 肺で酸素を受け取る
  4. 左心房に血液が流入(肺静脈)
  5. 左心室から全身に血液を送る(大動脈)

このように血液は肺で酸素を受け取った後、心臓を経由して全身に運ばれます。

 

しかし、赤ちゃん(胎児)が母親の胎内にいる時には、胎児は必要な酸素を胎盤から貰っているため、肺の呼吸は行っていません。

そのため、肺にはほとんど血液が流れる必要がなく、肺動脈から直接大動脈に血管が繋がれています

このバイパスのような血管のことを「動脈管」と呼んでいます。

 

胎児期の動脈管は「プロスタグランジンE」という物質により開いた状態が保たれています。

 

通常、赤ちゃんが出生(新生児)すると、肺で呼吸を始めます。

同時にプロスタグランジンEが分解されますので、動脈管は出生後1~2日で閉じていき、2~3週間で完全に閉じます。

 

未熟児動脈管開存症とは

出生と同時に閉じ始める動脈管ですが、いつまでも自然に動脈管が閉じないことがあります。

それが「動脈管開存症」です。

この病気はもっとも多い先天性心疾患の一つで全体の5~10%を占めていると言われています。

動脈管が開いたままですと、大動脈から全身に流れるはずの酸素の多い血液が全身に行き渡りません。

また、本来全身に流れるべき血液が肺に流れてしまうため、肺にも大きな負担がかかります。

 

症状

動脈管開存症の初期症状としては血圧低下、心雑音、尿量減少、呼吸が苦しそう、といった症状がみられます。

重症化していくと心不全、肺出血、脳出血がみられることもあるため、迅速に治療を行う必要があります。

 

原因

原因の一つとして、動脈管を開管に関与しているプロスタグランジンEが分解されずに体内に残っていることがあります。

プロスタグランジンEはシクロオキシゲナーゼ(COX)がアラキドン酸に作用し、その後、数段階の反応を経て合成されます。

 

イブリーフ(一般名:イブプロフェン)の作用機序

イブリーフはプロスタグランジンEの合成に関与するシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害する薬剤です!

プロスタグランジンEの生成が抑制され、それによって動脈管が閉じていく、といった作用機序を有しています!

 

イブリーフ(一般名:イブプロフェン)の薬価

収載時(2018年4月18日)の薬価は以下の通りです。

  • 1瓶 13,012円

 

類薬とあとがき

同様の効能効果を有する薬剤としては、インダシン静注用(一般名:インドメタシン)が既に販売されていますが、乏尿や腎機能異常等の副作用の発現が問題視されていました。

今回ご紹介したイブリーフはこれらの副作用が少ないため、安全に使用できると考えられています。

 

元々、有効成分の「イブプロフェン」はNSAIDsに分類されており、市販の風邪薬にも含まれている解熱鎮痛剤です。

作用機序は同じで、COX阻害によって、発熱や炎症物質であるプロスタグランジンの生成を抑制します。

 

イブリーフによって、未熟児動脈管開存症がより安全に治療できるようになれば良いなと思います。

以上、今回は未熟児動脈管開存症とイブリーフ(イブプロフェン)の作用機序についてご紹介しました。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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