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2018年7月2日、厚労省はイラリス皮下注用150mg、同皮下注射液150mg(一般名:カナキヌマブ(遺伝子組換え))の「既存治療で効果不十分な全身型若年性特発性関節炎」の適応追加を承認しました。
製薬会社
- 製造販売:ノバルティスファーマ(株)
今回は若年性特発性関節炎とイラリス(カナキヌマブ)の作用機序についてご紹介します。
若年性特発性関節炎とは
若年性特発性関節炎(JIA:juvenile idiopathic arthritis)とは、
16歳未満(→若年性)に発症し、原因不明(→特発性)の関節炎症状が6週間以上続く疾患です。
一般に、骨や関節、筋肉などが全身的な炎症を伴って侵される病気を総称して「リウマチ性疾患」といいますが、子供のリウマチ性疾患の中で最も多く見られるのが若年性特発性関節炎です。
昔は「若年性関節リウマチ」と呼ばれていました。
若年性特発性関節炎の症状とタイプ
特徴的な症状は「関節の腫れ」で、発現しやすい部位は、手首や手足の指の関節です。
また、関節の腫れに加え、発熱を繰り返したり、皮疹が発現したりすることもあります。
若年性特発性関節炎は症状によって、
- 全身型:最も多く、発熱や皮疹を呈する
- 少関節炎型:膝などの大きい関節に発現する
- 多関節炎型:手首や手足の指の関節に発現する
に分類されています。
今回紹介するイラリスは全身型の若年性特発性関節炎(SJIA)に使用できる薬剤です。
発症メカニズム
発症メカニズムは明確には不明ですが、免疫系の異常が考えられています。
免疫系が異常に活動する結果として、関節滑膜組織にT細胞などのリンパ球、マクロファージなどが集まってきます。
このT細胞やマクロファージが産生するサイトカイン(TNFα、IL-1β、IL-6、IL-18など)と呼ばれる物質の作用により関節内に炎症反応が引き起こされると考えられています。
若年性特発性関節炎の治療
治療には通常、
痛みを抑えるNSAIDsや、メトトレキサートに炎症を抑えるステロイドを併用した治療が行われます。
これらの薬剤を使用しても進行が抑えられない場合、生物化学的製剤が使用されますが、全身型の若年性特発性関節炎(SJIA)に使用できる生物学的製剤はアクテムラ(一般名:トシリズマブ)しかありませんでした。
イラリスは新たにSJIAに使用できる生物学的製剤です。
イラリス(一般名:カナキヌマブ)の作用機序
イラリスはIL-1βに結合してその活性を抑制するヒト型抗ヒトIL-1βモノクローナル抗体製剤です。
IL-1βを抑制することで慢性的な炎症反応や炎症による進行性の組織障害を抑制すると考えられています。
イラリス(一般名:カナキヌマブ)の副作用
主な副作用として、腹痛、頭痛、好中球減少症などが報告されています。
稀に敗血症を含む重篤な感染症等の発現が報告されているため、特に注意が必要です。
類薬
若年性特発性関節炎に適応を有する類薬としては、
などがあります。
4剤共に「多関節炎型」には使用可能ですが、「全身型(SJIA)」にはアクテムラしか使用できません。
あとがき
これまで全身型の若年性特発性関節炎(SJIA)に使用できる生物学的製剤はアクテムラ(一般名:トシリズマブ)しかありませんでした。
イラリスの適応拡大によって、治療選択肢が増えることは朗報ではないでしょうか。
また、イラリスはこれまで「皮下注用」しか剤形がなく、使用時には溶解の必要性がありました。
今回、新しく溶解不要の「皮下注射液」も登場しましたので、調製がより簡便になるかと思います。
以上、今回は若年性特発性関節炎とイラリス(カナキヌマブ)の作用機序についてご紹介しました。
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