2.循環器系

オプスミット(マシテンタン)の作用機序:類薬との違い【肺動脈性高血圧症】

肺動脈性高血圧症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品のオプスミット錠10mg(一般名:マシテンタン)が2015年3月26日に承認されました!

 

オプスミットはエンドセリン受容体拮抗薬に分類されており、既に以下の2剤が販売されていますので3番手の登場です。

  • トラクリア錠(一般名:ボセンタン)
  • ヴォリブリス(一般名:アンブリセンタン)

 

今回は肺動脈性高血圧症とオプスミット(マシテンタン)の作用機序についてご紹介します★

 

心臓と血液循環

ご存知の通り、心臓は大きく4つの部位(右心房・右心室・左心房・左心室)に分かれています。

 

通常、成人の心臓は以下の図のような流れで血液が循環しています。

  1. 右心房に血液が流入(大静脈)
  2. 右心室から肺に血液を送る(肺動脈)
  3. 肺で酸素を受け取る
  4. 左心房に血液が流入(肺静脈)
  5. 左心室から全身に血液を送る(大動脈)

 

このように心臓は血液を肺や全身に送る際のポンプとしての役割を担っています。

 

肺動脈性肺高血圧症とは

心臓から肺に血液を送るための血管を「肺動脈」といいますが、この肺動脈の血圧が異常に上昇するのが「肺動脈性肺高血圧症(PAH)」と呼ばれる疾患です。

 

肺高血圧症になると肺への血液循環が悪くなり、肺から血液に取り込まれる酸素の量が減ってしまいます。

そのため、軽い動作で息切れや呼吸困難といった症状が現れます。

 

しかし、何故このような病気が起こるのかは解明されていません。

 

この病気の原因解明が必要であり、有効な治療法の研究開発のため、肺動脈性肺高血圧症(PAH)は「難治性呼吸器疾患(指定難病)」に認定されています。

 

肺高血圧症に関わる因子

肺高血圧症に関わる因子として、以下の3つの経路があります。

  • プロスタグランジンI2(PGI2)経路
  • 一酸化窒素(NO)経路
  • エンドセリン経路

 

PGI2経路で合成されるcAMPや、NO経路で合成されるcGMP血管拡張作用を有しています。

一方、エンドセリン経路ではエンドセリン受容体が刺激されることで血管収縮作用があります。

 

肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療

根本的な治療薬はありませんが、肺動脈の血管を拡張させ、血圧を下げることが出来ればPAHの症状が軽減できます。

 

先ほどの3つの経路を標的にした以下のような薬剤が使用されています。

経路分類代表薬
PGI2経路PGI2製剤静注用フローラン(エポプロステノール)、
ベンテイビス吸入(イロプロスト)
トレプロスト注射用(トレプロスチニル)
PGI2受容体作動薬ウプトラビ(セレキシパグ)
NO経路PDE5阻害薬レバチオ(シルデナフィル)
アドシルカ(タダラフィル)
可溶性
グアニル酸シクラーゼ刺激薬
アデムパス(リオシグアト)
エンドセリン経路エンドセリン受容体拮抗薬オプスミット(マシテンタン)
トラクリア(ボセンタン)
ヴォリブリス(アンブリセンタン)

 

これらを適宜単剤もしくは併用して治療が行われています。

今回ご紹介するオプスミットは「エンドセリン受容体拮抗薬」に分類されており、エンドセリン経路に関与しています!

 

オプスミット(一般名:マシテンタン)の作用機序

オプスミットは血管収縮作用のあるエンドセリンが結合するエンドセリン受容体を遮断する薬剤です。

 

エンドセリンが作用しなくなりますので、血管が拡張し、PAHの症状改善効果が得られると考えられています。

 

オプスミット錠と類薬(トラクリア、ヴォリブリス)との違い・特徴

簡単な作用機序の違い・適応の違いは下表の通りです。

薬剤遮断する
エンドセリン受容体
用法小児適応
トラクリア錠エンドセリン受容体A/B1日2回
ヴォリブリス錠エンドセリン受容体A1日1回×
オプスミット錠エンドセリン受容体A/B1日1回×

 

トラクリアのみ小児の適応がありますが、その他の2剤は成人のみです。

 

またオプスミットは

  • トラクリアに比し肝機能検査値異常の発現が少ない1)
  • ヴォリブリスに比して浮腫に関連する有害事象の発現が少ない1)
  • 組織移行性と組織親和性が高い。副作用が少なく効果が高い2)

ことが示唆されています。

 

1)オプスミット錠:審査報告書より
2)肺高血圧症治療ガイドライン(2017 年改訂版)

 

より詳しい比較表や使い分けについては以下の記事で紹介しています★

 

まとめ・あとがき

オプスミットはこんな薬

  • エンドセリン受容体AとBを遮断する
  • 肝機能検査値異常や浮腫の発現が類薬より少ない(と示唆されている)

 

以上、今回は肺動脈性肺高血圧症(PAH)とオプスミット錠の作用機序についてご紹介しました☆

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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