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2025年11月27日、厚労省の薬事審議会・医薬品第二部会にて「遺伝性血管性浮腫の急性発作」を対象疾患とするエクテリー錠(セベトラルスタット)の承認が了承されました!
KalVista Pharmaceuticals|申請のニュースリリース
現時点では未承認のためご注意ください。
基本情報
| 製品名 | エクテリー錠300mg |
| 一般名 | セベトラルスタット |
| 製品名の由来 | |
| 製造販売 | KalVista Pharmaceuticals |
| 効能・効果 | 遺伝性血管性浮腫の急性発作 |
| 用法・用量 | 通常、成人及び12歳以上の小児には1回300mgを経口投与する。 効果が不十分な場合又は症状が再発した場合は、 2時間以上の間隔をおいて1回300mgを追加投与することができる。 ただし、24時間あたりの投与回数は2回までとする |
| 収載時の薬価 | |
| 発売日 |
遺伝性血管性浮腫(HAE)は稀な疾患でこれまで治療選択肢が限られていました。
HAEには「発症抑制」と「急性発作」の治療がありますが、これまで急性発作の治療薬は注射薬しかありませんでした。
今回はHAEの疾患と共にエクテリー(セベトラルスタット)の作用機序を解説していきます。
遺伝性血管性浮腫(HAE)とは
遺伝性血管性浮腫(Hereditary angioedema: HAE)は全身の皮下や粘膜に「浮腫(むくみ)」が起こる疾患で、遺伝的要素が多いとされています。
※HAEの読み方ですが、「ハエ」や「エイチエーイー」と呼ばれます
浮腫が起こる部位によって症状が異なりますが、多い部位としては手足や消化管、咽頭と言われています。
- 手足の皮膚:手や足がむくんでしまう
- 消化管:激しい腹痛と共に悪心・嘔吐・下痢が起こる
- 咽頭:呼吸困難
原因
生体内には「ブラジキニン」と呼ばれる炎症性物質が存在していますが、通常は「C1-インヒビター(別名:C1-インアクチベーター)」と呼ばれる物質によってその産生までのカスケードが抑制(制御)されています。

※上記イラストはカリクレインを例にしていますが、それ以外の経路もC1-インヒビターによって抑えられていると考えられています。
しかしHAEでは遺伝的要因等によってC1-インヒビターが欠損もしくは活性が低下してしまっている状態です。1)

急性発作時の治療
HAEの症状が起こった場合(急性発作時)、C1-インヒビター製剤の補充療法やフィラジル皮下注(イカチバント)の投与を行います。1)
- C1-インヒビター製剤:ベリナート静注用(一般名:ヒトC1-インアクチベーター)
- フィラジル皮下注(イカチバント):ブラジキニンB2受容体拮抗薬
ベリナートは静注製剤のため、自己注射はできず、病院等で投与する必要がありましたが、フィラジルは自己注射も可能な皮下注製剤ですね。
このように、今までは注射薬による治療しかありませんでしたが、経口投与可能なエクテリー錠が新たな治療選択肢に加わります!
急性発作の発症予防
HAEの急性発作の発症抑制(長期予防)を目的として使用できる薬剤は、2021年に登場した初の経口薬のオラデオ(ベロトラルスタット)などがあります。
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オラデオ(ベロトラルスタット)の作用機序【遺伝性血管性浮腫(HAE)】
続きを見る
ガイドラインにおいては、副作用や患者さんの状態などを考慮した上で、以下の選択肢が同列で推奨されています。1)
その他、侵襲を伴う処置(例:歯科治療、出産、小手術)を行うと、HAEの発作が引き起こされることがあり、その発症抑制としてはベリナート静注用/皮下注用が用いられます。
侵襲を伴う処置のHAE発作抑制に対してはオラデオ、タクザイロ、アナエブリも適応外
エクテリー(セベトラルスタット)の作用機序:経口のカリクレイン阻害薬
エクテリーはブラジキニンの産生に関与しているカリクレインを選択的に阻害する薬剤です。

ブラジキニンの産生が抑制される結果、HAEの急性発作予防につながると考えられます。
作用機序的には、急性発作の発症抑制に使用されるオラデオ(ベロトラルスタット)と同じですが、エクテリーは急性発作時の治療に使用できる初の経口薬です!
エビデンス紹介:KONFIDENT試験
根拠となった臨床試験(KONFIDENT試験)をご紹介します。2)
本試験は、HAEの成人および12歳以上の小児の患者さんを対象とし、エクテリー300mgおよび600mgの有効性および安全性をプラセボと比較検討する国際共同の無作為化第Ⅲ相試験です(1回のHAE発作につき最大2回分の用量の服用が可能)。
主要評価項目は「症状緩和の開始までの時間」とされ、結果は以下の通りでした。
| プラセボ群 | エクテリー 300mg群 |
エクテリー 600mg群 |
|
| 症状緩和の開始までの時間 | 6.72時間 | 1.61時間 | 1.79時間 |
| プラセボとの差 | P<0.001 | P=0.001 |
副作用
正式承認後に更新予定です。
用法・用量
通常、成人及び12歳以上の小児には1回300mgを経口投与します。
効果が不十分な場合又は症状が再発した場合は、2時間以上の間隔をおいて1回300mgを追加投与することができるとされていますが、24時間あたりの投与回数は2回までです。
収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
まとめ・あとがき
エクテリーはこんな薬
- HAEの急性発作時の治療薬として経口投与で使用する
- カリクレインを選択的に阻害することでブラジキニンの産生を抑制する
- 常温保存が可能で、外出先への持ち運びも容易
HAEは稀な疾患ですが、これまで急性発作時に使用できる薬剤は注射剤のみでした。
エクテリーは初の経口投与可能な治療薬ですので、より利便性が期待できるのではないでしょうか。
他の薬剤についても併せてご確認くださいませ♪
以上、今回は遺伝性血管性浮腫(HAE)とエクテリー(セベトラルスタット)の作用機序についてご紹介しました。
引用文献・資料等
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