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今回は男性型脱毛症(AGA)と、よく使用される治療薬の作用機序についてご紹介します。
近年、AGAの治療薬には国に認可されていないような薬も存在しているようですので、注意事項を交えながらご紹介していきます。
男性型脱毛症(AGA)とは
男性型脱毛症(AGA:Androgenetic Alopecia)とは、成人の男性によくみられる髪の毛が薄くなった状態を言います。
思春期以降に、おでこの生え際(前頭部)や頭頂部の髪の毛が薄くなってきます。
症状として、以下のようなものが認められた場合、AGAの可能性があります。
- おでこの生え際(前頭部)や前頭部の髪の毛が細くなってきた
- おでこが広くなってきた
- 頭頂部の触り心地が以前よりスカスカしてきた
- 抜け毛が最近増えてきた
- 抜け毛が昔より細い
このようなAGAの発症には後述する男性ホルモンの中でも「ジヒドロテストステロン」が関与すると言われています。
その他にも遺伝的要因、環境要因などが複雑に絡み合って発症します。
また、女性の脱毛症では、男性型脱毛症(AGA)と区別するために「女性男性型脱毛症(FAGA:Femwomanale Androgenetic Alopecia)」と呼ばれます。
AGAの患者数
抜け毛や薄毛で悩まれている男性の90%以上がAGAだと言われております。
日本人男性の発症頻度は平均約30%と報告され、患者数は1200万人以上と推察されています。
年代的には20歳代後半から徐々に進行が見られ、40歳代や50歳代で症状が完成します。
各年代の発症率は、
- 20歳代:約10%
- 30歳代:20%
- 40歳代:30%
- 50歳代:40%強
と言われていますが、近年では20歳代から発症することも増えてきているようです。
食生活や生活習慣によるものと考えられます。
AGAと毛周期
通常、髪の毛は1日に50~100本は抜けると言われていますが、それと同じ量が生えて成長しています。
このような髪の毛が生え、成長し、抜けるまでの過程を「毛周期(別名:ヘアーサイクル)」と呼んでいます。
毛周期には、大きく分けて以下の3つの期があります。
- 成長期:髪の毛が成長し、太く長くなる
- 退行期:髪の毛の成長が鈍化する
- 休止期:髪の毛が抜けていく
成長期
通常、成長期の期間は2~6年と言われており、毛母細胞が活発に増殖して髪の毛を太く・長くします。
髪の毛全体の約90%がこの成長期に該当します。
AGAでは、後述のジヒドロテストステロンの影響で、成長期の期間が「数か月~1年」まで短縮されてしまっています。
そのため、全体的に休止期に入る髪の毛が多くなってしまい、脱毛・薄毛になりAGAを発症してしまいます。
退行期
退行期の期間は約2週間程度で、毛母細胞の増殖が少なくなります。
この時期から髪の毛が抜けやすくなります。
休止期
休止期の期間は約3~4か月で、毛母細胞の働きが完全に止まります。
ここから成長期に戻る際に、古い髪の毛が抜けるため、休止期は特に抜け毛が起きやすい時期です。
猫や犬などは、一気に毛の抜ける時期がありますが、これは全体の毛が休止期に入るためです。
ヒトではそれぞれの髪の毛毎に期が異なっていますので、通常は一気に抜けることはありません。
AGAとジヒドロテストステロン
男性ホルモンの一種である「テストステロン」が髪の毛の毛根に運ばれると、「5α-還元酵素(5α-リダクターゼ)」と呼ばれる酵素によって、より活性の強い「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されます。
また、5α-還元酵素には1型と2型があり、2型の5α-還元酵素がよりDHTへの変換を促進していると言われています。
DHTが髪の毛の毛根にある男性ホルモン受容体に結合すると、毛母細胞の増殖が抑制され、成長期が短縮されてしまいます。
おでこの生え際(前頭部)や頭頂部ではDHTの感受性が高いため、AGAでは生え際や頭頂部から症状が進行していきます。
AGAの治療と治療薬
AGAの患者数は1200万人以上と推察されていますが、治療を受けているのはその半数以下だそうです。
しっかりと早期に治療を開始すれば、薄毛の進行を抑えることができますので、まずは医療機関を受診して治療を開始することが望ましいです。
AGAの治療薬には、国に認可されていないような怪しい薬や海外からの輸入品も横行していることがしばしばあります。きちんとした医療機関を受診の上、国に認可されている薬を使用してください!
国に認可されている治療薬には、主に以下があります。
- 内服薬:プロペシア(一般名:フィナステリド)とザガーロ(一般名:デュタステリド)があり、共に5α-還元酵素を阻害する薬剤です。
- 外用薬(塗り薬):リアップ(一般名:ミノキシジル)
薬を用いない治療には植毛やレーザー治療等がありますので、個々人や進行具合、症状等によって使い分けられたり、適宜併用して用いられます。
プロペシア(フィナステリド)とザガーロ(デュタステリド)の作用機序
共に5α-還元酵素を阻害することで、DHTの産生量を低下させます。
DHT量が減少することで毛母細胞の増殖が元に戻り、成長期が延長します。その結果、AGAの症状進行を抑制できると考えられます。
プロペシア(フィナステリド)は2型5α-還元酵素のみ阻害しますが、ザガーロ(デュタステリド)は1型と2型5α-還元酵素を共に阻害します。
従って、ザガーロの方がよりAGAの進行抑制が強力だと考えられます。
注意事項として、
ザガーロ(デュタステリド)もプロペシア(フィナステリド)も男性ホルモンであるテストステロンからDHTへの変換を阻害する薬剤です。
従って、女性の脱毛症「女性男性型脱毛症(FAGA)」に対しては使用することができませんのでご注意ください。
リアップ(ミノキシジル)の作用機序
リアップ(ミノキシジル)の作用機序にはいくつかの説があります。
- 血管拡張作用によって毛根に栄養等を行き渡らせる
- 成長因子(VEGFなど)の生成を促進させる
- プロスタグランジンの生成を促進させる
これらの作用機序によって、毛母細胞を活性化し、成長期を延長させると考えられています。
特にプロスタグランジンは毛包に作用して成長期を延長する作用があることが知られており、これに着目したグラッシュビスタ(一般名:ビマトプロスト)が「睫毛貧毛症」の治療薬として国から認可され、使用されています。
ただし、グラッシュビスタはAGAには使用できませんのでご注意ください。
ミノキシジルについては外用薬以外にも「内服薬」も認可外の薬として存在しているようです。
しかし、内服薬のミノキシジルは国に認可されておらず、エビデンスも存在しないため、絶対に服用しないようご注意ください!!(AGAのガイドライン2017年版にもCQ14に記載されています)
なお、リアップ(ミノキシジル)は女性の脱毛症「女性男性型脱毛症(FAGA)」に対しても使用することができます。
また、抗がん剤の副作用の脱毛に対してもリアップ(ミノキシジル)が使用されることもあります。
あとがき
AGA治療薬には、様々な種類の薬が世の中に存在します。
薬の効果は人それぞれで、内服薬で効果が出る方もいれば、外用薬の使用でAGAが改善される方もいると思います。
また同じ内服薬でも、プロペシアでは改善しなかったけれど、ザガーロに切り替えたら効果が現れるケースもあるかもしれません。
AGAの治療薬には国に認可されていない薬もありますので、まずは信頼性の高い医療機関を受診の上、治療を開始することが望ましいと考えます。
以上、今回はAGA治療と治療薬の作用機序についてご紹介しました。
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