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男性型脱毛症(AGA)治療薬のプロペシア錠の後発品(GE品)であるフィナステリド錠0.2mg「ファイザー」、同1mg「ファイザー」が2015年4月に発売されました。
日本でのプロペシアのGE品は今回が初めてです。
今回は男性型脱毛症(AGA)とプロペシア(一般名:フィナステリド)の作用機序についてご紹介します。
男性型脱毛症(AGA)とは
男性型脱毛症(AGA:Androgenetic Alopecia)とは、成人の男性によくみられる髪の毛が薄くなった状態を言います。
思春期以降に、おでこの生え際(前頭部)や頭頂部の髪の毛が薄くなってきます。
症状として、以下のようなものが認められた場合、AGAの可能性があります。
- おでこの生え際(前頭部)や前頭部の髪の毛が細くなってきた
- おでこが広くなってきた
- 頭頂部の触り心地が以前よりスカスカしてきた
- 抜け毛が最近増えてきた
- 抜け毛が昔より細い
このようなAGAの発症には後述する男性ホルモンの中でも「ジヒドロテストステロン」が関与すると言われています。
その他にも遺伝的要因、環境要因などが複雑に絡み合って発症します。
また、女性の脱毛症では、男性型脱毛症(AGA)と区別するために「女性男性型脱毛症(FAGA:Femwomanale Androgenetic Alopecia)」と呼ばれます。
AGAの患者数
抜け毛や薄毛で悩まれている男性の90%以上がAGAだと言われております。
日本人男性の発症頻度は平均約30%と報告され、患者数は1200万人以上と推察されています。
年代的には20歳代後半から徐々に進行が見られ、40歳代や50歳代で症状が完成します。
各年代の発症率は、
- 20歳代:約10%
- 30歳代:20%
- 40歳代:30%
- 50歳代:40%強
と言われていますが、近年では20歳代から発症することも増えてきているようです。
食生活や生活習慣によるものと考えられます。
AGAと毛周期
通常、髪の毛は1日に50~100本は抜けると言われていますが、それと同じ量が生えて成長しています。
このような髪の毛が生え、成長し、抜けるまでの過程を「毛周期(別名:ヘアーサイクル)」と呼んでいます。
毛周期には、大きく分けて以下の3つの期があります。
- 成長期:髪の毛が成長し、太く長くなる
- 退行期:髪の毛の成長が鈍化する
- 休止期:髪の毛が抜けていく
成長期
通常、成長期の期間は2~6年と言われており、毛母細胞が活発に増殖して髪の毛を太く・長くします。
髪の毛全体の約90%がこの成長期に該当します。
AGAでは、後述のジヒドロテストステロンの影響で、成長期の期間が「数か月~1年」まで短縮されてしまっています。
そのため、全体的に休止期に入る髪の毛が多くなってしまい、脱毛・薄毛になりAGAを発症してしまいます。
退行期
退行期の期間は約2週間程度で、毛母細胞の増殖が少なくなります。
この時期から髪の毛が抜けやすくなります。
休止期
休止期の期間は約3~4か月で、毛母細胞の働きが完全に止まります。
ここから成長期に戻る際に、古い髪の毛が抜けるため、休止期は特に抜け毛が起きやすい時期です。
猫や犬などは、一気に毛の抜ける時期がありますが、これは全体の毛が休止期に入るためです。
ヒトではそれぞれの髪の毛毎に期が異なっていますので、通常は一気に抜けることはありません。
AGAとジヒドロテストステロン
男性ホルモンの一種である「テストステロン」が髪の毛の毛根に運ばれると、「5α-還元酵素(5α-リダクターゼ)」と呼ばれる酵素によって、より活性の強い「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されます。
また、5α-還元酵素には1型と2型があり、2型の5α-還元酵素がよりDHTへの変換を促進していると言われています。
DHTが髪の毛の毛根にある男性ホルモン受容体に結合すると、毛母細胞の増殖が抑制され、成長期が短縮されてしまいます。
おでこの生え際(前頭部)や頭頂部ではDHTの感受性が高いため、AGAでは生え際や頭頂部から症状が進行していきます。
AGAの治療と治療薬
AGAの患者数は1200万人以上と推察されていますが、治療を受けているのはその半数以下だそうです。
しっかりと早期に治療を開始すれば、薄毛の進行を抑えることができますので、まずは医療機関を受診して治療を開始することが望ましいです。
AGAの治療薬には、国に認可されていないような怪しい薬や海外からの輸入品も横行していることがしばしばあります。きちんとした医療機関を受診の上、国に認可されている薬を使用してください!
国に認可されている治療薬には、主に以下があります。
- 内服薬:プロペシア(一般名:フィナステリド)とザガーロ(一般名:デュタステリド)があり、共に5α-還元酵素を阻害する薬剤です。
- 外用薬(塗り薬):リアップ(一般名:ミノキシジル)
薬を用いない治療には植毛やレーザー治療等がありますので、個々人や進行具合、症状等によって使い分けられたり、適宜併用して用いられます。
プロペシア(一般名:フィナステリド)の作用機序
プロペシアはテストステロンからDHTの変換に関与している2型5α-還元酵素を阻害することで、DHTの産生量を低下させます。
DHT量が減少することで毛母細胞の増殖が元に戻り、成長期が延長します。その結果、AGAの症状進行を抑制できると考えられます。
類薬
プロペシア(一般名:フィナステリド)は2型5α-還元酵素のみ阻害しますが、類薬のザガーロ(デュタステリド)は1型と2型5α-還元酵素を共に阻害します。
従って、ザガーロの方がよりAGAの進行抑制が強力だと考えられます。
注意事項
ザガーロ(デュタステリド)もプロペシア(フィナステリド)も男性ホルモンであるテストステロンからDHTへの変換を阻害する薬剤です。
従って、女性の脱毛症「女性男性型脱毛症(FAGA)」に対しては使用することができませんのでご注意ください。
あとがき
男性型脱毛症(AGA)のまとめ記事もありますので、是非ご覧ください。
先発品と同様、薬価基準未収載医薬品のため、公的医療保険の給付対象にはなりませんので、処方価格は医療機関が決めます。
GE品は先発品より少し安く購入できるかもしれませんね。
以上、本日は男性型脱毛症(AGA)に対するプロペシア(フィナステリド)をご紹介しました!
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