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2021年1月22日、「遺伝性血管性浮腫」を対象疾患とするオラデオ(ベロトラルスタット)が承認されました!
オーファンパシフィック|ニュースリリース
基本情報
製品名 | オラデオカプセル150mg |
一般名 | ベロトラルスタット塩酸塩 |
製品名の由来 | 「Oral a day」(1日1回経口投与)の音に由来している。 |
製薬会社 | 製造販売:(株)オーファンパシフィック 販売:鳥居薬品(株) |
効能・効果 | 遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制 |
用法・用量 | 通常、成人及び12 歳以上の小児には、 ベロトラルスタットとして150 mg(1カプセル)を1 日1 回経口投与する。 |
収載時の薬価 | 74,228.20円 |
遺伝性血管性浮腫(HAE)は稀な疾患でこれまで治療選択肢が限られていました。
2018年には新たな治療薬として、自己注射可能なフィラジル(イカチバント)が承認されましたが、まだまだ治療薬が少ないのが現状です。
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フィラジル(イカチバント)の作用機序と副作用【遺伝性血管性浮腫(HAE)】
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先駆け審査指定品目でもありますね。
また、HAEでは初の経口投与製剤です!疾患解説や作用機序について紹介していきます。
遺伝性血管性浮腫(HAE)とは
遺伝性血管性浮腫(Hereditary angioedema: HAE)は全身の皮下や粘膜に「浮腫(むくみ)」が起こる疾患で、遺伝的要素が多いとされています。
※HAEの読み方ですが、「ハエ」や「エイチエーイー」と呼ばれます
浮腫が起こる部位によって症状が異なりますが、多い部位としては手足や消化管、咽頭と言われています。
- 手足の皮膚:手や足がむくんでしまう
- 消化管:激しい腹痛と共に悪心・嘔吐・下痢が起こる
- 咽頭:呼吸困難
原因
生体内には「ブラジキニン」と呼ばれる炎症性物質が存在していますが、通常は「C1-インヒビター(別名:C1-インアクチベーター)」と呼ばれる物質によってその産生が抑制(制御)されています。
※上記イラストはカリクレインを例にしていますが、それ以外の経路もC1-インヒビターによって抑えられていると考えられています。
しかしHAEでは遺伝的要因等によってC1-インヒビターが欠損もしくは活性が低下してしまっている状態です。1)
治療
HAEの症状が起こった場合(急性発作時)、C1-インヒビター製剤の補充療法やフィラジル(イカチバント)の投与しか治療選択肢がありませんでした。1)
- C1-インヒビター製剤:ベリナート静注用(一般名:ヒトC1-インアクチベーター)
- フィラジル(イカチバント):ブラジキニンB2受容体拮抗薬
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ベリナート(ヒトC1-インアクチベーター)の作用機序【遺伝性血管性浮腫(HAE)】
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ベリナートは静注製剤のため、自己注射はできず、病院等で投与する必要がありましたが、フィラジルは自己注射も可能といった特徴があります。
なお、オラデオは急性発作の発症抑制のために使用できる初の薬剤となります。予防として使用していく感じですね。
その他、侵襲を伴う処置(例:歯科治療、出産、小手術)を行うと、HAEの発作が引き起こされることがあり、その発症抑制としてはC1-インヒビター製剤(ベリナート)が用いられます。
フィラジルに発症抑制の効能・効果はありませんのでご注意ください。
オラデオ(ベロトラルスタット)の作用機序
オラデオはブラジキニンの産生に関与しているカリクレインを選択的に阻害する薬剤です。
ブラジキニンの産生が抑制される結果、HAEの急性発作予防につながると考えられます。
副作用
5%以上10%未満に認められる副作用として、腹痛、下痢、鼓腸が挙げられています。
重大な副作用としては、
- 肝機能障害(3.8%)
- QT延長(頻度不明)
がありますので特に注意が必要です。
用法・用量
通常、成人及び12歳以上の小児には、ベロトラルスタットとして150mg(1カプセル)を1日1回経口投与します。
収載時の薬価
収載時(2021年4月21日)の薬価は以下の通りです。
- オラデオカプセル150mg:74,228.20円
算定方法については以下の記事をご確認ください。
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【新薬:薬価収載】11製品+再生医療等製品(2021年4月21日)
続きを見る
まとめ・あとがき
オラデオはこんな薬
- HAEで初の経口治療薬
- カリクレインを阻害することでブラジキニンの産生を抑制する
- 1日1回経口投与
HAEは稀な疾患ですが、これまで急性発作予防に使用できる薬剤はありませんでした。
以上、今回は遺伝性血管性浮腫(HAE)とオラデオ(ベロトラルスタット)の作用機序についてご紹介しました☆
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