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ビルベイ顆粒(オデビキシバット)の作用機序【家族性肝内胆汁うっ滞症】

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2025年8月29日、厚労省の薬事審議会・医薬品第一部会にて「家族性肝内胆汁うっ滞症」を対象疾患とするビルベイ顆粒(オデビキシバット)の承認が了承されました!

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名 ビルベイ顆粒200µg/600µg
一般名 オデビキシバット水和物
製品名の由来
製造販売 イプセン社
効能・効果 進行性家族性肝内胆汁うっ滞症に伴うそう痒
用法・用量
収載時の薬価
発売日

 

木元 貴祥
木元 貴祥
ビルベイは、新規の胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害薬に分類されていますね。

 

類薬としては、慢性便秘症に使用されるグーフィス(エロビキシバット)や、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症・アラジール症候群に使用されるリブマーリ内用液(マラリキシバット)などがあります。

アラジール症候群
リブマーリ(マラリキシバット)の作用機序【アラジール症候群】

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今回は進行性家族性肝内胆汁うっ滞症と共に、ビルベイ(オデビキシバット)の作用機序についてご紹介していきます。

 

進行性家族性肝内胆汁うっ滞症とは

進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC:Progressive familial intrahepatic cholestasis)は、乳児期に発症し、常染色体劣性遺伝形式をとる家族性の肝内胆汁うっ滞症です。1)

 

主な症状としては、下痢、成長障害、肝不全、肝脾腫、著明な瘙痒感などがあり、進行すると肝不全や肝細胞がんに発展することもあります。2)

 

生存率は5歳で50%、20歳で10%程度と見積もられている非常に予後不良な疾患です。1)

 

原因・症状

いくつかの遺伝子異常が報告されていて、それによってPFICはいくつかの型に分類されています。

明確な理由は不明なものの、肝臓から胆汁酸を排出する役割を担う「胆汁酸排泄ポンプBSEP(bile salt export pump)」の機能が低下することが知られています。

 

肝臓は胆汁酸(胆汁)を合成し、それをBSEPを通じて毛細胆管に排出します。その後、毛細胆管→胆管→胆のうを通じて最終的に腸へと排出されていきます。

 

家族性肝内胆汁うっ滞症では、先天的にBSEPの機能が低下しているため、肝臓→毛細胆管へ排出されるはずの胆汁酸が肝臓内に滞留(うっ滞)してしまいます。また、それに伴う肝障害やそう痒(痒み)が現れることがあります。

家族性肝内胆汁うっ滞症では、BSEPの機能低下によって、胆汁酸がうっ滞し、肝障害を引き起こす。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
先天的な遺伝子異常で、肝臓内に胆汁酸がうっ滞してしまっている状態ですね!

 

なお、腸管内に排出された胆汁酸の一部は、回腸に存在している胆汁酸トランスポーター(IBAT:ileal bile acid transporter)によって血中に再吸収され、肝臓で再利用されています。

 

治療

治療は対症療法が基本です。1-2)

  • 肝障害予防目的 → ウルソデオキシコール酸
  • 不眠症・不安 → フェノバルビタール
  • 慢性の胆汁うっ滞や成長障害 → 脂溶性ビタミンや中鎖脂肪酸(MCT)の補充など栄養療法

 

根治治療としては、肝移植がありますが、再発してしまうこともしばしば報告されています。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
今回ご紹介するビルベイは、胆汁うっ滞に伴うそう痒に対して効果が期待されている薬剤ですね!

 

ビルベイ(オデビキシバット)の作用機序:IBAT阻害薬

ビルベイは、回腸に存在する胆汁酸トランスポーター(IBAT:ileal bile acid transporter)を選択的に阻害する薬剤です!

ビルベイ(オデビキシバット)の作用機序:IBAT阻害薬

 

IBATが阻害されることで、腸管からの胆汁酸の再吸収が抑制される結果、血中および肝内・胆管内の胆汁酸が減少し、胆汁酸うっ滞による症状緩和が得られると考えられています。

 

用法・用量

正式承認後に更新予定です。

 

副作用

正式承認後に更新予定です。

 

同様の作用機序を有するグーフィス(エロビキシバット)は慢性便秘症に使用されているので、下痢や腹痛の副作用は当然起こり得ると思います。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

ビルベイはこんな薬

  • 進行性家族性肝内胆汁うっ滞症に伴うそう痒に使用する顆粒剤
  • 胆汁酸トランスポーター(IBAT)を阻害することで、胆汁酸の再吸収を抑制
  • 下痢には注意が必要

 

木元 貴祥
木元 貴祥
家族性肝内胆汁うっ滞症に伴うそう痒に対しては治療選択肢が限定的でしたが、ビルベイは新たな治療選択肢として期待できると思います!

 

慢性便秘症では、同様の作用機序を有するグーフィス(エロビキシバット)が使用されていますので、併せてご確認ください♪

 

慢性便秘症の治療薬については、以下でまとめています。

モビコール配合内用剤(マクロゴール)の作用機序:類薬との比較/違い【便秘症】

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以上、今回は家族性肝内胆汁うっ滞症と共に、ビルベイ顆粒(オデビキシバット)の作用機序についてご紹介しました!

 

参考資料・文献等

  1. 小児慢性特定疾病情報センター|進行性家族性肝内胆汁うっ滞症
  2. 難病情報センター|進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(指定難病338)

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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