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2022年7月29日、厚労省の薬食審医薬品第二部会で新薬として5製品が審議され、全て承認が了承されました!
天然痘ワクチンの乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16「KMB」については、新たに「サル痘予防」の適応拡大が承認了承されています。こちらは当初の予定には無かったのですが、昨今のサル痘拡大によって急遽追加されました。
その他、報告のみで承認了承された5製品もあります。
今回は概要について紹介しています。
審議品目:5製品
●ナノゾラ皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))
:「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。
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ナノゾラ(オゾラリズマブ)の作用機序・特徴【関節リウマチ】
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ナノゾラは国内初の「ナノボディ」に分類されていて、ラクダ科の動物が産生する特殊なタイプの抗体から創薬されました。
●スぺビゴ点滴静注450mg(一般名:スペソリマブ(遺伝子組換え))
:「膿疱性乾癬における急性症状の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。
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スペビゴ(スペソリマブ)の作用機序【膿疱性乾癬】
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膿疱性乾癬(汎発型)の急性症状は特に致死的になりますが、その症状を抑制する新薬です。
国内初の抗IL-36受容体モノクローナル抗体ですね!
●フィラジル皮下注30mgシリンジ(一般名:イカチバント酢酸塩)
:「遺伝性血管性浮腫の急性発作」を効能・効果とし、小児用量を追加する新用量医薬品。
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フィラジル(イカチバント)の作用機序と副作用【遺伝性血管性浮腫(HAE)】
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ブラジキニンB2受容体拮抗薬で、これまでは成人の使用に限られていました。
●リムパーザ錠100mg、同150mg(一般名:オラパリブ)
:「BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術後薬物療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。
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リムパーザ(オラパリブ)の作用機序【卵巣/乳/膵/前立腺がん】
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これまでは進行・再発の乳がんに対して使用されていましたが、術後薬物療法として使用可能になります。
作用機序としては、PARP阻害薬に分類されていますね。
●乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16「KMB」(一般名:乾燥細胞培養痘そうワクチン)
:「サル痘の予防」を効能・効果とする新効能医薬品。
本ワクチンは現在、痘そう(天然痘)の予防に使用されています。今回、サル痘が欧米を中心に感染拡大していることを受けて、WHOガイダンスや公表文献など、公知のエビデンスを踏まえて承認了承されました。
参考:厚労省|複数国(非エンデミック国)におけるサル痘の発生について - 更新3
参考:WHO|サル痘の監視、症例調査、接触者追跡に関するWHO暫定ガイダンス
その後、2022年8月2日に正式に適応拡大が承認されました!
- 販売名: 乾燥細胞培養痘そうワクチン LC16「KMB」
- 一般名: 乾燥細胞培養痘そうワクチン
- 申請者: KM バイオロジクス株式会社
- 申請日: 令和4年7月6日
- 効能・効果: 痘そう及びサル痘の予防(下線部追加)
報告品目:5製品
●タグリッソ錠40mg、同80mg(一般名:オシメルチニブメシル酸塩)
:「EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんにおける術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量・その他の医薬品。
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タグリッソ(オシメルチニブ)の作用機序と副作用【肺がん】
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EGFR阻害薬では初の術後補助療法の適応ですね!
●キイトルーダ点滴静注100mg(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))
:「腎細胞がんにおける術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。
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バベンチオ/キイトルーダ+インライタの作用機序【腎細胞がん】
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腎細胞がんの術後療法として初の薬剤となります!!
上記の記事では、進行・再発の腎細胞がんと、術後療法について解説しています♪
●バイクロット配合静注用(一般名:乾燥濃縮人血液凝固第X因子加活性化第Ⅶ因子)
:「血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子に対するインヒビターを保有する患者の出血傾向の抑制」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。
これまでは出血時に使用していましたが、「出血傾向の抑制」が新たに追加されました。
血友病A(第Ⅷ因子欠損)および血友病B(第Ⅸ因子欠損)では、欠損している血液凝固因子の補充療法が行われます。しかし、補充療法に対するインヒビター(中和抗体)が出現することがしばしばあり、補充療法による止血効果が著しく低下することがあります。
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ヘムライブラ(エミシズマブ)の作用機序と二重特異性抗体【血友病A】
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バイクロットは第Ⅷ因や第Ⅸ因の補充療法でインヒビターが生じた場合、第Ⅷ因や第Ⅸ因を迂回する血液凝固反応によって出血を抑制する「バイパス製剤」に位置付けられていますね。
●エプクルーサ配合錠(一般名:ソホスブビル/ベルパタスビル)
:「C型慢性肝炎、C型代償性肝硬変又はC型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。
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エプクルーサ配合錠(ベルパタスビル/ソホスブビル)の作用機序と特徴【C型肝炎】
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直接作用型抗ウイルス剤(DAA)で、これまでは前治療歴のある場合に使用されていました。今後は未治療患者さんに対しても使用が可能となります!
未治療のC型慢性肝炎・C型代償性肝硬変に対しては全てのジェノタイプに使用可能で、治療期間は「12週間」ですね。
類薬にはマヴィレット(ピブレンタスビル/グレカプレビル)があります。
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マヴィレット(ピブレンタスビル/グレカプレビル)の作用機序【C型肝炎】
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●ポライビー点滴静注用30mg、同140mg(一般名:ポラツズマブベドチン(遺伝子組換え))
:「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。
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ポライビー(ポラツズマブ ベドチン)の作用機序・特徴【DLBCL】
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これまで、ポライビーは「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)」にしか使用できませんでしたが、今後は初回から使用可能となります!
初回から使用する場合、R-CHP療法(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾロン)との併用です。
R-CHOP療法からビンクリスチンを除いたレジメンですね。
あとがき
今回、新有効成分含有医薬品は以下の2製品でしたが、いずれも新規作用機序のため、期待しています。
その他、がん領域では術後療法の適応拡大が目立ちました!
リムパーザの乳がん術後、タグリッソの非小細胞肺がん術後、キイトルーダの腎細胞がん術後、いずれも初の薬剤のため、再発抑制と予後改善が見込まれますね。
以上、2022年7月29日の厚労省の薬食審医薬品第二部会で承認了承された新薬などの概要をご紹介しました!
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