新薬承認・薬価収載

【第一部会:期待の新薬】3製品+9製品(2022年8月4日)

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2022年8月4日、厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会にて3製品が審議され、承認が了承されました。

その他、報告のみで了承された9製品もあります。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
報告品目は全て不妊治療関係で、事前評価済みで公知申請されたものですね!

 

今回は概要について紹介しています。

 

審議品目:3製品

●オノアクト点滴静注50mg、同150mg(一般名:ランジオロール塩酸塩)
:「心機能低下例における上室頻拍、心房細動、心房粗動の頻脈性不整脈」を効能・効果とし、小児用量を追加する新効能・新用量医薬品。

 

短時間作用型のβ1受容体拮抗薬で、小児の頻脈性不整脈としては初のβ1ブロッカーです!

 

●ユルトミリス点滴静注300mg、同HI点滴静注300mg/3mL、同HI点滴静注1100mg/11mL(一般名:ラブリズマブ(遺伝子組換え))
:「全身型重症筋無力症(免疫グロブリン大量静注療法又は血液浄化療法による症状の管理が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新効能医薬品。

ユルトミリス(ラブリズマブ)の作用機序:ソリリスとの違い【PNH】

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ユルトミリスは、ソリリス(エクリズマブ)の改良版製剤ですね!重症筋無力症に対しては、同じ治療ラインで使用可能です。

 

●レミフェンタニル静注用2mg「第一三共」、同5mg「第一三共」(一般名:レミフェンタニル塩酸塩)
:「集中治療における人工呼吸中の鎮痛」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

 

選択的μオピオイド受容体作用薬ですね。

 

集中治療室(ICU)で治療を受ける際、様々な処置が行われるため、多様な要因によって疼痛を生じます。疼痛は、合併症を誘発するだけでなく、ICU滞在時間の延長やQOLの低下等に影響するため、疼痛管理が重要であるとされています。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
本剤によって、鎮痛効果が得られれば、ICU滞在時間の短縮やQOLの向上が期待!

 

報告品目:9製品

●HMG注射用75単位「F」、同150単位「F」(一般名:ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン)
●HMG注用75単位「あすか」、同150単位「あすか」(一般名:ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン)
●HMG注射用75IU「フェリング」、同150IU「フェリング」(一般名:ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン)
:いずれも、「生殖補助医療における調節卵巣刺激」を効能・効果とする新投与経路医薬品。

 

ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン(HMG)で、卵胞刺激ホルモン(FSH)活性によって、卵胞の発育を促進すると考えられています。

 

●ゴナトロピン注用5000単位(一般名:ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)
●HCGモチダ注射用5千単位、同1万単位(一般名:ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)
●注射用HCG5,000単位「F」、同10,000単位「F」(一般名:ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)
:いずれも、「生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化並びに一般不妊治療(体内での受精を目的とした不妊治療)における排卵誘発及び黄体化」を効能・効果とする新投与経路医薬品(ゴナトロピン注用5000単位は新効能・新用量医薬品)。

 

いずれも黄体形成ホルモン(LH)様作用を示すことから、最終的な卵胞成熟、排卵及び黄体化を誘導すると考えられています。

 

●ナサニール点鼻液0.2%(一般名:ナファレリン酢酸塩水和物)
●スプレキュア点鼻液0.15%(一般名:ブセレリン酢酸塩)
●ブセレリン点鼻液0.15%「F」(一般名:ブセレリン酢酸塩)
:いずれも、「生殖補助医療における早発排卵の防止」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。事前評価済公知申請。

 

いずれも性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストです。

下垂体のGnRH 受容体の脱感作によって起きる内因性のゴナドトロピンの分泌を抑制する結果、黄体形成ホルモン(LH)サージを抑制し、早発排卵を防止します。

 

報告品目は全て、事前評価済の公知申請の製品です。そのため、既に保険償還は可能とされていました。

 

あとがき

今回の第一部会では、新有効成分含有医薬品はありませんでしたね。

 

ユルトミリスはソリリスの改良版で、8週に1度の投与で治療が行えます。今後はソリリスに取って変わっていくことが期待されますね!

 

以上、今回は2022年8月4日の厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会で承認了承された薬剤の概要をご紹介しました。

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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