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スペビゴ(スペソリマブ)の作用機序【膿疱性乾癬】

2022年7月29日、厚労省の薬食審医薬品第二会にて、「膿疱性乾癬における急性症状の改善」を対象疾患とするスペビゴ点滴静注(スペソリマブ)の承認が了承されました!

現時点では未承認のためご注意ください。

基本情報

製品名スペビゴ点滴静注450mg
一般名スペソリマブ(遺伝子組換え)
製品名の由来
製造販売日本ベーリンガーインゲルハイム(株)
効能・効果膿疱性乾癬における急性症状の改善
用法・用量通常、成人にはスペソリマブ(遺伝子組換え)として、
1回900mgを点滴静注する。
なお、急性症状が持続する場合には、
初回投与の1週間後に900mgを追加投与することができる。
収載時の薬価
発売日

 

木元 貴祥
スペビゴは抗IL-36受容体抗体のため、国内初の作用機序を有しています!

 

乾癬の中でも、特に膿疱性乾癬(汎発型)は重症化しやすく、生命を脅かす恐れもある難病です。

 

今回は膿疱性乾癬(汎発型)と共に、スペビゴ(スペソリマブ)の作用機序について解説していきます!

 

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皮膚のターンオーバー

通常、皮膚は外からの刺激・乾燥等を防御したり、細菌・ウイルスの侵入を防ぐといった免疫機能を司っています。

 

構造としては、表面から順に、

  • 表皮
  • 真皮
  • 皮下組織

の3層に分かれています。

 

また、表皮はさらに

  • 角質層
  • 顆粒層
  • 有棘層
  • 基底層

の4層から構成されています。

 

皮膚はその機能を保つため、基底層で常に新しい細胞が作られています

基底層で新しくできた細胞は徐々に角層へと押し上げられ、最終的には垢となって剥がれ落ちます。

このような皮膚の細胞サイクルを「ターンオーバー(分化)」と呼び、通常、約28~40日サイクルで繰り返されています。

ターンオーバーの仕組み

 

乾癬とは

乾癬の患者さんでは、慢性の炎症を伴う何らかの原因で上記のターンオーバーのサイクルが4~5日と極端に短くなっています。

そのため、皮膚が盛り上がったような状態(“肥厚”と呼びます)になり、赤い発疹(“紅斑”と呼びます)を伴うことを特徴とします。

 

また、皮膚の一部がかさかさになって剥げ落ちる(“落屑”と呼びます)こともあります。

 

乾癬の分類

乾癬は5つの種類に分類されていますが、約9割は「尋常性乾癬」です。

  • 尋常性乾癬
  • 関節症性乾癬
  • 滴状乾癬
  • 乾癬性紅皮症
  • 膿疱性乾癬(汎発型):Generalized Pustular Psoriasis(GPP)

 

乾癬性紅皮症や膿疱性乾癬は非常に稀ですが、発症すると症状が厳しいため、重症になることが多いです。特に膿疱性乾癬は難病にも指定されています。2)

 

膿疱性乾癬の急性症状により入院した患者さんの死亡率は2.5%と推定されていますからね・・・早期の治療が大切です!!

 

今回ご紹介するスペビゴは膿疱性乾癬の急性期の徴候と症状に対して治療効果が期待されていますよ~。

 

膿疱性乾癬(汎発型)の原因

膿疱性乾癬(汎発型)の明確な原因は不明確ですが、遺伝的素因を有することが示唆されています。2-3)

 

炎症性サイトカイン(例:IL-8など)の産生に関与するIL-36の働きを制御する物質として、「IL-36受容体拮抗因子」が知られていますが、それをコードするIL36RN遺伝子の変異によって発症すると考えられています。

 

つまり、健康な状態では、IL-36がIL-36受容体に結合したとしても、IL-36受容体拮抗因子によって、その作用や働きが抑制されています。

しかし、膿疱性乾癬では、IL-36受容体拮抗因子が変異して抑制できなくなっているため、IL-36の作用や働きが活性化され、発症・進行すると考えられます。

膿疱性乾癬(汎発型)の原因:IL-36受容体拮抗因子の変異によると考えられている

 

膿疱性乾癬(汎発型)の治療

膿疱性乾癬(汎発型)の治療は、

  • チガソン(一般名:エトレチナート):ビタミンA誘導体
  • シクロスポリン:免疫抑制薬
  • メトトレキサート(他の全身治療に抵抗性の症例や、関節炎の激しい症例に推奨)

の使用もしくは適宜併用療法が基本です。3)

 

TNFα阻害薬などの生物学的製剤は、特に重症関節症合併例に対して推奨されています。現在、膿疱性乾癬に使用できる生物学的製剤としては、主に以下がありますね。

 

 

詳しくは以下の記事をご覧ください。

【乾癬】生物学的製剤の一覧と作用機序/特徴のまとめ

続きを見る

 

今回ご紹介するスペビゴも生物学的製剤で、特に膿疱性乾癬の急性期症状(灼熱感、紅斑、全身皮膚の潮紅、浮腫など)に対して治療効果が期待されています。

 

スペビゴ(スペソリマブ)の作用機序

スペビゴはIL-36受容体を阻害する生物学的製剤です!

正常な状態では「IL-36受容体拮抗因子」によって、IL-36の働きが抑制されていますが、膿疱性乾癬ではIL-36受容体拮抗因子の変異によって、抑制が解除されている状態です。

スペビゴ(スペソリマブ)の作用機序:IL-36受容体を阻害する

 

スペビゴがIL-36受容体の働きを阻害することで、IL-36によるシグナル伝達が抑制され、膿疱性乾癬の症状緩和・進行抑制に繋がると考えられています。4)

 

エビデンス紹介:Effisayil 1 試験

根拠となった臨床試験をご紹介します(Effisayil 1 試験)。5)

本試験は、急性期の膿疱性乾癬(汎発型)患者さんを対象に、スペビゴの単回静脈内投与群またはプラセボ群を比較する第Ⅱ相臨床試験です。

 

主要評価項目は「1週目の時点でGPPGA*膿疱サブスコアが0であること(膿疱が見られないこと)」とされ、結果は以下の通りでした。

スペビゴ群プラセボ群
1週目の時点での
GPPGAが0の割合
54%6%
P<0.001

*GPPGA:GPP Physician Global Assessment(膿疱性乾癬(汎発型)の全般的評価)

 

木元 貴祥
スペビゴ群で有意にGPPGAスコアの改善が認められていますね!

 

用法・用量

通常、成人にはスペソリマブ(遺伝子組換え)として、1回900mgを点滴静注します。

なお、急性症状が持続する場合には、初回投与の1週間後に900mgを追加投与することも可能です。

 

副作用

後日更新予定です。

臨床試験では主な副作用として感染症が報告されていました。

 

収載時の薬価

現時点では未承認かつ薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

スペビゴはこんな薬

  • IL-36受容体を標的にした国内初の作用機序
  • IL-36の働き・活性を抑制する
  • 膿疱性乾癬(汎発型)の急性期症状を抑制する
  • 単回静脈内投与

 

乾癬の中でも、特に膿疱性乾癬(汎発型)は重症化しやすく、生命を脅かす恐れもある難病で、新たな治療選択肢が望まれていました。

 

木元 貴祥
スペビゴは国内初の作用機序のため、期待です!

 

IL-36受容体は様々な疾患にも関与していると考えられていますので、今後は他疾患への応用も期待できそうですね。

 

以上、今回は膿疱性乾癬(汎発型)と共に、スペビゴ(スペソリマブ)の作用機序について解説しました!

 

乾癬の生物学的製剤についてはまとめ記事をご覧ください♪

【乾癬】生物学的製剤の一覧と作用機序/特徴のまとめ

続きを見る

 

引用文献・資料等

  1. 日本皮膚科学会:乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2018年版)
  2. 難病情報センター|膿疱性乾癬(汎発型)(指定難病37)
  3. 日本皮膚科学会膿疱性乾癬(汎発型)診療ガイドライン2014年度版
  4. MAbs. 2017 Oct;9(7):1143-1154.
  5. Effisayil 1 試験:N Engl J Med 2021; 385:2431-2440

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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