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2023年3月27日、「真性多血症」を対象疾患とするベスレミ皮下注(ロペグインターフェロン アルファ-2b)が承認されました!
ファーマエッセンシアジャパン|ニュースリリース
基本情報
製品名 | ベスレミ皮下注250μgシリンジ/500μgシリンジ |
一般名 | ロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え) |
製品名の由来 | 該当資料なし |
製造販売 | ファーマエッセンシアジャパン(株) |
効能・効果 | 真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る) |
用法・用量 | 通常、成人には、 ロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)1回100µg(他の細胞減少療法薬を投与中の場合は50µg)を 開始用量とし、2週に1回皮下投与する。 患者の状態により適宜増減するが、 増量は50µgずつ行い、1回500µgを超えないこと。 |
収載時の薬価 | 250µgシリンジ:297,259円 500µgシリンジ:565,154円 |
発売日 | 2023年6月1日新発売(HP) |
ベスレミは長時間作用型モノPEG化プロリンインターフェロン製剤に分類されていて、これまでのPEG化インターフェロン製剤(例:ペガシス皮下注)よりも半減期が延長しています。
今回は真性多血症とベスレミ皮下注(ロペグインターフェロン)の作用機序について解説します。
真性多血症(真性赤血球増加症)とは
白血病は「血液のがん」です。
血液細胞には、白血球(好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球、リンパ球等がありますが、これら血液細胞の異常化(腫瘍化=がん化)によって引き起こされる病気を白血病と総称しています。
血液細胞の元となる細胞として造血幹細胞が知られていますが、この造血幹細胞に異常が発生(腫瘍化)し、「全ての血球」が異常に増殖する疾患を真性多血症(または真性赤血球増加症)と呼んでいます。
特に赤血球の増加が著しい疾患です。
中高年に好発し、赤血球増加による様々な症状が現れます。
- 赤血球増加による症状:頭痛、めまい、赤ら顔、高血圧、血栓症
- 赤血球増加による高ヒスタミン血症:皮膚掻痒など
- 赤血球増加による脾腫
また、真性多血症では、腫瘍化した異常造血幹細胞にJAK2遺伝子の変異が認められることが知られています。
JAK2は赤血球の造血やサイトカインのシグナル伝達を担っているチロシンキナーゼのため、これに変異があることが主な発症原因だと考えられます。
治療
生命予後は比較的良好ですので、治療によって10年以上の50%生存期間が期待できます。1)
そのため、合併する血栓症の予防が治療の中心ですね。
血栓症のリスクが低い場合には、瀉血(血液を取り除く治療)と、低用量アスピリンによる血栓症予防が基本です。
一方、血栓症のリスクが高い場合には上記に加えて細胞減少療法を行います。特に60歳以上または血栓症の既往歴がある場合、血栓症のリスクが高いため、早期の治療介入が望まれます。
細胞減少療法の第一選択薬はハイドレア(ヒドロキシウレア)です。ハイドレアに不耐容・抵抗性の場合には、JAK阻害薬のジャカビ(ルキソリチニブ)を使用します。
ただし、ハイドレアには催奇性の問題があるため、妊娠中や挙児希望者にはインターフェロンα(IFNα)療法が考慮されることもあります。また、長期投与による二次発がんのリスクが完全には否定されていないため、40歳未満の若年者においてもIFNαが考慮されます。
しかしながら、真性多血症に対して承認されているIFNα製剤はありませんでした。
今回ご紹介するベスレミは、ハイドレアやジャカビによる治療に不耐容・抵抗性の場合に効果が期待されていますよー!
ベスレミ(ロペグインターフェロン アルファ-2b)の作用機序・特徴
ベスレミはIFNα-2bをPEG化した製剤です。
ちなみに、生体内では感染した細胞などからIFNα-2bが産生されます。Ⅰ型インターフェロンに分類されていますね。
ベスレミ(IFNα-2b)は腫瘍細胞に対して直接的な増殖抑制効果および、免疫増強作用による間接的な腫瘍増殖抑制効果を発揮すると考えられています。また、半減期は約7日間とかなり長時間血中に滞留して薬効を発揮します。
従来のPEG化技術では、タンパク質分子内の異なる部位のアミノ酸がPEG化された「PEG化タンパク質」が混在し、PEG化部位の違いによる不均一性が生じていたようです。
そこで、タンパク質分子内の特定のアミノ酸を選択的にPEGで修飾できるようにした「部位選択的PEG化技術」が開発され、この技術で創薬されたのがベスレミです。
実際にPEG化IFNα製剤(ロシュ社のペガシス、メルク社のペグイントロン(※日本では発売中止))のアイソマーを調べたデータでは、ベスレミのみが単一のアイソマーとして存在していました。
pharmaessentia|Core Technology
エビデンス紹介:A19-201試験
根拠となった臨床試験は、標準治療が困難な日本人真性多血症を対象にベスレミの有効性と安全性を検討した非盲検非対照の国内第Ⅱ相臨床試験(A19-201試験)です。2)
主要評価項目は「投与9及び12カ月の両時点において中央判定によるCHRを達成した患者の割合」とされ、結果は27.6%(95%CI:12.7-47.2)でした。
副作用
5%以上に認められる副作用として、インフルエンザ様疾患(9.6%)、疲労(11.5%)、発熱(6.4%)、γ-GTP上昇(9.6%)、下痢(5.8%)、脱毛症(14.1%)、そう痒症(6.4%)、筋肉痛(8.3%)、関節痛(6.4%)、尿中β2ミクログロブリン増加(20.7%)などがあります。
用法・用量
通常、成人には、ロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)1回100µg(他の細胞減少療法薬を投与中の場合は50µg)を開始用量とし、2週に1回皮下投与します。
患者の状態により適宜増減しますが、増量は50µgずつ行い、1回500µgを超えないこと。
収載時の薬価
収載時(2023年5月24日)の薬価は以下の通りです。
- ベスレミ皮下注250µgシリンジ:297,259円
- ベスレミ皮下注500µgシリンジ:565,154円
算定の根拠については、以下で解説しています。
-
【新薬:薬価収載】11製品(2023年5月24日)
続きを見る
まとめ・あとがき
ベスレミはこんな薬
- 長時間作用型モノPEG化プロリンインターフェロン製剤
- 2週間間隔で皮下注投与する
- 腫瘍細胞に対して直接的・間接的な腫瘍増殖抑制効果を発揮する
他疾患に使用されているPEG化インターフェロン製剤のペガシス皮下注は週1回投与でしたが、ベスレミは2週間に1回の投与のため、利便性が向上していると考えられます。
真性多血症は希少疾病のため、なかなか治療開発が進んでいませんでした。
以上、今回は真性多血症とベスレミ皮下注(ロペグインターフェロン)の作用機序について解説しました!
引用文献・資料等
- 日本血液学会|造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版
- ベスレミ 添付文書
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