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ベスレミ皮下注(ロペグインターフェロン)の作用機序【真性多血症/本態性血小板血症】

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2026年7月27日、厚労省の薬事審議会・医薬品第二部会にて、ベスレミ皮下注(ロペグインターフェロン アルファ-2b)の効能・効果に「本態性血小板血症」を追加することが承認了承されました。

現時点では本態性血小板血症は未承認のためご注意ください。

ファーマエッセンシアジャパン|ニュースリリース

基本情報

製品名 ベスレミ皮下注250μgシリンジ/500μgシリンジ
一般名 ロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)
製品名の由来 該当資料なし
製造販売 ファーマエッセンシアジャパン(株)
効能・効果 ●真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)
●本態性血小板血症
用法・用量 <A法>
通常、成人には、ロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)
1回100µg(他の細胞減少療法薬を投与中の場合は50µg)を開始用量とし、2週に1回皮下投与する。
患者の状態により適宜増減するが、増量は50µgずつ行い、1回500µgを超えないこと。
<B法>
通常、成人には、1回250μgを開始用量とし、忍容性が良好であれば2週後に1回350μg、
さらに2週後に1回500μg、以降は2週に1回500μgを投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
収載時の薬価 250µgシリンジ:297,259円
500µgシリンジ:565,154円
発売日 2023年6月1日新発売(HP

 

ベスレミは、2023年3月27日に「真性多血症」を対象疾患として承認された長時間作用型モノPEG化プロリンインターフェロン製剤です。これまでのPEG化インターフェロン製剤(例:ペガシス皮下注)よりも半減期が延長しています。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
そのため、投与間隔は2週間!すごいですね。

 

今後は本態性血小板血症に対しても使用可能となります。

 

今回は真性多血症・本態性血小板血症とベスレミ皮下注(ロペグインターフェロン)の作用機序について解説します。

 

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真性多血症(真性赤血球増加症)とは

白血病は「血液のがん」です。

血液細胞には、白血球(好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球、リンパ球等がありますが、これら血液細胞の異常化(腫瘍化=がん化)によって引き起こされる病気を白血病と総称しています。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
本当は細かく分類すると100種類以上(WHO分類)あるのですが・・・割愛します。。

 

血液細胞の元となる細胞として造血幹細胞が知られていますが、この造血幹細胞に異常が発生(腫瘍化)し、「全ての血球」が異常に増殖する疾患を真性多血症(または真性赤血球増加症)と呼んでいます。

特に赤血球の増加が著しい疾患です。

 

中高年に好発し、赤血球増加による様々な症状が現れます。

  • 赤血球増加による症状:頭痛、めまい、赤ら顔、高血圧、血栓症
  • 赤血球増加による高ヒスタミン血症:皮膚掻痒など
  • 赤血球増加による脾腫

 

木元 貴祥
木元 貴祥
赤血球は脾臓によって処理されますが、赤血球が多くなりすぎると、脾臓に負担がかかって脾腫が生じるのですね。

 

また、真性多血症では、腫瘍化した異常造血幹細胞にJAK2遺伝子の変異が認められることが知られています。

 

JAK2は赤血球の造血やサイトカインのシグナル伝達を担っているチロシンキナーゼのため、これに変異があることが主な発症原因だと考えられます。

 

治療

生命予後は比較的良好ですので、治療によって10年以上の50%生存期間が期待できます。1)

 

そのため、合併する血栓症の予防が治療の中心ですね。

 

血栓症のリスクが低い場合には、瀉血しゃけつ(血液を取り除く治療)と、低用量アスピリンによる血栓症予防が基本です。

一方、血栓症のリスクが高い場合には上記に加えて細胞減少療法を行います。特に60歳以上または血栓症の既往歴がある場合、血栓症のリスクが高いため、早期の治療介入が望まれます。

 

細胞減少療法の第一選択薬はハイドレア(ヒドロキシウレア)です。ハイドレアに不耐容・抵抗性の場合には、JAK阻害薬のジャカビ(ルキソリチニブ)を使用します。

 

ただし、ハイドレアには催奇性の問題があるため、妊娠中や挙児希望者にはインターフェロンα(IFNα)療法が考慮されることもあります。また、長期投与による二次発がんのリスクが完全には否定されていないため、40歳未満の若年者においてもIFNαが考慮されます。

 

しかしながら、真性多血症に対して承認されているIFNα製剤はありませんでした。

 

今回ご紹介するベスレミは、ハイドレアやジャカビによる治療に不耐容・抵抗性の場合に効果が期待されていますよー!

 

本態性血小板血症とは

真性多血症と同じく造血幹細胞の異常(腫瘍化)によって、特に血小板が著しく過剰産生されるのが特徴です。

こちらも、腫瘍化した異常造血幹細胞にJAK2遺伝子の変異が認められることが知られています。

 

主な症状としては、以下が挙げられます。

  • 微小循環障害:頭痛、めまい、肢端紅痛症(手足の指先の痺れ・痛み・赤熱感)
  • 血栓症:脳梗塞、心筋梗塞など(血小板過多による)
  • 出血傾向:歯肉出血、皮下出血など(血小板数が非常に高値になるとvon Willebrand因子が減少するため)

 

また、一部の患者さんでは長期経過により骨髄線維症や急性白血病へ移行することがあるため、長期的な病態コントロールが不可欠です。

 

治療

血栓症のリスクが低い場合、治療は行わずに定期的な経過観察が行われます。

 

一方、血栓症のリスクが高い場合、血栓症の予防を目的として低用量アスピリン投与細胞減少療法の併用療法を行います。

 

細胞減少療法の第一選択薬としてはヒドロキシウレアまたはアナグレリドが用いられますが、治療選択肢が限られているため、新たな治療薬が望まれていました。1)

  • ハイドレア(ヒドロキシウレア)
  • アグリリン(アナグレリド)

 

木元 貴祥
木元 貴祥
基本的にはヒドロキシウレアがよく用いられていますね。

 

今回ご紹介するベスレミは、ヒドロキシウレアに抵抗性を示した場合に効果が期待されています!

 

ベスレミ(ロペグインターフェロン アルファ-2b)の作用機序・特徴

ベスレミはIFNα-2bをPEGペグ化した製剤です。

ちなみに、生体内では感染した細胞などからIFNα-2bが産生されます。Ⅰ型インターフェロンに分類されていますね。

 

ベスレミ(IFNα-2b)は腫瘍細胞に対して直接的な増殖抑制効果および、免疫増強作用による間接的な腫瘍増殖抑制効果を発揮すると考えられています。また、半減期は約7日間とかなり長時間血中に滞留して薬効を発揮します。

ベスレミ(ロペグインターフェロン アルファ-2b)の作用機序・特徴

 

従来のPEG化技術では、タンパク質分子内の異なる部位のアミノ酸がPEG化された「PEG化タンパク質」が混在し、PEG化部位の違いによる不均一性が生じていたようです。

そこで、タンパク質分子内の特定のアミノ酸を選択的にPEGで修飾できるようにした「部位選択的PEG化技術」が開発され、この技術で創薬されたのがベスレミです。

 

実際にPEG化IFNα製剤(ロシュ社のペガシス、メルク社のペグイントロン(※日本では発売中止))のアイソマーを調べたデータでは、ベスレミのみが単一のアイソマーとして存在していました。

pharmaessentia|Core Technology

 

木元 貴祥
木元 貴祥
単一のアイソマーによるものが実臨床にどう影響するのかは興味深いですね。

 

真性多血症のエビデンス紹介:A19-201試験

真性多血症の根拠となった臨床試験は、標準治療が困難な日本人真性多血症を対象にベスレミの有効性と安全性を検討した非盲検非対照の国内第Ⅱ相臨床試験(A19-201試験)です。2)

 

主要評価項目は「投与9及び12カ月の両時点において中央判定によるCHRを達成した患者の割合」とされ、結果は27.6%(95%CI:12.7-47.2)でした。

 

本態性血小板血症のエビデンス紹介:SURPASS-ET試験

本態性血小板血症の根拠となった臨床試験(SURPASS-ET試験)をご紹介します。3)

本試験は、ヒドロキシウレアに不耐性または抵抗性を示す白血球増加を伴う本態性血小板血症患者さんを対象に、ベスレミ群とアナグレリド群を比較する国際共同第Ⅲ相臨床試験です(日本人を含む)。

 

主要評価項目は「9か月と12か月時点で評価された持続的な反応率」とされ、結果は以下の通りでした。

ベスレミ群 アナグレリド群
持続的な反応率 43% 6%
p=0.0001

 

木元 貴祥
木元 貴祥
ベスレミ群で有意に反応率が高いという結果でした!

 

副作用

5%以上に認められる副作用として、インフルエンザ様疾患(9.6%)、疲労(11.5%)、発熱(6.4%)、γ-GTP上昇(9.6%)、下痢(5.8%)、脱毛症(14.1%)、そう痒症(6.4%)、筋肉痛(8.3%)、関節痛(6.4%)、尿中β2ミクログロブリン増加(20.7%)などがあります。

 

用法・用量

以下のA法又はB法により皮下投与します。いずれも2週間毎の投与ですね。

  • A法:通常、成人には、ロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)(インターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え))として1回100μg(他の細胞減少療法薬を投与中の場合は50μg)を開始用量とし、2週に1回投与する。患者の状態により適宜増減するが、増量は50μgずつ行い、1回500μgを超えないこと。
  • B法:通常、成人には、ロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)(インターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え))として1回250μgを開始用量とし、忍容性が良好であれば2週後に1回350μg、さらに2週後に1回500μg、以降は2週に1回500μgを投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

 

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収載時の薬価

収載時(2023年5月24日)の薬価は以下の通りです。

  • ベスレミ皮下注250µgシリンジ:297,259円
  • ベスレミ皮下注500µgシリンジ:565,154円

 

算定の根拠については、以下で解説しています。

【新薬:薬価収載】11製品(2023年5月24日)

続きを見る

 

まとめ・あとがき

ベスレミはこんな薬

  • 長時間作用型モノPEG化プロリンインターフェロン製剤
  • 2週間間隔で皮下注投与する
  • 腫瘍細胞に対して直接的・間接的な腫瘍増殖抑制効果を発揮する

 

他疾患に使用されているPEG化インターフェロン製剤のペガシス皮下注は週1回投与でしたが、ベスレミは2週間に1回の投与のため、利便性が向上していると考えられます。

 

真性多血症は希少疾病のため、なかなか治療開発が進んでいませんでした。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
海外では、真性多血症に対してベスレミが標準治療に位置づけられていますので、国内でも期待できるのではないでしょうか。

 

以上、今回は真性多血症とベスレミ皮下注(ロペグインターフェロン)の作用機序について解説しました!

 

引用文献・資料等

  1. 日本血液学会|造血器腫瘍診療ガイドライン2024年版
  2. ベスレミ 添付文書
  3. SURPASS-ET試験:Lancet Haematol. 2025 Nov;12(11):e862-e875.

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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