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「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」を効能・効果とするアミティーザカプセル24μg(一般名:ルビプロストン)が2012年11月に発売されました。
アミティーザは慢性便秘症の薬としては約30年ぶりとなります!
製薬会社
- 製造販売元:マイランEPD合同会社
また、2018年9月21日、12μg製剤も承認されました。従って、規格は以下の通りです。
- アミティーザカプセル12μg
- アミティーザカプセル24μg
今回は慢性便秘症とアミティーザ(ルビプロストン)の作用機序についてご紹介します。
便秘の疫学
便秘症は、
- 本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態
と定義されています。
便秘の患者さんは全人口の1割程度で、治療に不満を抱く患者さんも多い疾患です。
皆様も便秘は経験されたことがあると思いますが、実際に便秘になると、、、辛いですよね・・・。
発症は年齢が高くなればなるほど割合が多くなります。
また、男女比では女性に多くいとされていますが、高齢になれば男女差は無くなっていきます。
特に80歳以上では男性に多いとされています。
便秘の症状と種類
便秘の主症状は、腹痛、直腸残便感、腹部膨満感などがあります。
また、発症経過から「急性便秘」と「慢性便秘」に大別されています。
具体的には、排便回数の減少と排便困難の状態が6カ月以上持続する場合に、「慢性便秘」と診断されます。
さらに原因や病態により「器質性便秘」と「機能性便秘」等に分類されています。
- 器質性便秘:腸の形態的変化(構造異常)を伴う便秘で、胃腸の疾患によるものが多い
- 機能性便秘:腸の形態的変化(構造異常)を伴わない便秘で、胃腸の機能低下(ストレスや運動不足、食生活)によるものが多い
一般的には機能性便秘が多いとされていますね。
便秘の治療
これら便秘症に対しては、
- 生活習慣の改善(食事、運動、睡眠、飲酒など)
- 内服薬による治療
を適宜組み合わせて行われます。
「便通異常症診療ガイドライン2023:慢性便秘症」において、推奨の強さ「強」で推奨されている内服薬は以下の通りです。
推奨度 | エビデンスレベル | 分類 | 代表薬の例 |
強 | A | 浸透圧性下剤 | 塩類下剤:酸化マグネシウム 糖類下剤:ラクツロース、D-ソルビトール 浸潤性下剤:ジオクチルソジウムスルホサクシネート(ビーマス配合錠) 高分子化合物:PEG(モビコール配合内用剤) |
粘膜上皮機能変容薬 | アミティーザ(ルビプロストン) リンゼス(リナクロチド) |
||
胆汁酸トランスポーター阻害薬 | グーフィス(エロビキシバット) |
※推奨度:(1)強い推奨、(2)弱い推奨
※エビデンスレベル:A(質の高いエビデンス)からD(非常に質の低いエビデンス)まで分類
同ガイドラインにはフローチャートも掲載されていて、第一選択薬は「浸透圧性下剤」です。
改善が認められればそのまま継続しますが、改善が認められない場合、粘膜上皮機能変容薬や胆汁酸トランスポーター阻害薬を選択します。
アミティーザ(一般名:ルビプロストン)の作用機序
一般的に、便秘になる時には腸管内の水分が不足してしまっています。
腸管内への水分の分泌にはクロールイオン(Cl-)が関与しており、クロールイオンは「クロライドチャネル」によって細胞内から細胞外(腸管内)に移動します。
アミティーザはクロライドチャネルを活性化する薬剤です!
クロライドチャネルが活性化されることでクロールイオン(Cl-)が腸管内に移動します。
次に、腸管内の電化を合わせるためにナトリウムイオン(Na+)が腸管内に移動します。
Na+とCl-が合わさると、NaCl(塩化ナトリウム)になりますので、腸管内の浸透圧が亢進します。
そして浸透圧を等張にするために、上皮細胞内の水分が腸管内に移動します。
このような作用機序によって、腸管内に水分を分泌する働きをするのがアミティーザです!
これによって、腸管内の蠕動運動も高まり、便秘を改善すると考えられています。
アミティーザカプセルの用法・用量
ルビプロストンとして1回24μgを1日2回、朝食後と夕食後に経口投与します。
しかし、24μgでは薬剤が効きすぎて下痢を起こしてしまうこともしばしばありました(特に高齢者)。また24μgで症状がコントロールできてきた際には適宜減量が行われますが、これまで24μgカプセル製剤しかなかったため、減量が困難でした。
2018年9月21日には12μgカプセル製剤が新たに承認されましたので、減量が容易にできるようになりました!☆
特に初回で効きすぎて下痢が起こってしまうような場合、減量によってコントロールしやすくなるのではないでしょうか。
アミティーザカプセルの副作用
主な副作用として下痢や悪心が報告されています。
特に悪心は若い女性に多く発現すると言われていますので注意が必要です。
類薬とあとがき
慢性便秘症に使用する類薬には、2018年に登場した
があります。
モビコールとラグノスを含めた比較表の一覧は以下の記事に掲載しています。
-
モビコール配合内用剤(マクロゴール)の作用機序:類薬との比較/違い【便秘症】
続きを見る
以上、本日は慢性便秘症とアミティーザ(ルビプロストン)の作用機序についてご紹介しました♪
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