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2024年6月24日、ネキシウムカプセル10mg、同カプセル20mg、同懸濁用顆粒分包10mg、同懸濁用顆粒分包20mg(一般名:エソメプラゾールマグネシウム水和物)の「逆流性食道炎、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制」の効能・効果に小児用量を追加することが承認了承されました。
ネキシウムはプロトンポンプ阻害薬(PPI)に分類されていますが、小児適応を持つ初のPPIです!
ただし、適応が成人と小児で若干異なりますので注意が必要です。(例:ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助は成人にしか適応がありません)
今回は胃潰瘍・十二指腸潰瘍を中心に、ネキシウム(エソメプラゾール)の作用機序についてご紹介します。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは
胃や十二指腸は通常、粘膜に覆われて保護されています。
この粘膜が何らかの原因によって損傷し、深い部位まで組織が欠損した状態を「潰瘍」と呼んでいます。
胃潰瘍は40~60歳代に多く、十二指腸潰瘍は20~40歳代の比較的若い方に多いとされています。
症状としては、
- 心窩部痛
- 胸焼け
- 食欲不振
- 吐血
- 下血(タール便)
- 貧血
- 悪心・嘔吐
などがあります。
特に心窩部痛は胃・十二指腸潰瘍の典型的な症状です。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因
通常、胃や十二指腸は胃酸や消化酵素のような「攻撃因子」から粘膜を保護するための様々な「防御因子」が働いています。
これをバランス説と呼んでおり、健康な状態では両者がバランス良く働いています。
胃・十二指腸潰瘍では攻撃因子と防御因子のバランスが崩れ、攻撃因子が優勢となって発症します。
特にこのバランスを崩す二大要因は攻撃因子の「ヘリコバクターピロリ(H.ピロリ)感染」と「NSAIDs」であると言われています。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療
H.ピロリ感染やNSAIDsの服用によって発症している場合、H.ピロリ除菌やNSAIDsの服用中止が第一選択です。
上記が原因ではない場合(例:ストレスや胃酸分泌過多)、以下の薬剤が使用されます。
- プロトンポンプ阻害薬(PPI)
- H2受容体拮抗薬
- ムスカリン受容体拮抗薬
- 胃粘膜保護薬 など
それではここから、PPIが関与する胃酸の分泌メカニズムについて説明します。
胃酸の分泌メカニズムとプロトンポンプ
胃酸(HCl)は、胃に存在している「壁細胞」と呼ばれる細胞から分泌されます。
壁細胞には、
- M3受容体
- H2受容体
- ガストリン(G)受容体
が存在しており、アセチルコリン、ヒスタミン、ガストリンがそれぞれの受容体に結合することで活性化されます。
活性化されると、壁細胞の「プロトンポンプ」に刺激が伝わり、カリウムイオン(K+)を細胞内に取り込むと同時に水素イオン(H+)を細胞外に放出します。
H+は細胞外で塩素イオン(Cl-)と結合して胃酸(HCl)になります。
ネキシウム(一般名:エソメプラゾール):PPIの作用機序
ネキシウムはプロトンポンプ阻害薬(PPI)に分類されている薬剤です。
ネキシウムを投与すると、胃の酸性条件下で活性化体に変換されます。
この活性化体がプロトンポンプを阻害し、胃酸分泌を抑制すると考えられています。
このような作用機序によって、胃酸分泌過多による様々な疾患(胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎など)に使用されているのがネキシウムです。
ネキシウム(一般名:エソメプラゾール)の副作用
主な副作用には下痢、腹痛、肝機能異常、光線過敏性反応、などが報告されています。
PPIの類薬
同様の作用機序(PPI)を有する薬剤には、以下があります。
- パリエット(一般名:ラベプラゾール)
- オメプラール(一般名:オメプラゾール)
- オメプラゾン(一般名:オメプラゾール)
- タケプロン(一般名:ランソプラゾール)
- タケキャブ(一般名:ボノプラザン)
タケキャブのみ、これまでのPPIとは異なり「カリウムイオン競合型アシッドブロッカー」のPPIに分類されています。
なお、上記薬剤はいずれも小児の適応はありません。
あとがき
小児の胃・十二指腸潰瘍や逆流性食道炎に使用できる薬剤はH2受容体拮抗薬のアルタット(一般名:ロキサチジン)しかなく、PPIに小児の適応はありませんでした。
今回、ネキシウムに小児の適応が追加され、初めて小児でPPIが使用できるようになりました。
もちろん、成人に使用する場合とは用法・用量が異なりますので注意が必要です。
以上、今回は胃・十二指腸潰瘍とネキシウム(エソメプラゾール)の作用機序についてご紹介しました。
逆流性食道炎とPPIについては以下の記事をご参照ください。
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