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「多剤耐性肺結核」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品のサチュロ錠100mg(一般名:ベダキリンフマル酸塩)が2018年1月19日に承認されました!
本日は結核とサチュロ(ベダキリン)の作用機序についてご紹介いたします♪
結核について
結核とは、その名の通り、「結核菌」の感染によって引き起こされる疾患です。
日本では結核の約8割は肺です(肺結核)。
結核菌が肺の内部で増えて、結核に特有な様々な炎症が起こります。
初期の症状はカゼと似ていますが、せき、痰、発熱(微熱)などの症状が長く続くのが特徴で、体重減少、食欲低下、などの症状もあります。
慢性化すると、徐々に肺が破壊されていき、呼吸機能が低下していきます。
結核の標準治療
結核は基本的には薬剤による治療が標準です。
現在、治療に使われる主な薬剤としては、
- リファンピシン:RNAポリメラーゼ阻害
- イソニアジド:細胞壁のミコール酸合成阻害
- ストレプトマイシン:タンパク合成阻害
- エタンブトール:細胞壁アラビナン合成阻害
- ピラジナミド
があり、これらの薬剤を組み合わせて約6か月間の治療が行われます。
多剤耐性結核
結核菌は、上記のような治療薬に対して遺伝子の変異等によって抵抗性がついてしまうことがあります(これを菌の耐性化といいます)。
現在の結核治療の中でもっとも重要なイソニアジドとリファンピシンが同時に耐性となったのが「多剤耐性結核」です。
世界的に見て、最近この多剤耐性結核が増加しており、結核の増加を考える上で、現在もっとも深刻な問題になっています。
今まで多剤耐性結核の薬物療法は既存薬の組み合わせで行われてきましたが、WHOによると治療の成功率は50%以下であり、世界では年間17万人が亡くなっていると言われています。
このような多剤耐性結核の治療薬は限られており、治療成績も満足のいくものではありませんでした。
サチュロ錠(一般名:ベダキリンフマル酸塩)の作用機序
通常、生物は運動や増殖・生存のために、「ATP」と呼ばれるエネルギーを産生する必要があります。
このATPは細胞内の「ATP合成酵素」によって産生され、結核菌でも同様です。
本日ご紹介するサチュロ錠は、結核菌の「ATP合成酵素」を特異的に阻害する作用機序を有しています!
ATP合成酵素を阻害することで、結核菌のエネルギーであるATPの産生が抑制され、結果的に強い殺菌作用を示します。
用法・用量
服用方法ですが、
投与開始から2週間はベダキリンとして1日1回400mgを食直後に経口投与します。
その後、3週以降は、ベダキリンとして1回200mgを週3回、48時間以上の間隔をあけて食直後に経口投与します。
また、耐性菌の発現を防ぐため、感受性を有する既存の抗結核薬3剤以上にサチュロを上乗せして併用すること、とされていますので、基本的には他の薬剤と併用して用いられます。
薬価
収載時(2018年4月18日)の薬価は以下の通りです。
- 1錠 21,872.50円
あとがき
多剤耐性肺結核の治療薬は、2014年に約40年ぶりの新薬としてデルティバ錠(一般名:デラマニド)が承認・発売されています。
デルティバ錠は、結核菌の細胞壁を構成するミコール酸の生成を阻害する作用機序のため、サチュロ錠とは作用機序が異なります☆
また、服用方法も異なり、デルティバは1日2回(朝夕)に対し、サチュロは1日1回です。
患者さんにとっては治療選択肢が増えたことは朗報ではないでしょうか。
今後はデルティバとの使い分け等が検討されると興味深いと感じました。
以上、本日は多剤耐性肺結核とサチュロ錠についてご紹介しました!
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