4.消化器系 12.悪性腫瘍

プロイメンド(ホスアプレピタント)の作用機序【小児用制吐薬】

PASSMED公式LINEの登録者特典|当サイトに掲載している図表の元データ&学習支援AI 薬科GPTをプレゼント♪

2016年3月18日、プロイメンド点滴静注用150mg(一般名:ホスアプレピタントメグルミン)の「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)」の効能・効果に小児用量が追加されました!

 

12歳未満に投与できる遅発期の抗悪性腫瘍剤(抗がん剤)に伴う悪心・嘔吐を効能・効果とする薬剤は今までなかったため、同剤が初です☆

 

今回は抗がん剤と悪心・嘔吐についてご紹介します。

 

抗がん剤(化学療法)と悪心・嘔吐

一般的に抗がん剤を投与する際に、患者が最も気にする副作用の一つとして悪心(気持ち悪くなること)や嘔吐(吐いてしまう)があります。

皆さまも病気や食あたりの時に悪心・嘔吐を経験された方がいらっしゃると思いますが、やはり嫌ですよね・・・。私も嫌です。

 

抗がん剤の中でも、特にシスプラチンは悪心・嘔吐が強いことが知られています。

嘔吐が起こるには、延髄に存在する「嘔吐中枢」が深く関わっており、この嘔吐中枢が刺激されると、嘔吐が引き起こされます。

また、嘔吐中枢の近くには、化学受容器引き金帯(CTZ)という部位が存在し、このCTZが刺激されると、その刺激が嘔吐中枢に伝わってしまい、嘔吐が引き起こされます。

抗がん剤による悪心・嘔吐のメカニズム

抗がん剤を投与すると、体内ではセロトニン、サブスタンスP、ドパミン、ヒスタミンといった様々な物質が放出されます。

 

ここで最も重要なのがセロトニンサブスタンスPです。

セロトニンはセロトニン5HT3受容体に結合し、その刺激が嘔吐中枢に伝わります。

また、CTZにはセロトニン5HT3受容体と、サブスタンスPが結合するNK1受容体が存在しています。

これら両方の刺激によって、嘔吐中枢が刺激され、嘔吐を引き起こすと考えられています。

悪心・嘔吐の対策(予防)とプロイメンド(ホスアプレピタント)の作用機序

一度、悪心・嘔吐を経験してしまうと、その後の治療意欲の減退やQOLの低下を招いてしまいます。

そのため、抗がん剤治療を行う上では、悪心・嘔吐を予防することが重要です。

 

特に、悪心・嘔吐の強いシスプラチンを含む抗がん剤治療では、5HT3受容体拮抗薬NK1受容体拮抗薬(プロイメンド)を併用して投与します。

通常、抗がん剤投与前にこれら2剤とステロイドを併用して投与します。

このように、プロイメンドはNK1受容体を選択的に阻害する薬剤で、通常、5-HT3受容体拮抗薬とステロイドと併用して用いられます。

 

あとがき

これまで、プロイメンドは成人用にしか適用がありませんでしたが、今回、小児にも使用きでるようになりました。

 

国内の小児悪性腫瘍患者数は年間1万4100人程と推察されていますので、今回新たに小児に対して使用できることは朗報かと思います。

以上、本日は抗がん剤に伴う悪心・嘔吐対策としてのプロイメンドをご紹介しました♪

 

2022年には新規のNK1受容体拮抗薬、アロカリス(ホスネツピタント)も登場しました!

アロカリス(ホスネツピタント)の作用機序・特徴【抗がん剤に伴う悪心・嘔吐】

続きを見る

 

 

\ 新薬情報オンラインの運営者が執筆! /

失敗しない薬剤師の転職とは?

数多く存在する薬剤師専門の転職エージェントサイト

どこに登録したらいいのか悩むことも少なくありません。そんな転職をご検討の薬剤師さんに是非見ていただきたい記事を公開しました。

  • 新薬情報オンラインの薬剤師2名が実際に利用・取材!
  • 各サイトの特徴等を一覧表で分かりやすく掲載!
  • 絶対にハズレのない厳選の3サイトを解説!

上手に活用してあなたの希望・条件に沿った【失敗しない転職】を実現していただけると嬉しいです!

薬剤師の転職サイト3選|評判・求人特徴とエージェントの質を比較

続きを見る

 

日々の情報収集に最適

薬剤師の勉強・情報収集に役に立つ無料サイト・ブログ8選
  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

プロフィール・運営者詳細
お問い合わせ・仕事の依頼
私の勉強法紹介

-4.消化器系, 12.悪性腫瘍
-, ,