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2014年7月4日、厚生労働省は、「本剤に感性の結核菌による多剤耐性肺結核」を効能・効果とするデルティバ錠(一般名:デラマニド)を承認しました。
ではここで簡単に多剤耐性結核菌とデルティバ(デラマニド)の作用機序についてご説明します☆
結核について
結核とは、その名の通り、「結核菌」の感染によって引き起こされる疾患です。
日本では結核の約8割は肺です(肺結核)。
結核菌が肺の内部で増えて、結核に特有な様々な炎症が起こります。
初期の症状はカゼと似ていますが、せき、痰、発熱(微熱)などの症状が長く続くのが特徴で、体重減少、食欲低下、などの症状もあります。
慢性化すると、徐々に肺が破壊されていき、呼吸機能が低下していきます。
結核の標準治療
結核は基本的には薬剤による治療が標準です。
現在、治療に使われる主な薬剤としては、
- リファンピシン:RNAポリメラーゼ阻害
- イソニアジド:細胞壁のミコール酸合成阻害
- ストレプトマイシン:タンパク合成阻害
- エタンブトール:細胞壁アラビナン合成阻害
- ピラジナミド
があり、これらの薬剤を組み合わせて約6か月間の治療が行われます。
多剤耐性結核
結核菌は、上記のような治療薬に対して遺伝子の変異等によって抵抗性がついてしまうことがあります(これを菌の耐性化といいます)。
現在の結核治療の中でもっとも重要なイソニアジドとリファンピシンが同時に耐性となったのが「多剤耐性結核」です。
世界的に見て、最近この多剤耐性結核が増加しており、結核の増加を考える上で、現在もっとも深刻な問題になっています。
今まで多剤耐性結核の薬物療法は既存薬の組み合わせで行われてきましたが、WHOによると治療の成功率は50%以下であり、世界では年間17万人が亡くなっていると言われています。
このような多剤耐性結核の治療薬は限られており、治療成績も満足のいくものではありませんでした。
デルティバ錠(一般名:デラマニド)の作用機序
結核菌は、ヒトの細胞と異なり、「細胞壁」を有しています。
結核菌の細胞壁は「ミコール酸」と呼ばれる脂質を多量に含んでいることが知られており、これによって消毒や乾燥にも高い抵抗性を有していると考えられています。
このミコール酸のおかげで、結核菌はヒトのマクロファージに取り込まれても生存できるようです。少し怖いですね・・。
今回ご紹介するデルティバは、結核菌の細胞壁を構成するミコール酸の合成を阻害することで結核菌の増殖を抑えるといった新しい作用機序を有する薬剤です。
もちろん、ヒトには細胞壁もミコール酸も存在していないため、結核菌だけを狙って効果を発揮することができます。
副作用としては、不眠、頭痛、QT延長、傾眠等が認められていますので注意が必要です。
デルティバ錠(一般名:デラマニド)の用法用量
服用方法は、通常、成人にはデラマニドとして1回100mgを1日2回朝、夕に食後経口投与するとされています。
また、耐性菌の発現を防ぐため、感受性を有する既存の抗結核薬3剤以上にデルティバを上乗せして併用すること、とされていますので、基本的には他の薬剤と併用して用いられます。
あとがき
今まで治療することが困難であった多剤耐性結核に対して新規作用機序を有する薬剤が登場したことは患者さんにとって朗報ではないでしょうか☆
日本ではリファマイシン系のリファンピシンが1971年に承認されて以来、約40年ぶりの新系統(ニトロイミダゾール系)の薬剤だそうです!
以上、本日は結核菌とデルティバ錠(一般名:デラマニド)の作用機序についてご紹介でした。
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