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2026年8月26日、厚労省の薬事審議会・医薬品第一部会にて、「全身性ALアミロイドーシス」を対象疾患とするアミロペイブ点滴静注300mg(アンセラミマブ)の承認が了承されました!
現時点では未承認のためご注意ください。
基本情報
| 製品名 | アミロペイブ点滴静注300mg |
| 一般名 | アンセラミマブ(遺伝子組換え) |
| 製品名の由来 | |
| 製造販売 | アレクシオンファーマ合同会社 |
| 効能・効果 | 全身性ALアミロイドーシス(免疫グロブリン軽鎖がκ型優位の場合に限る) |
| 収載時の薬価 | |
| 発売日 |
アミロペイブは、臓器に沈着したアミロイド線維そのものを標的にして除去を促す抗アミロイド繊維抗体薬です。
これまでのALアミロイドーシス治療は、ダラキューロ配合皮下注(ダラツムマブ)に代表されるように、原因物質(軽鎖)を作る形質細胞に対する治療が中心でした。
今回は全身性ALアミロイドーシスの概要とともに、アミロペイブ(アンセラミマブ)の作用機序・エビデンスについて解説します。
全身性ALアミロイドーシスとは
全身性ALアミロイドーシス(AL:amyloid light chain)は、骨髄の異常な形質細胞から作られる異常な免疫グロブリン軽鎖タンパク質が、誤って折りたたまれて凝集し、アミロイド線維となって全身の組織・臓器に沈着・蓄積する進行性の全身疾患です。
特に心臓や腎臓にアミロイドが沈着しやすく、放置すると進行性の臓器障害・機能不全を引き起こし、最も多くは心不全により早期死亡に至る可能性があります。
ALアミロイドーシスの原因:形質細胞と軽鎖(M蛋白)
体内では、骨髄の形質細胞が抗体(IgGなどの免疫グロブリン)を産生しています。
抗体は重鎖と軽鎖からできており、軽鎖にはκ(カッパ)型とλ(ラムダ)型の2種類があります。
ALアミロイドーシスでは、骨髄の一部の異常な形質細胞が、異常な軽鎖(M蛋白と呼ぶ)のみを過剰に産生します。
この異常な軽鎖が互いに結合し、アミロイド前駆蛋白質を経て、不溶性の線維(アミロイド線維)を形成し、心臓や腎臓、神経などに沈着することで各臓器障害を引き起こします。

また、ALアミロイドーシスは、原因となる軽鎖がκ型かλ型かで二つに分類されます。
全体としてはλ型が多数(約8割)を占め、κ型は約2割とされています。
後述の臨床試験(CARES試験)では、κ型の患者さんで特に明確な有効性が示されたことから、アミロペイブの効能・効果は「免疫グロブリン軽鎖がκ型優位の場合に限る」と限定されています。
治療
ALアミロイドーシスの標準治療は、原因である異常な形質細胞を標的とする治療が中心です。
具体的には、ボルテゾミブ+シクロホスファミド+デキサメタゾン(BCD療法)に、抗CD38抗体薬のダラキューロ/ダラザレックス(ダラツムマブ)を併用するD-BCD療法が標準治療です。1)
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ダラキューロ/ダラザレックス(ダラツムマブ)の作用機序【多発性骨髄腫】
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移植適用のある場合には、寛解導入療法としてD-BCD療法を実施後、移植を行います。移植適用がない場合もD-BCD療法を行います。
これらの治療は「新しい異常軽鎖が作られるのを止める」ことには有効ですが、アミロイド線維には対処できませんでした。
アミロペイブ(アンセラミマブ)の作用機序:抗アミロイド繊維抗体
アミロペイブは、ALアミロイドーシスに対する初の抗アミロイド繊維抗体薬です。
ALアミロイドーシスによって生成されたアミロイド線維上に露出したアミノ酸配列(構造)を特異的に認識して結合します。

重要なのは、正常な(天然の)遊離軽鎖には結合せず、病的なアミロイド線維だけを狙い撃ちする点です。
また、アミロイド線維に結合したアミロペイブは、免疫系による貪食・除去(クリアランス)を促す目印(オプソニン化)として働き、マクロファージなどの免疫細胞によるアミロイド沈着物の破壊・除去を促進すると考えられています。
エビデンス紹介:CARES試験
根拠となった代表的な臨床試験(CARES試験)をご紹介します。2)
本試験は初発のALアミロイドーシス患者さんを対象に、D-BCD療法+プラセボ群とD-BCD療法+アミロペイブ群を比較した国際共同第Ⅲ相臨床試験です(日本人を含む)。
主要評価項目は「全死因死亡までの時間と心血管入院頻度の複合エンドポイント」とされ、全集団ではプラセボ群に対する優位性は示されませんでした。
しかし、事前に規定されたサブグループ解析において、κ型が優位なサブグループではアミロペイブ群で有意な複合エンドポイントの改善が示されていました。
副作用
正式承認後に更新予定です。
用法・用量
正式承認後に更新予定です。
臨床試験では、標準治療(D-BCD療法)に上乗せする形で、最初の4週間は週1回、その後は2週ごとに点滴静注とされていました。
収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
まとめ・あとがき
アミロペイブはこんな薬
- 全身性ALアミロイドーシス(κ型優位に限る)に用いる抗アミロイド繊維抗体薬
- 臓器に沈着したアミロイド線維に特異的に結合し、その除去を促す
- 正常な軽鎖には結合せず、病的なアミロイドだけを狙い撃ちする
- 標的治療に上乗せして点滴静注する
これまでのALアミロイドーシス治療は「異常軽鎖の産生を止める」ことが中心で、すでに沈着したアミロイド線維は治療の対象外でした。
アミロペイブは、その“沈着したアミロイド線維そのもの”を取り除くという新しい作用機序をもち、特にκ型の患者さんにとって、予後を改善しうる新たな治療選択肢として期待されます。
以上、今回は全身性ALアミロイドーシスとアミロペイブ(アンセラミマブ)の作用機序・エビデンスについてご紹介しました!
引用文献・資料等
- 造血器腫瘍診療ガイドライン 2024年版
- CARES試験:J Clin Oncol. 2026 Jul 10;44(20):1899-1910.
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