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2026年8月24日、厚生労働省の薬事審議会・医薬品第二部会にて、「乾癬」を対象疾患とするイコタイド錠(イコトロキンラ)の承認が了承されました!
現時点では未承認のためご注意ください。
ヤンセンファーマ|申請のニュースリリース
基本情報
| 製品名 | イコタイド錠200mg |
| 一般名 | イコトロキンラ塩酸塩 |
| 製品名の由来 | |
| 製造販売 | ヤンセンファーマ(株) |
| 効能・効果 | 既存治療で効果不十分な下記疾患 ●尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症 |
| 用法・用量 | 1日1回経口投与? |
| 収載時の薬価 | |
| 発売日 |
イコタイドは、IL-23受容体を選択的に阻害する初の経口ペプチド製剤です。
これまで乾癬治療の主流であった生物学的製剤(IL-23抗体など)はすべて注射剤でしたが、イコタイドは同じIL-23経路を1日1回の経口投与で阻害することができます。
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今回は乾癬とイコタイド(イコトロキンラ)について解説していきます!
皮膚のターンオーバーと乾癬
通常、皮膚は外からの刺激・乾燥等を防御したり、細菌・ウイルスの侵入を防ぐといった免疫機能を司っています。
構造としては、表面から順に、
- 表皮
- 真皮
- 皮下組織
の3層に分かれています。
また、表皮はさらに
- 角質層
- 顆粒層
- 有棘層
- 基底層
の4層から構成されています。
皮膚はその機能を保つため、基底層で常に新しい細胞が作られています。
基底層で新しくできた細胞は徐々に角層へと押し上げられ、最終的には垢となって剥がれ落ちます。
このような皮膚の細胞サイクルを「ターンオーバー(分化)」と呼び、通常、約28~40日サイクルで繰り返されています。

乾癬の患者さんでは、慢性の炎症を伴う何らかの原因で上記のターンオーバーのサイクルが4~5日と極端に短くなっています。
そのため、皮膚が盛り上がったような状態(“肥厚”と呼びます)になり、赤い発疹(“紅斑”と呼びます)を伴うことを特徴とします。
また、皮膚の一部がかさかさになって剥げ落ちる(“落屑”と呼びます)こともあります。
乾癬の分類
乾癬は5つの種類に分類されていますが、約9割は「尋常性乾癬」です。
- 尋常性乾癬
- 乾癬性関節炎
- 滴状乾癬
- 乾癬性紅皮症
- 膿疱性乾癬
乾癬性紅皮症や膿疱性乾癬は非常に稀ですが、発症すると症状が厳しいため、重症になることが多いです。
ちなみに、膿疱性乾癬における急性症状に対しては、2022年にスペビゴ(スペソリマブ)が登場しています。
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乾癬の原因
明確な原因は不明確ですが、
- 遺伝的素因
- 環境要因(ストレス、食生活、肥満等)
などによって、免疫機能が異常になることで発症すると考えられています。
何らかの原因によって、マクロファージ等が産生する炎症性サイトカイン(TNFα、IL-12、IL-23)等によって炎症が引き起こされ、乾癬の症状が発現します。
IL-23がT細胞(Th17細胞)上のIL-23受容体に結合すると、細胞内でJAK2やTYK2が活性化してSTAT3を介したシグナルが核へ伝わり、Th17細胞の維持・増殖を促します。
その結果、IL-17などの炎症性サイトカインが産生され、乾癬の皮膚炎症が持続・増悪すると考えられています。

この「IL-23/Th17経路」は、乾癬治療における確立された標的で、既存の抗IL-23抗体薬(生物学的製剤)であるトレムフィア(グセルクマブ)やスキリージ(リサンキズマブ)はいずれもこの経路を狙っていますね。
乾癬の重症度と治療
乾癬の重症度は皮膚の症状や状態、患者さんが感じる不便さ、等を指標に「軽症」、「中等症」、「重症」の3つに分けられています。
重症度に応じて、以下の4つの治療が単独もしくは組み合わせて行われますが、中心となるのは外用療法です。
- 外用療法(塗り薬)
- 光線療法(紫外線照射)
- 内服療法(経口薬)
- 生物学的製剤治療(注射薬)
外用療法(塗り薬)には、ステロイド外用薬や活性型ビタミンD3外用薬が用いられます。
内服療法(経口薬)には、チガソン(一般名:エトレチナート)等のビタミンA誘導体の他、免疫抑制薬やPDE4阻害薬のオテズラ(一般名:アプレミラスト)が重症度に応じて使用されます。
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そして生物学的製剤治療(抗体薬)は基本的には、以下のような患者さんにしか使用することができません。1)
- 外用療法、光線療法、内服療法で改善しない患者さん
- 乾癬性関節炎で痛みが激しい患者さん
- 乾癬性紅皮症や膿疱性乾癬等の重症な患者さん
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【乾癬】生物学的製剤の一覧と作用機序/特徴のまとめ
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イコタイド(イコトロキンラ)の作用機序
イコタイドは、IL-23受容体(IL-23R)に選択的に結合し、IL-23が受容体に結合するのを阻害する薬剤です。
経口の環状ペプチド製剤のため、その環状構造により消化管での分解に強く、抗体より小さい“中分子”のため経口投与が可能です!

IL-23と受容体の結合がブロックされることで、下流のシグナルが核へ伝わらなくなります。
エビデンス紹介:ICONIC-LEAD試験(vs. プラセボ)
根拠となった臨床試験はいくつかありますが、まずはプラセボを対象として実施されたICONIC-LEAD試験をご紹介します。2)
本試験は中等度から重度の尋常性乾癬の患者さんを対象に、プラセボ群に対するイコタイド群の有効性と安全性を比較した国際共同第Ⅲ相試験です。
主要評価項目は16週時点での「IGA 0/1達成率*」と「PASI 90達成率†」とされ、結果は以下の通りでした。
| プラセボ群 | イコタイド群 | |
| IGA 0/1達成率 | 8% | 65% |
| P<0.001 | ||
| PASI 90達成率 | 4% | 50% |
| P<0.001 | ||
*IGA(Investigator's Global Assessment):医師による全般的評価の一つ(IGA<0 : 消失1 : ほぼ消失、 2 : 軽症、 3 :等症、 4 : 重症>)
†PASI(Psoriasis Area and Severity Index):乾癬の面積と重症度の指標でPASI 75は「75%以上の改善」と定義される
イコタイドはプラセボに対して優越性が確認されていますね!
続いて、ソーティクツ(デュークラバシチニブ)と直接比較した試験もご紹介します。
エビデンス紹介:ICONIC-ADVANCE 1・2試験(vs. ソーティクツ)
本試験は中等度から重度の尋常性乾癬の患者さんを対象に、プラセボ群、イコタイド群、ソーティクツ群の有効性と安全性を比較した国際共同第Ⅲ相試験です。3)
主要評価項目はプラセボ群との比較における16週時の「IGA 0/1を達成し、かつ2段階以上改善した患者の割合」、「PASI 90達成率」とされ、ICONIC-ADVANCE 1試験・ICONIC-ADVANCE 2試験共に達成されていました。
詳細は割愛しますが、ソーティクツ群に対して、イコタイド群は有意な改善が認められたと報告されています。
副作用
正式承認後に更新予定です。
前述の臨床試験では、鼻咽頭炎や上気道感染症などが報告されていました。
用法・用量
正式承認後に更新予定です。
1日1回200mgを起床時に空腹の状態で経口投与?
収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
まとめ・あとがき
イコタイドはこんな薬
- IL-23受容体を選択的に阻害する初の標的経口ペプチド
- IL-23と受容体の結合をブロックし、Th17経路の炎症を抑える
- 1日1回・起床時に空腹で経口投与
- 直接比較でソーティクツに対する優越性を確認、安全性も良好
これまで乾癬に対するIL-23経路の阻害は生物学的製剤による注射剤のみでした。
イコタイドは、1日1回の経口投与でIL-23経路を阻害し、効果を発揮する新たな治療選択肢です。
以上、今回は乾癬とイコタイド(イコトロキンラ)の作用機序・エビデンスについてご紹介しました!
引用文献・資料等
- 日本皮膚科学会:乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンス(2022年版)
- ICONIC-LEAD試験:N Engl J Med 2025;393:1784-1795
- ICONIC-ADVANCE 1・2試験:Lancet. 2025 Sep 27;406(10510):1363-1374.
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