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2026年8月26日、厚労省の薬事審議会・医薬品第一部会にて、「インスリン療法が適応となる2型糖尿病」を対象疾患とするオンスイク注ミリオペン(インスリン エフシトラ)の承認が了承されました!
現時点では未承認のためご注意ください。
基本情報
| 製品名 | オンスイク注ミリオペン総量1500単位 |
| 一般名 | インスリン エフシトラ アルファ(遺伝子組換え) |
| 製品名の由来 | |
| 製造販売 | 日本イーライリリー(株) |
| 効能・効果 | インスリン療法が適応となる2型糖尿病 |
| 用法・用量 | 1週間に1回皮下注射 |
| 収載時の薬価 | |
| 発売日 |
オンスイクは、国内2製品目となる週1回皮下投与の基礎インスリン製剤です!既に、週1回製剤としてはアウィクリ注(インスリン イコデク)がありますね。
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アウィクリ注(インスリン イコデク)の作用機序・特徴【糖尿病】
続きを見る
今回は体内の血糖調節システムと糖尿病、そしてオンスイク注(インスリン エフシトラ)の作用機序等について解説します。
生体内の血糖調節システム
通常、生体内では以下のいくつかのホルモン等によって血糖が一定に保たれています。
<血糖を上昇させる生体内物質>
- グルカゴン
- アドレナリン
- ノルアドレナリン
- コルチゾール
- 成長ホルモン
<血糖を下降させる生体内物質>
- インスリン
このように、血糖を上昇させる物質は数種類存在していますが、血糖を下降する物質はインスリンしかありません。
インスリンの作用とGLP-1
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンです。
分泌されたインスリンは、細胞に作用することで血中のブドウ糖を細胞内に取り込む働きがあります。

また、インスリンの分泌を促進させる物質の一つに「GLP-1」と呼ばれるホルモンがあります。
GLP-1は食事が小腸を通過することで分泌されるホルモンで、以下のような働きを有します。
- インスリン分泌促進(血糖依存的)
- グルカゴン分泌抑制(血糖依存的)
- 胃排泄遅延
- 食欲抑制
血糖値が低い時にはインスリンの分泌を促進しないため、過剰に分泌されても低血糖になる恐れがありません。
しかし、GLP-1は「DPP-4」と呼ばれるタンパク質によって半減期1~2分ほどの早さで速やかに分解され、効果はすぐ失われます。

糖尿病とは
2023年(令和5年)の厚労省調査(3年に1度)によると、糖尿病の総患者数は552万3,000人(男性317万7,000人、女性234万6,000人)であり、調査年度によって多少の増減があるものの、全体的に増加傾向にあります。
糖尿病はその名の通り、血中ブドウ糖濃度が高い状態が慢性的に継続している病態です。
健康診断等で
- 空腹時血糖値が126mg/dL以上
- HbA1cが6.5%以上
の場合に疑われ、数回の検査を経て確定診断されます。
糖尿病にはその原因や病態によって
- 1型糖尿病
- 2型糖尿病
に分類されています。
日本人では約95%が「2型糖尿病」に分類されており、遺伝因子と食生活・運動不足・肥満等の生活習慣が原因で、以下の理由で引き起こされると考えられています。
- インスリンの分泌低下:インスリン量が減っている
- インスリンの抵抗性増大:インスリンの効きが悪くなっている

主にはインスリンの抵抗性増大によると考えられています。(インスリン分泌低下は軽度~中等度と様々)
一方、1型糖尿病は遺伝因子や自己免疫等によって、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が欠損・破壊されている状態です。(インスリンの分泌低下)
従って、治療の基本はインスリンの補充療法です。
2型糖尿病の治療
2型糖尿病治療は
- 食事療法
- 運動療法
- 薬物療法
を基本としますが、最も大切なのは食事療法と運動療法です。1)
食事/運動療法を2~3カ月続けても血糖値が下がらない場合、薬物療法が開始されます。
2型糖尿病治療薬
2型糖尿病治療薬にはいくつかの種類があり、年齢や肥満の程度、合併症、肝・腎機能等によって使い分けられます。
まずは、インスリンの適応かどうかが判断され、絶対的適応または相対的適応の場合、インスリン製剤による治療が開始されます。1-3)
【絶対的適応】
- 1型糖尿病
- インスリン依存状態
- 高血糖性の昏睡
- 重症感染症
- 全身麻酔を要する外科手術
- 食事療法だけでは良好な血糖コントロールが得られない妊娠糖尿病など
【相対的適応】
- インスリン非依存状態であっても著明な高血糖を示す場合や経口薬療法のみでは良好な血糖コントロールが得られない場合
- 糖毒性を積極的に解除する場合など
インスリン製剤は、その作用持続時間によって超速効型、速効型、中間型、持効型溶解インスリン製剤に分類されています。さらに、異なる2種類のインスリン製剤が混合された混合型、配合溶解インスリン製剤もあります。
最近では、持効型溶解インスリンとGLP-1 受容体作動薬の配合注射薬であるゾルトファイ配合注(インスリンデグルデク/リラグルチド)やソリクア配合注(インスリングラルギン/リキシセナチド)も登場しました。
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ゾルトファイ配合注(インスリンデグルデク/リラグルチド)の作用機序【糖尿病】
続きを見る
オンスイクの作用持続時間は約1週間で、「持効型溶解インスリン製剤」に分類されています。
さて、インスリン製剤の適応とならない場合、少量の経口血糖降下薬から開始されますが、その使い分けについては、色々な考え方があります。1-3)

ビグアナイド薬(例:メトホルミン)単独で治療を開始3)する場合や、肥満(インスリン抵抗性)か非肥満(インスリン分泌能不足)かを判断の上、additional benefitを考慮して使い分ける2)場合などがあります。
慢性腎臓病や慢性心不全を合併している場合、それらにも適応を有するSGLT2阻害薬のフォシーガ(ダパグリフロジン)やジャディアンス(エンパグリフロジン)などがよい適応となるでしょう。
最近では、メトホルミンを改良した新規の経口薬であるツイミーグ(イメグリミン)も登場しました。1つでインスリン抵抗性改善とインスリン分泌促進作用を有している新薬です。
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ツイミーグ(イメグリミン)の作用機序・特徴【糖尿病】
続きを見る
これら経口血糖降下薬を使用しても血糖値が下がらない場合、経口薬の増量や併用、そして注射剤(GLP-1受容体作動薬、インスリン製剤)の使用が段階的に検討されます。
オンスイク注(インスリン エフシトラ)の作用機序・特徴
オンスイクは、インスリンにIgG抗体のFc領域(定常領域)を融合させた製剤です。4)
通常、IgG抗体が細胞内に取り込まれると、細胞内に存在しているFcRn(胎児性Fc受容体)という受容体とIgGのFc領域が結合し、再度血中に放出されてリサイクル(再循環)されます。

単独のインスリンは数時間で分解されますが、オンスイクはFc領域を融合させているため、抗体のリサイクル経路によって分解を回避して再利用されることで、血糖降下作用が長期間持続すると考えられています。

エビデンス紹介:QWINT試験
根拠となった臨床試験は以下のQWINT試験(いずれも第Ⅲ相試験)などがあります。
- QWINT1試験5):インスリン治療歴のない2型糖尿病患者さんを対象に、オンスイクの週1回投与とランタス(インスリン グラルギン)の1日1回投与を比較(非劣性を検証)。
- QWINT2試験6):インスリン治療歴のない2型糖尿病患者さんを対象に、オンスイクの週1回投与とトレシーバ(インスリン デグルデク)の1日1回投与とトレシーバ(インスリン デグルデク)の1日1回投与を比較(非劣性を検証)。
- QWINT3試験7):基礎インスリンによる治療を受けている2型糖尿病患者さんを対象に、オンスイクの週1回投与とトレシーバ(インスリン デグルデク)の1日1回投与とトレシーバ(インスリン デグルデク)の1日1回投与を比較(非劣性を検証)。
- QWINT4試験8):基礎インスリンおよび食後インスリンで治療中の2型糖尿病患者さんを対象に、オンスイクの週1回投与とランタス(インスリン グラルギン)の1日1回投与を比較(非劣性を検証)。
QWINT1試験の主要評価項目は「ベースラインから52週までのHbA1cの変化量」とされ、ランタスに対するアウィクリの非劣性を検証しました。
| 試験群 | オンスイク 週1回投与 |
ランタス 1日1回投与 |
| ベー スラインから 52週までのHbA1cの変化量 |
-1.19% | -1.16% |
| 非劣性:確認 優越性:なし |
||
| 臨床的に意義のある、 または重度の低血糖の複合発生率 |
0.50件 | 0.88件 |
| 推定発生率比=0.57(95%CI:0.39~0.84) | ||
その結果、非劣性が示されましたが、優越性は確認されていません。また、重度の低血糖の発生率はオンスイク群で有意に低いとされていました。
副作用
後日更新予定です。
用法・用量、在宅自己注射
後日更新予定です。
在宅自己注射についても、情報が判明次第、更新します。
デバイスは「ミリオペン」ですので、ルムジェブ注ミリオペン、ヒューマログ注ミリオペンなどと同じです。

日本イーライリリー糖尿病治療薬をお使いの皆様へ|ミリオペン®正しい使い方
収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
まとめ・あとがき
オンスイクはこんな薬
- 国内2製品目となる長時間作用型のインスリン製剤
- IgG抗体のFc領域と融合することで、半減期が延長している
- 週1回の皮下投与
- デバイスはミリオペン
これまで基礎インスリンは1日1回の注射が基本でしたが、アウィクリ(アルブミン結合型)に続き、オンスイク(Fc融合型)は異なるアプローチの週1回製剤として選択肢に加わります。
作用の仕組みは異なっても、いずれも「注射の負担を減らし、インスリン導入のハードルを下げる」という同じ目的に向かった薬剤です。
以上、今回は糖尿病とオンスイク(インスリン エフシトラ )の作用機序についてご紹介しました!
糖尿病治療薬関連の以下のまとめ記事もありますので是非ご覧くださいませ☆
あわせて読みたい
引用文献・資料等
- 日本糖尿病学会|糖尿病診療ガイドライン2024
- 日本糖尿病学会|2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム(第2版)
- 日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会|糖尿病標準診療マニュアル
- J Pharmacol Exp Ther. 2022 Sep;382(3):346-355.
- QWINT1試験:N Engl J Med 2025;393:325-335
- QWINT2試験:N Engl J Med 2024;391:2201-2211
- QWINT3試験:Lancet. 2025 Jun 28;405(10497):2279-2289.
- QWINT4試験:Lancet. 2025 Jun 28;405(10497):2290-2301.
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