7.炎症・免疫・アレルギー

サフネロー(アニフロルマブ)の作用機序【エリテマトーデス】

2021年9月27日、「全身性エリテマトーデス」を対象疾患とするサフネロー点滴静注(アニフロルマブ)が承認されました!

アストラゼネカ|ニュースリリース

基本情報

製品名サフネロー点滴静注300mg
一般名アニフロルマブ(遺伝子組み換え)
製品名の由来Sapience for the new line of therapy:
新しい治療法 (New Line Of therapy) のための英知 (SAPience) から“Saphnelo”とした。
製造販売アストラゼネカ(株)
効能・効果既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス
用法・用量通常、成人にはアニフロルマブ(遺伝子組換え)として、
300 mgを4週間ごとに30分以上かけて点滴静注する。
収載時の薬価96,068円

 

サフネローは抗Ⅰ型インターフェロン受容体抗体薬で、Ⅰ型インターフェロン(IFN-α、IFN-βなど)の作用を抑制するといった作用機序を有しています。

 

木元 貴祥
2017年に登場したベンリスタ(ベリムマブ)以来の抗体薬ですね!
ベンリスタ(ベリムマブ)の作用機序【エリテマトーデス】

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今回は全身性エリテマトーデスとサフネロー(アニフロルマブ)についてご紹介します☆

 

全身性エリテマトーデスとは

全身性エリテマトーデスは、日本全国に約6~10万人程の患者さんがいると考えられており、男女比は約1:9で、圧倒的に女性に多い病気です。1)

英語では「systemic lupus erythematosus」といい、その頭文字をとって「SLE」と略されます。

 

systemicとは、“全身”のという意味で、この病気が全身の様々な臓器や場所に、多彩な症状を引き起こすということを指しています。

 

具体的な症状としては、発熱、全身倦怠感などの炎症性の症状と、関節、皮膚、そして腎臓、肺、中枢神経などの内臓の様々な症状が一度に、あるいは経過とともに起こってきます。

 

発症の原因:自己抗体の産生

現在、様々な研究が行われていますが、残念ながら今のところはその原因は分かっていません。

 

一つ分かっていることとして、何らかの原因で、免疫系の異常が引き起こされ、自分の免疫(抗体)が自分自身を攻撃してしまうのがSLEです。

本来なら、免疫とは細菌やウイルスなどから自分自身を守ってくれる大切な役割をしているのですが、SLEでは、自身の抗体(自己抗体)が自身の体や臓器を攻撃するようになり、全身に様々な炎症・障害を引き起こします。

 

自己抗体の発生機序は明確には分かっていませんが、Ⅰ型インターフェロン(IFN-α、IFN-βなど)が関与していると考えられています。Ⅰ型インターフェロンがB細胞を活性化し、形質細胞に分化することで自己抗体産生が活性化されます。またⅠ型インターフェロンが直接形質細胞を活性化することも。

全身性エリテマトーデス(SLE)の発症とⅠ型インターフェロン(IFN-α,β)の関わり

 

木元 貴祥
SLEの発症や症状進行にはⅠ型インターフェロンが重要ですね!

 

治療

治療の基本は「副腎皮質ステロイド」です。1)

症状が重度の場合、大量のステロイドを投与するステロイドパルス療法が行われることもあります。

 

その他、免疫抑制薬や対処療法(NSAIDs、降圧剤、抗凝固療法)等が行われることもありますが、ステロイド治療に抵抗性を示すこともしばしばあり、新たな治療法が求められていました。

 

サフネローは既治療で抵抗性を示すSELに対して治療効果が期待されています!ベンリスタ(ベリムマブ)も同じですね。

ベンリスタ(ベリムマブ)の作用機序【エリテマトーデス】

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サフネロー(アニフロルマブ)の作用機序:抗IFNAR-1抗体

Ⅰ型インターフェロンが結合するB細胞・形質細胞側の受容体は2つのサブユニットから構成されています。

  • IFNAR-1:Ⅰ型インターフェロン受容体サブユニット1
  • IFNAR-2:Ⅰ型インターフェロン受容体サブユニット2

 

サフネローはサブユニット1(IFNAR-1)を特異的に阻害する抗体薬です!

サフネロー(アニフロルマブ)の作用機序:抗IFNAR-1抗体

 

Ⅰ型インターフェロンの働きが抑制されることで自己抗体産生が抑制され、SLEの症状緩和・進行抑制効果が期待できるといった作用機序ですね!

 

エビデンス紹介:TULIP-2試験

根拠となった臨床試験はいくつかありますが、代表としてTULIP-2試験をご紹介します。

本試験はステロイドや免疫抑制薬等の薬物療法を少なくとも1種類受けている中等症から重症の活動性SLE患者さんを対象に、標準治療に加えてサフネローとプラセボを比較した国際共同第Ⅲ相試験です。2)

 

主要評価項目は52週時点の「BICLA*反応率」とされ、結果は以下の通りでした。

サフネロー群プラセボ群
BICLA反応率47.8%31.5%
両群の差:16.3%(95%CI:6.3%-26.3%)
P=0.001

*BICLA:British Isles Lupus Assessment Group(BILAG)ベースの複合狼瘡評価

 

木元 貴祥
プラセボと比較して有意な改善が認められていますね!

 

用法・用量

通常、成人にはアニフロルマブ(遺伝子組換え)として、300mgを4週間ごとに30分以上かけて点滴静注します。

 

副作用

10%以上に認められる副作用として、上気道感染(上気道感染、上咽頭炎、咽頭炎)、注入に伴う反応などが報告されています。

 

重大な副作用としては、

  • アナフィラキシー(頻度不明)
  • 重篤な感染症(1.7%)

が挙げられていますので特に注意が必要です。

 

収載時の薬価

現時点では薬価未収載ですが、収載予定時(2021年11月25日)の薬価は以下の通りです。

  • サフネロー点滴静注300mg:96,068円

 

算定根拠については以下をご参考ください。

【新薬:薬価収載】12製品+再生医療等製品(2021年11月25日)

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まとめ・あとがき

サフネローはこんな薬

  • Ⅰ型インターフェロン受容体サブユニット1を選択的に阻害する抗体薬
  • 4週間に1回点滴静注する

 

木元 貴祥
SLEを適応とする抗体製剤はベンリスタに次いで2製品目です。治療選択肢が少ないため、期待される薬剤かと思います♪

 

以上、本日は全身性エリテマトーデスと、その治療薬のサフネロー(アニフロルマブ)についてご紹介しました。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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