新薬承認・薬価収載

【新薬+適応拡大】14製品+3製品(2021年6月23日)

2021年6月23日、厚労省は新薬として審議品目14製品を承認しました!その他、報告品目として適応拡大など3製品も承認されています。

 

今回は概要についてご紹介していきます!

 

新薬(審議品目):14製品

●ベリキューボ錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg(一般名:ベルイシグアト)
「慢性心不全。ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ベリキューボ(ベルイシグアト)の作用機序【心不全】

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慢性心不全領域では初の可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬ですね!

sGC刺激薬は肺動脈性肺高血圧症で既に使用されている作用機序ですが、慢性心不全にも応用が期待されています。

アデムパス(リオシグアト)の作用機序【肺動脈性肺高血圧症】

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●レカルブリオ配合点滴静注用(一般名:レレバクタム水和物/イミペネム水和物/シラスタチンナトリウム)
:「各種感染症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品及び新医療用配合剤。

レカルブリオ(レレバクタム/イミペネム/シラスタチン)の作用機序【MDRP】

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イミペネムとシラスタチンの配合剤は既にチエナム点滴静注用として承認・販売されていますが、これに新有効成分のレレバクタム(β-ラクタマーゼ阻害薬)を配合したものですね。

 

適応菌種は以下の通りです。

  • 本剤に感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、緑膿菌、アシネトバクター属
    ※ただし、カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す菌株に限る

 

●タズベリク錠200mg(一般名:タゼメトスタット臭化水素酸塩)
:「再発又は難治性のEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

タズベリク(タゼメトスタット)の作用機序【悪性リンパ腫】

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国内初のEZH2阻害薬ですね。エピジェネティクスに関与しています。

 

●アジョビ皮下注225mgシリンジ(一般名:フレマネズマブ(遺伝子組換え))
:「片頭痛発作の発症抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

アジョビ(フレマネズマブ)の作用機序【片頭痛の予防】

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抗CGRP抗体製薬としてはエムガルティ皮下注(ガルカネズマブ)に次いで2製品目です。

 

●アイモビーグ皮下注70mgペン(一般名:エレヌマブ(遺伝子組換え))
:「片頭痛発作の発症抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

アイモビーグ(エレヌマブ)の作用機序【片頭痛の予防】

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エムガルティやアジョビとは作用機序が少し異なり、抗CGRP受容体抗体薬です。小児での開発も進んでいるとのこと。CGRP関連抗体薬については以下の記事でまとめています。

エムガルティ(ガルカネズマブ)の作用機序:アジョビ・アイモビーグとの違い【片頭痛】

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●ツイミーグ錠500mg(一般名:イメグリミン塩酸塩)
:「2型糖尿病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ツイミーグ(イメグリミン)の作用機序・特徴【糖尿病】

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木元 貴祥
初のミトコンドリア機能改善薬です!

 

●ウパシタ静注透析用25μgシリンジ、同50μgシリンジ、同100μgシリンジ、同150μgシリンジ、同200μgシリンジ、同250μgシリンジ、同300μgシリンジ(一般名:ウパシカルセトナトリウム水和物)
:「血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ウパシタ(ウパシカルセト)の作用機序【副甲状腺機能亢進症】

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新規のカルシウム受容体作動薬ですね。類薬としては同剤形・投与経路のパーサビブ静注透析用(一般名:エテルカルセチド)があります。

パーサビブ(エテルカルセチド)の作用機序と副作用【副甲状腺機能亢進症】

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●ルタテラ静注(一般名:ルテチウムオキソドトレオチド)
:「ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。
●ライザケア輸液(一般名:L-リシン塩酸塩、L-アルギニン塩酸塩)
:「ルテチウムオキソドトレオチドによる腎被曝の低減」を効能・効果とする新医療用配合薬。

 

ルタテラは、ソマトスタチン類似物質にルテチウム177を標識した医薬品で、腫瘍に発現しているペプチド受容体を標的とするものです。

ルタテラの副作用として、腎被爆があるため、それを低減する目的でライザケア輸液を使用します。基本は併用ですね。

 

●ユニツキシン点滴静注17.5mg/5mL(一般名:ジヌツキシマブ(遺伝子組換え))
:「大量化学療法後の神経芽腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

木元 貴祥
神経芽腫の腫瘍細胞に発現しているGD2抗原を特異的に阻害する抗体製剤です。

 

ユニツキシンは、G-CSF製剤のフィルグラスチムとIL-2製剤のテセロイキンと3剤併用で用いるため、同日2製品も報告品目として承認されています。

 

●ギブラーリ皮下注189mg(一般名:ギボシランナトリウム)
:「急性肝性ポルフィリン症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

アミノレブリン酸合成酵素1(ALAS1)に対するRNA干渉(RNAi)を利用したsiRNA治療薬です。他疾患ですが、siRNA治療薬はオンパットロ(パチシラン)に次いで2製品目ですね!

オンパットロ(パチシラン)の作用機序・siRNAの特徴【TTR-FAP】

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●ハイヤスタ錠10mg(一般名:ツシジノスタット)
:「再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

ハイヤスタ(ツシジノスタット)の作用機序【末梢性T細胞リンパ腫】

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HDACエイチダック阻害薬に分類されていますね。タズベリクと同様にエピジェネティクスに関与している医薬品です!

 

●エブリスディドライシロップ60mg(一般名:リスジプラム)

:「脊髄性筋萎縮症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

エブリスディ(リスジプラム)の作用機序【脊髄性筋委縮症】

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木元 貴祥
脊髄性筋萎縮症では初の経口治療薬ですね!

 

●レベスティブ皮下注用3.8mg(一般名:テデュグルチド(遺伝子組換え))
:「短腸症候群」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。

 

天然型ヒトGLP-2のアナログ製剤で、生体内GLP-2と同様の作用を示すことで腸管吸収機能の改善が期待されています。

また、治療選択肢が限られているため、薬価収載までの間、無償提供が行われます。

 

適応拡大(報告品目):3製品

●ゼオマイン筋注用50単位、同筋注用100単位、同筋注用200単位(一般名:インコボツリヌストキシンA)
:「下肢痙縮」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

 

A型ボツリヌス毒素を利用した治療薬ですね。類薬にはボトックスがあります!

ボトックス(A型ボツリヌス毒素)の作用機序と副作用【痙攣性発声障害】

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●グラン注射液75、同注射液150、同注射液M300、同シリンジ75、同シリンジ150、同M300(一般名:フィルグラスチム(遺伝子組換え))
●イムネース注35(一般名:テセロイキン(遺伝子組換え))
:共に「神経芽腫に対するジヌツキシマブ(遺伝子組換え)の抗腫瘍効果の増強」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

 

同日承認されたユニツキシン点滴静注と併用するため、適応拡大が承認されました。

 

あとがき

今回の注目は片頭痛治療薬2製品でしょうか。

エムガルティを皮切りに一気に3製品です!今後の使い分け等は興味深いですね。

エムガルティ(ガルカネズマブ)の作用機序:アジョビ・アイモビーグとの違い【片頭痛】

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その他、新規作用機序の薬剤としては

なども期待したいところ。ツイミーグは2型糖尿病のどの位置づけで使用されていくのか楽しみです。

 

以上、今回は2021年6月23日に承認された新薬や適応拡大について概略をご紹介しました~!

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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