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2017年3月24日、ベリナートP静注用500(一般名:乾燥濃縮ヒトC1-インアクチベーター)に「侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」の効能・効果が追加されました。
その後、2022年9月26日に皮下注用製剤(ベリナート皮下注用2000)が承認されています。
遺伝性血管性浮腫(HAE)は稀な疾患でこれまで治療選択肢が限られていました。
今回はHAEとベリナートの作用機序についてご紹介します☆
遺伝性血管性浮腫(HAE)とは
遺伝性血管性浮腫(Hereditary angioedema: HAE)は全身の皮下や粘膜に「浮腫(むくみ)」が起こる疾患で、遺伝的要素が多いとされています。
※HAEの読み方ですが、「ハエ」や「エイチアーイー」と呼ばれます
浮腫が起こる部位によって症状が異なりますが、多い部位としては手足や消化管、咽頭と言われています。
- 手足の皮膚:手や足がむくんでしまう
- 消化管:激しい腹痛と共に悪心・嘔吐・下痢が起こる
- 咽頭:呼吸困難
遺伝性血管性浮腫(HAE)の原因
生体内には「ブラジキニン」と呼ばれる炎症性物質が存在していますが、通常は「C1-インヒビター(別名:C1-インアクチベーター)」と呼ばれる物質によってその産生が抑制(制御)されています。
※上記イラストはカリクレインを例にしていますが、それ以外の経路もC1-インヒビターによって抑えられていると考えられています。
しかしHAEでは遺伝的要因等によってC1-インヒビターが欠損もしくは活性が低下してしまっていることが知られています。
このため、HAEの患者さんではブラジキニンが過剰に産生されてしまっています。
ブラジキニンが血管のブラジキニンB2受容体に結合することで、血管透過性(血管内の水が組織に移行しやすくなること)が亢進し、HAEの急性発作を発症すると考えられています。
遺伝性血管性浮腫(HAE)の治療とベリナートの作用機序
HAEの症状が起こった場合(急性発作時)、C1-インヒビター製剤(ヒトC1-インアクチベーター)であるベリナートによる補充療法が行われます。
ベリナートによってブラジキニンの過剰な産生が抑制されるため、HAE急性発作時の症状緩和効果が得られます!
その他、侵襲を伴う処置(例:歯科治療、出産、小手術)を行うと、HAEの発作が引き起こされることがあり、その発症抑制(予防)としてもベリナートが用いられます。
あとがき
HAEは稀な疾患ですが、急性発作時と予防に使用できるのがベリナート静注用の特徴です。予防で使用できる薬剤はベリナートのみです。
2018年には急性発作時に使用できる新薬のフィラジル皮下注(一般名:イチカバント)も登場しました!ブラジキニンB2受容体を選択的に阻害するといった新規作用機序を有しています。
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フィラジル(イカチバント)の作用機序と副作用【遺伝性血管性浮腫(HAE)】
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また、2021年にはHAE初の経口治療薬オラデオ(ベロトラルスタット)も登場しました!
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オラデオ(ベロトラルスタット)の作用機序【遺伝性血管性浮腫(HAE)】
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以上、今回は遺伝性血管性浮腫とベリナートの作用機序についてご紹介しました☆
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