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2026年8月24日、「B型肝炎」を対象疾患とするヒブサーゴ皮下注(ベピロビルセン)が承認されました!
グラクソ・スミスクライン|ニュースリリース
基本情報
| 製品名 | ヒブサーゴ皮下注150mgシリンジ |
| 一般名 | ベピロビルセンナトリウム |
| 製品名の由来 | |
| 製造販売 | グラクソ・スミスクライン(株) |
| 効能・効果 | B型肝炎ウイルス持続感染における機能的治癒 |
| 用法・用量 | 通常、成人にはベピロビルセンとして1回300mgを 投与1週目及び2週目は3~4日毎に週2回、 投与3週目以降は24週目まで週1回、皮下注射する。 投与に際しては、必ず核酸アナログと併用すること。 |
| 収載時の薬価 | |
| 発売日 |
ヒブサーゴは、当疾患初のアンチセンス核酸(アンチセンスオリゴヌクレオチド:ASO)です。他疾患では既に使用されています。
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B型肝炎の治療は、これまで「薬でウイルスの増殖を抑え、一生付き合っていく」ことが基本でしたが、ヒブサーゴの登場により、ついに「機能的治癒(薬なしでもウイルスからの実質的な離脱を維持できる状態)」を目指せる時代がやってきました!
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今回は、B型肝炎と既存治療の課題、そしてヒブサーゴ(ベピロビルセン)の作用機序とエビデンスについてご紹介します。
B型肝炎とは
B型肝炎は「B型肝炎ウイルス(HBV)」に感染することで引き起こされます。
主な感染経路は
- 水平感染(性行為、針刺し事故など)
- 垂直感染(母子感染)
と言われています。
成人の場合、約95%が自然治癒して慢性化しませんが、わずかに慢性化することがあり、稀に劇症肝炎をきたすことがあります。
慢性化して持続感染(キャリア)のまま長期間経過すると、やがて慢性肝炎を発症し、肝硬変、そして肝細胞がんへと進行するリスクが高まります。
国内のガイドラインでは、肝炎の活動性を示すALT値が31U/L以上、かつHBV DNA量が2,000 IU/mL以上の場合に治療対象とされています。1)
治療
これまでB型肝炎の治療には、主に以下の2種類が用いられてきました。
- IFN製剤
- 核酸アナログ製剤(DNAポリメラーゼ阻害薬):ベムリディ錠(テノホビル アラフェナミド)など
特に核酸アナログ製剤は、血液中のウイルス量(HBV DNA)を速やかに低下させることが可能です。
しかし、B型肝炎ウイルスは肝細胞の核内に「cccDNA」と呼ばれる強固な鋳型を作り、そこから継続的にHBs抗原(ウイルスの外殻タンパク質)などの成分を血中に放出し続けます。
このHBs抗原が大量に存在し続けると、患者さん自身の免疫細胞が「免疫寛容(免疫の疲弊状態)」を起こしてしまい、自力でウイルスを排除できなくなってしまいます。
既存の核酸アナログ製剤では、このHBs抗原量を減らすことがほとんどできないという課題がありました(HBe抗原陽性例における長期的なHBs抗原陰性化率は0.7~3.2%)1)。
機能的治癒(functional cure)
現在のB型肝炎治療における目標とされているのが、機能的治癒です。
これは、完全なウイルスの排除(cccDNAの消滅)まではいかなくとも、治療を終えた後に以下の状態が長期間維持されることを指します。
- 血中のHBV DNAが検出限界未満(ウイルスが増殖していない)
- HBs抗原が消失
つまり、「薬を飲まなくても、自分自身の免疫の力だけでウイルスを完璧にコントロールできている状態(=実質的な治癒)」です。
日本のガイドラインでも、抗ウイルス治療の最終的な長期目標は「HBs抗原の消失」であると明記されています。1)
B型肝炎ウイルスの増殖
B型肝炎ウイルス(HBV)がヒトの肝細胞に感染し、増殖していくメカニズムは以下のステップで進行します。

step
1吸着と侵入・脱殻
HBVがヒトの肝細胞の表面にある受容体に吸着して細胞内に侵入します。
その後、膜融合と脱殻を経て、ウイルスのDNA(ゲノム)が肝細胞の核内へと送り込まれます。
step
2cccDNAの形成
核内に到達したウイルスDNAは、修復されて強固な完全閉環二本鎖DNAであるcccDNAとなります。
これがウイルスのひな形の設計図として、長期間持続感染の原因となります。
step
3転写(pgRNAと各種mRNAの合成)
cccDNAを鋳型として転写が行われ、2種類の重要なRNAが作られます。
1つは、新たなウイルスゲノムの元となるpgRNA(プレゲノムRNA)、もう1つはウイルスの構成タンパク質(HBs抗原やHBc抗原など)の元となる各種mRNAです。
step
4逆転写と翻訳
pgRNAは、ウイルス自身の酵素(DNAポリメラーゼ)による逆転写を経て、新たなウイルスのDNAへと合成されます。
一方、各種mRNAはリボソームで翻訳され、HBs抗原やHBc抗原などのHBVタンパク質が大量に作られます。
step
5組み立てと遊離
複製されたウイルスDNAと、新しく合成されたHBVタンパク質が組み立てられ、完成した新たなウイルスが細胞から遊離(放出)し、次々と他の肝細胞へ感染を広げていきます。
今回ご紹介するヒブサーゴは、HBVの各種RNA(pgRNA、mRNA)に直接結合するといった新規の作用機序を有していますよ~!
一方、今回ご紹介しているヒブサーゴ(ベピロビルセン)は、ウイルスの部品の元となる【各種mRNA】に直接結合して破壊することで、HBs抗原などのタンパク質そのものを作らせないようにする、という全く新しいアプローチであることが分かりますね!
ヒブサーゴ(ベピロビルセン)の作用機序:ASO
ヒブサーゴは、HBVの各種RNA(pgRNA、mRNA)に結合するように設計されたアンチセンス核酸(ASO:アンチセンスオリゴヌクレオチド)です。
ヒブサーゴが各種RNAに結合することで、RNase H1(リボヌクレアーゼH1)と複合体を形成することによってRNAが分解されます。2)

上記によってHBVのRNAが切断され、それ以降の逆転写や翻訳ができなくなり、ウイルスの増殖が抑制されます。
これにより、既存薬では難しかった「HBs抗原の低下」による機能的治癒が期待できるようになりました!
エビデンス紹介:B-Well 1試験・B-Well 2試験
承認の根拠となった臨床試験(B-Well 1試験・B-Well 2試験)をご紹介します。3)
本試験は、既存の核酸アナログ製剤で治療中のB型肝炎の患者さんを対象に、ヒブサーゴ(週1回300mg皮下投与)を24週間追加した群と、プラセボを追加した群の有効性・安全性を比較した国際共同第Ⅲ相試験です(日本人を含む)。
本試験の主要評価項目は、「投与終了後24週(試験開始から72週)時点における機能的治癒(HBs抗原消失かつHBV DNA定量下限未満の維持)の達成率」とされ、結果は以下の通りでした。
| 試験群 | ヒブサーゴ群 | プラセボ群 |
| B-Well 1試験の 機能的治癒率 |
20% | 0% |
| B-Well 2試験の 機能的治癒率 |
19% | 0% |
既存の核酸アナログ製剤では、HBs抗原陰性化率は1~3%ほどでしたが、ヒブサーゴでは約2割の患者さんで機能的治癒の達成が期待できるので、かなり画期的だと思います。
用法・用量
通常、成人にはベピロビルセンとして1回300mgを投与1週目及び2週目は3~4日毎に週2回、投与3週目以降は24週目まで週1回、皮下注射します。
投与に際しては、必ず核酸アナログと併用することとされています。
副作用
10%以上に認められる副作用として、注射部位反応(54.0%)、発熱などが報告されていました。
重大な副作用としては、
- 血管炎(0.2%)、皮膚血管炎(0.2%)
- IgA腎症(0.1%)
- 自己免疫性溶血性貧血(0.1%)
- 肝障害
- 血小板減少症:血小板減少症(7.7%)及び血小板数減少(14.5%)
が挙げられていますので、特に注意が必要です。
収載時の薬価
現時点では薬価未収載です。
まとめ・あとがき
ヒブサーゴはこんな薬
- B型肝炎ウイルスに対する初のアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)製剤
- HBVのRNA(pgRNAやmRNA)を分解し、HBs抗原の産生を抑制する
- 24週間の投与で約20%の割合で機能的治癒が期待できる
これまでの核酸アナログでは、機能的治癒を目指すことは難しく、基本的には一生涯服用する必要がありました。
以上、今回はC型肝炎とエプクルーサ配合錠の作用機序やエビデンスについてご紹介しました☆
引用文献・資料等
- 日本肝臓学会編|B型肝炎治療ガイドライン
- Clin Pharmacol Drug Dev. 2022 Aug 16;11(10):1191–1202.
- B-Well 1試験・B-Well 2試験:N Engl J Med 2026;394:2395-2406
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