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2025年3月6日、厚労省の薬事審議会・医薬品第一部会にて「アラジール症候群など」を対象疾患とするリブマーリ内用液(マラリキシバット)の承認が了承されました!
武田薬品工業|申請のニュースリリース
現時点では未承認のためご注意ください。
基本情報
製品名 | リブマーリ内用液10mg/mL |
一般名 | マラリキシバット塩化物 |
製品名の由来 | |
製造販売 | 武田薬品工業(株) |
効能・効果 | 次の疾患における胆汁うっ滞に伴うそう痒 ▶アラジール症候群 ▶進行性家族性肝内胆汁うっ滞症 |
用法・用量 | 〈アラジール症候群〉 通常、マラリキシバット塩化物として、 200 μg/kgを1日1回食前に経口投与する。 1週間後、400μg/kg 1日1回に増量する。 〈進行性家族性肝内胆汁うっ滞症〉 通常、マラリキシバット塩化物として、 300μg/kgを1日1回食前に経口投与する。 1週間後、1回300μg/kg 1日2回に増量する。 さらに、1週間後、1回600μg/kg 1日2回に増量する。 |
収載時の薬価 | |
発売日 |

リブマーリは、新規の胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害薬に分類されています。類薬としては、慢性便秘症に使用されるグーフィス(エロビキシバット)がありますね。
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グーフィス(エロビキシバット)の作用機序と副作用【便秘症】
続きを見る
今回はアラジール症候群を代表に、リブマーリ(マラリキシバット)の作用機序についてご紹介していきます。
アラジール症候群(ALGS)とは
アラジール症候群(ALGS:Alagille syndrome)は、小葉間胆管が減少して慢性胆汁うっ滞に特徴的な肝外症状を伴う先天性の肝内胆汁うっ滞症です。1)
日本の全国調査では、患者数は200~300人程度と推測されている希少疾病で、難病にも指定されています。
特に肝臓、顔貌、心血管、眼球、椎体の5つの症状が特徴的で、以下に大別されます。
- 完全型アラジール症候群:肝臓、顔貌、心血管、眼球、椎体の全てに異常が認めらる場合
- 不完全型アラジール症候群:肝臓を含めて3症状を伴う場合
原因・症状
原因遺伝子としてJAG1やNotch2が知られているものの、胎生期の発生過程でどういった影響を及ぼすのかは不明です。
アラジール症候群では、原因遺伝子の変異に伴い、小葉間胆管が減少してしまっています。

小葉間胆管は、肝細胞から分泌された胆汁酸を集めて、さらに大きな胆管へと運び出す役割を担っています。この流れを通じて、胆汁は最終的に腸へと排出されていきます。
つまり、小葉間胆管は肝細胞から胆管へのつなぎ道のようなイメージですね。
アラジール症候群では先天的に小葉間胆管が減少してしまうため、本来、胆管→腸管へ排出されるはずの胆汁酸が肝臓内に滞留(うっ滞)してしまいます。また、それに伴う肝障害やそう痒(痒み)が現れることがあります。
なお、腸管内に排出された胆汁酸の一部は、回腸に存在している胆汁酸トランスポーター(IBAT:ileal bile acid transporter)によって血中に再吸収され、肝臓で再利用されています。
治療
これまで、アラジール症候群に適応症を有する薬はなかったため、対症療法が基本です。2)
- 慢性の胆汁うっ滞や成長障害 → 脂溶性ビタミンや中鎖脂肪酸(MCT)の補充など栄養療法を長期に継続
- 痒みや高脂血症 → 陰イオン交換樹脂や脂質降下薬
- 胆汁うっ滞性肝硬変 → 肝移植
- 重篤な心疾患 → 外科手術
- 腎不全 → 透析や腎移植

リブマーリ(マラリキシバット)の作用機序:IBAT阻害薬
リブマーリは、回腸に存在する胆汁酸トランスポーター(IBAT:ileal bile acid transporter)を選択的に阻害する薬剤です!
IBATが阻害されることで、腸管からの胆汁酸の再吸収が抑制される結果、血中および肝内・胆管内の胆汁酸が減少し、胆汁酸うっ滞による症状緩和が得られると考えられています。
用法・用量
〈アラジール症候群〉
通常、マラリキシバット塩化物として、200μg/kgを1日1回食前に経口投与し、1週間後、400μg/kg 1日1回に増量します。
〈進行性家族性肝内胆汁うっ滞症〉
通常、マラリキシバット塩化物として、300μg/kgを1日1回食前に経口投与し、1週間後、1回300μg/kg 1日2回に増量します。
さらに、1週間後、1回600μg/kg 1日2回に増量します。

副作用
正式承認後に更新予定です。
収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
まとめ・あとがき
リブマーリはこんな薬
- アラジール症候群に対する初の治療薬
- 胆汁酸トランスポーター(IBAT)を阻害することで、胆汁酸の再吸収を抑制

今回は割愛しましたが、もう一つの適応症である「進行性家族性肝内胆汁うっ滞症」は、肝細胞の胆汁を分泌する能力が低下し、肝細胞内に胆汁の蓄積が起こることにより、進行性の肝疾患に至る稀な遺伝性疾患です。
こちらも胆汁酸の蓄積によるもののため、同様の作用機序でリブマーリが期待されていますね。
慢性便秘症では、同様の作用機序を有するグーフィス(エロビキシバット)が使用されていますので、併せてご確認ください♪
慢性便秘症の治療薬については、以下でまとめています。
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モビコール配合内用剤(マクロゴール)の作用機序:類薬との比較/違い【便秘症】
続きを見る
以上、今回はアラジール症候群を代表に、リブマーリ(マラリキシバット)の作用機序についてご紹介しました!
参考資料・文献等
- 難病情報センター|アラジール症候群(指定難病297)
- 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業|小児期発症の希少難治性肝胆膵疾患における医療水準並びに患者QOLの向上のための調査研究 班
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