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2022年12月23日、「アルツハイマー型認知症」を対象疾患とするアリドネパッチ(ドネペジル)が承認されました!
帝國製薬|ニュースリリース
基本情報
製品名 | アリドネパッチ27.5mg/55mg |
一般名 | ドネペジル |
製品名の由来 | ALLYDONE の”Ally”(仏語読み)は、味方・仲間・協力者・支持者を、 “done”は有効成分名に由来する。 |
製薬会社 | 製造販売:帝國製薬(株) 販売:興和(株) |
効能・効果 | アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制 |
用法・用量 | 通常、軽度~中等度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、 1日1回27.5mgを貼付する。 高度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、 27.5mgで4週間以上経過後、55mgに増量する。 なお、症状により1日1回27.5mgに減量できる。 本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、 24時間毎に貼り替える。 |
収載時の薬価 | 27.5mg:289.80円 55mg:441.40円 |
発売日 | 2023年4月14日(HP) |
これまで、アリセプトや関連後発医薬品は全て経口投与でしたが、アリドネはドネペジルでは初の経皮吸収型製剤です。外観はこんな感じ。
類薬のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬としては、リバスタッチパッチ/イクセロンパッチ(リバスチグミン)の経皮吸収型製剤がありますが、いずれも「軽度及び中等度」のアルツハイマー型認知症にしか使用できません。
アリドネパッチは高度のアルツハイマー型認知症に対しても使用可能です!
今回はアルツハイマー型認知症とアリドネパッチの作用機序を解説していきます。
物忘れとアルツハイマー型認知症
物忘れには「加齢」によるものと「認知症」が原因となるものがあります。
加齢によるものは、脳の生理的な老化が原因で起こり、その程度は一部の物忘れであり、ヒントがあれば思い出すことが可能です。本人にも自覚はありますが、進行することはなく、日常生活にも支障は無いと言われています。
一方、認知症は脳の神経細胞の急激な破壊により起こり、物事全体がすっぽりと抜け落ち、ヒントがあっても思い出すことができません。本人に自覚はないことが一般的で、進行性かつ日常生活に支障をきたします。
このような認知症の中でも最も多いのが「アルツハイマー型認知症」で、認知症全体の約6割を占めています。1)
一般的に認知症=アルツハイマーと認識をされる方も多いと思いますが、認知症の中には、脳血管障害によって発現するものや、レビー小体と呼ばれる物質によって発現するもの、等もあります。
原因として明確なものは不明ですが、脳内神経伝達物質であるアセチルコリンの量(活性)が低下してしまっているために引き起こされると考えられています。
また、アセチルコリンは「アセチルコリンエステラーゼ」と呼ばれる酵素によって分解されていきます。
その他に考えられる原因としては、「アミロイドベータ(Aβ)」や「タウ(tau)」などがありますが、こちらについては別の記事で解説していますので、ご興味あればご覧ください♪
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レケンビ(レカネマブ)の作用機序【アルツハイマー型認知症】
続きを見る
治療
治療の基本は薬物治療です。1)
できるだけ早期に発見して早期に治療を行うことで、進行を抑制することが可能で、使用可能な薬剤には以下のものがあります。
- アセチルコリンエステラーゼ阻害薬:ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン
- NMDA受容体拮抗薬:メマンチン
中心となるのはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬ですね。単剤から使用し、効果不十分な場合には他のアセチルコリンエステラーゼに切り替えたり、メマンチンと併用したりします。
今回ご紹介するアリドネもアセチルコリンエステラーゼ阻害薬のドネペジルとして早期から使用可能です!
アルツハイマー型認知症では、妄想・易怒性などの「行動・心理症状(BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)」を併発することがあり、そのうちアジテーション(焦燥性興奮)に対してはレキサルティ(ブレクスピプラゾール)が期待されています。
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レキサルティ(ブレクスピプラゾール)の作用機序【統合失調症/うつ病/ADに伴うアジテーション】
続きを見る
アリドネパッチ(ドネペジル)の作用機序
アリドネはアセチルコリンエステラーゼを可逆的に阻害する薬剤です。
アセチルコリンエステラーゼが阻害されることによってアセチルコリンの分解が抑えられ、結果として脳内のアセチルコリン量が回復します。
このような作用機序によって認知症の症状改善効果が期待されているのがアリドネですね!
副作用
3%以上に認められる副作用として、適用部位そう痒感(24.9%)、適用部位紅斑(24.3%)、接触皮膚炎(12.6%)などが報告されています。
重大な副作用としては、
- QT延長(1~3%未満)、心室頻拍(torsade de pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈(いずれも頻度不明)、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)(0.1~1%未満)、失神(頻度不明)
- 心筋梗塞、心不全(いずれも頻度不明)
- 消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血(いずれも頻度不明)
- 肝炎(頻度不明)、肝機能障害(0.1~1%未満)、黄疸(頻度不明)
- 脳性発作(てんかん、痙攣等)、脳出血、脳血管障害(いずれも頻度不明)
- 錐体外路障害(頻度不明)
- 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明)
- 横紋筋融解症(頻度不明)
- 呼吸困難(頻度不明)
- 急性膵炎(頻度不明)
- 急性腎障害(頻度不明)
- 原因不明の突然死(頻度不明)
- 血小板減少(頻度不明)
が挙げられていますので特に注意が必要です。
用法・用量
通常、軽度~中等度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、1日1回27.5mgを貼付します。
また、高度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、27.5mgで4週間以上経過後、55mgに増量します。
なお、症状により1日1回27.5mgに減量可能です。
本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替えます。
収載時の薬価
収載予定時(2023年3月15日)の薬価は以下の通りです。
- アリドネパッチ27.5mg:289.80円(1日薬価:289.80円)
- アリドネパッチ55mg:441.40円
算定根拠等については以下をご確認ください。
-
【新薬:薬価収載】13製品(2023年3月15日)
続きを見る
まとめ・あとがき
アリドネはこんな薬
- 国内初のドネペジルの経皮吸収型製剤
- アセチルコリンエステラーゼを阻害することで、脳内のアセチルコリン量を回復させる
アリセプト(ドネペジル)は既に後発医薬品も多数登場していますが、いずれも経口投与のみでした。
アルツハイマー型認知症では、服薬アドヒアランスが低下することがしばしばあるため、アリドネのような経皮吸収型製剤は治療効果の持続に期待できるのではないでしょうか。
以上、今回はアルツハイマー型認知症とアリドネパッチの作用機序を解説しました!
引用論文・資料等
- 日本神経学会|認知症疾患診療ガイドライン2017
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