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ヒュミラ(アダリムマブ)の作用機序【乾癬】

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2018年3月23日、厚労省はヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mL、同皮下注40mgシリンジ0.4mL、同皮下注80mgシリンジ0.8mL、同皮下注40mgペン0.4mL、同皮下注80mgペン0.8mL(一般名:アダリムマブ(遺伝子組換え))の効能効果に「既存治療で効果不十分な膿疱性乾癬」を追加することを承認しました。

ヒュミラは既に、
尋常性乾癬、関節症性乾癬の適応を有していましたが、新たに膿疱性乾癬が追加されました。

 

今回は乾癬とヒュミラ(アダリムマブ)の作用機序についてご紹介します。

 

皮膚のターンオーバー

通常、皮膚は外からの刺激・乾燥等を防御したり、細菌・ウイルスの侵入を防ぐといった免疫機能を司っています。

構造としては、表面から順に、

  • 表皮
  • 真皮
  • 皮下組織

の3層に分かれています。

 

また、表皮はさらに

  • 角質層
  • 顆粒層
  • 有棘層
  • 基底層

の4層から構成されています。

 

皮膚はその機能を保つため、基底層で常に新しい細胞が作られています

基底層で新しくできた細胞は徐々に角層へと押し上げられ、最終的には垢となって剥がれ落ちます。

このような皮膚の細胞サイクルを「ターンオーバー(分化)」と呼び、通常、約28~40日サイクルで繰り返されています。

 

乾癬とは

乾癬の患者さんでは、慢性の炎症を伴う何らかの原因で上記のターンオーバーのサイクルが4~5日と極端に短くなっています。

そのため、皮膚が盛り上がったような状態(“肥厚”と呼びます)になり、赤い発疹(“紅斑”と呼びます)を伴うことを特徴とします。

また、皮膚の一部がかさかさになって剥げ落ちる(“落屑”と呼びます)こともあります。

 

乾癬の分類

乾癬は5つの種類に分類されていますが、約9割は「尋常性乾癬」です

  • 尋常性乾癬
  • 関節症性乾癬
  • 滴状乾癬
  • 乾癬性紅皮症
  • 膿疱性乾癬

乾癬性紅皮症や膿疱性乾癬は非常に稀ですが、発症すると症状が厳しいため、重症になることが多いです。

ヒュミラは既に、
尋常性乾癬、関節症性乾癬の適応を有していましたが、今回新たに膿疱性乾癬が追加される見込みです。

 

乾癬の原因

明確な原因は不明確ですが、

  • 遺伝的素因
  • 環境要因(ストレス、食生活、肥満等)

などによって、免疫機能が異常になることで発症すると考えられています。

 

何らかの原因によって、マクロファージ等が産生する炎症性サイトカイン(IL-12、IL-23、TNFα)等によって炎症が引き起こされ、乾癬の症状が発現します。

 

乾癬の重症度と治療

乾癬の重症度は皮膚の症状や状態、患者さんが感じる不便さ、等を指標に「軽症」、「中等症」、「重症」の3つに分けられています。

 

重症度に応じて、以下の4つの治療が単独もしくは組み合わせて行われますが、中心となるのは外用療法です。

  • 外用療法(塗り薬)
  • 光線療法(紫外線照射)
  • 内服療法(経口薬)
  • 生物学的製剤治療(注射薬)

 

外用療法(塗り薬)には、ステロイド外用薬や活性型ビタミンD3外用薬が用いられます。

内服療法(経口薬)には、チガソン(一般名:エトレチナート)等のビタミンA誘導体の他、免疫抑制薬やPDE4阻害薬のオテズラ(一般名:アプレミラスト)が重症度に応じて使用されます。

 

そして生物学的製剤治療は基本的には、以下のような患者さんにしか使用することができません。

  • 外用療法、光線療法、内服療法で改善しない患者さん
  • 乾癬性関節炎で痛みが激しい患者さん
  • 乾癬性紅皮症膿疱性乾癬等の重症な患者さん

また、生物学的製剤治療は日本皮膚科学会で定められた病院でのみ治療ができます。

 

それではここから、ヒュミラの作用機序についてご紹介します。

 

ヒュミラ(一般名:アダリムマブ)の作用機序

ヒュミラは、乾癬の発症に重要な炎症性サイトカインの「TNFα」を選択的に阻害するモノクローナル抗体薬です。

TNFαの作用が抑制されることで、炎症を抑え、乾癬の症状が改善すると考えられます。

 

類薬

同様の作用機序を有する薬剤としては「TNFα」を阻害するレミケード(一般名:インフリキシマブ)があります。

その他の生物学的製剤については以下のまとめ記事をご覧ください。

 

あとがき

ヒュミラは潰瘍性大腸炎にも適応を有していますので、潰瘍性大腸炎については以下の記事をご覧下さい。

 

以上、今回は乾癬とヒュミラ(一般名:アダリムマブ)の作用機序についてご紹介しました。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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