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今回は高尿酸血症・痛風の治療薬であるフェブリク錠10mg/同20mg/同40mg(一般名:フェブキソスタット)についてご紹介します。
2023年6月26日には「痛風、高尿酸血症」の小児用量の適応拡大について承認されました(幼児以下は対象外)。
高尿酸血症・痛風治療薬の中でもフェブリクは「尿酸生成抑制薬」に分類されています。
本記事では尿酸の生合成・排泄メカニズム、高尿酸血症・痛風の病態や治療法、そしてフェブリクの作用機序等についてご紹介します。
尿酸の生合成と排泄メカニズム
尿酸は一言で言うと「老廃物」です。
ヒトの細胞内にはDNAやRNAと呼ばれる核酸が存在しています。
核酸は細胞分裂やタンパク質合成に欠かすことのできない必須物質ですが、新陳代謝によって日々老廃物として分解・代謝が繰り返されています。
ヒト細胞の核酸は肝臓にて「プリン体」に変換され、その後、ヒポキサンチン⇒キサンチン⇒尿酸、といった過程で変換されます。
- ヒポキサンチンからキサンチン
- キサンチンから尿酸
の変換には「キサンチンオキシダーゼ」と呼ばれる酵素が関与しています。
そして生成された尿酸のほとんどは尿中から排泄されますが、一部は近位尿細管に存在する「尿酸トランスポーター1(URAT1)」と呼ばれるトランスポーターによって血中(体内)に再吸収されます。
その他にも摂取した食物中の核酸やプリン体に由来する尿酸もあります。
正常時には尿酸の合成量と排泄量が一定に保たれていますが、様々な理由で
- 尿酸産生量が過剰
- 尿酸排泄量が低下
となった状態が高尿酸血症です。
高尿酸血症・痛風とは
性別・年齢を問わず、血清尿酸値が「7.0mg/dL」を超えるものを“高尿酸血症”と定義しています。1)
高尿酸血症は以下の3つに大別されており1)、その後の治療薬選択に重要です。
- 尿酸産生過剰型:12%
- 尿酸排泄低下型:60%
- 混合型:25%
最も多いのが全体の約6割を占める「尿酸排泄低下型」ですね。
また、高尿酸血症の持続によって、尿酸が組織(特に関節)に沈着して生じる疾患を“痛風”と呼んでいます。
痛風は特に足の親指の付け根に好発し、激しい痛み(痛風発作)を主症状とします。
また痛風発作の前兆症状として、
- 患部の違和感
- ムズムズ感
が発現します。
発症頻度として、性別ではほとんどが男性に好発します。
また、30歳以上の男性の約30%は高尿酸血症、約1%は痛風に罹患していると推察1)されており、食物の欧米化によって年々増加傾向です。
高尿酸血症だけでしたら特に症状が無いため、放置しがちですが、高尿酸血症が長期間に及ぶと痛風のリスクが高まりますので、早めの対策・治療が重要です。
高尿酸血症・痛風の治療
高尿酸血症の治療は生活習慣病の改善が第一です。
高尿酸血症による症状を繰り返す場合や、無症状でも尿酸値が8.0mg/dLを超えている場合には薬物治療が行われることがあります。
薬物治療で使用できる尿酸降下薬としては以下の2種類があります。
- 尿酸排泄促進薬:ユリノーム(ベンズブロマロン)、パラミジン(ブコローム)、ベネシッド(プロベネシド)
- 尿酸生成抑制薬:フェブリク(フェブキソスタット)、ザイロリック(アロプリノール)
尿酸排泄低下型には尿酸排泄促進薬、尿酸産生過剰型には尿酸生成抑制薬を基本原則とします。
今回ご紹介するフェブリクは「尿酸生成抑制薬」に分類されていますね。
痛風発作については、前兆期にコルヒチンを投与します。もし前兆症状が現れた段階で治療ができなかった場合には痛みが生じ、通常24時間以内に痛みのピークを迎えると言われています。
また痛風発作の症状がはっきりと現れている状態(“極期”と言います)にはNSAIDsやステロイドの投与が行われます。
尿酸生成抑制薬:フェブリクの作用機序
フェブリクに代表される尿酸生成抑制薬は尿酸生合成の最終段階に関与するキサンチンオキシダーゼを選択的に阻害します。
上記作用機序によって尿酸の生成量が減少し、高尿酸血症を改善すると考えられています。
フェブリク錠の副作用・相互作用
重大な副作用として、稀に肝機能障害や過敏症の危険性があるため注意が必要です。
また併用禁忌として、以下の薬剤が添付文書2)に記載されています。
- メルカプトプリン
- アザチオプリン
上記薬剤はキサンチンオキシダーゼで代謝・分解されますが、フェブリクによってキサンチンオキシダーゼが阻害されると血中濃度が高まって副作用(骨髄抑制)を増強する可能性があるためです。
まとめ・あとがき
フェブリクはこんな薬
- 尿酸生成抑制薬に分類されている
- キサンチンオキシダーゼ選択的に阻害し、尿酸の生成量を減少させる
尿酸生成抑制薬としては1969年から販売されているザイロリック(一般名:アロプリノール)しかありませんでしたが、2011年よりフェブリクが使用可能となりました。
ザイロリックは「プリン骨格」を有するためキサンチンオキシダーゼへの選択性が低く、重大な副作用(スティーブンス・ジョンソン症候群、ショック・アナフィラキシー、再生不良貧血、肝/腎機能障害、間質性肺炎など)の懸念がありました。
一方、フェブリクは「プリン骨格」を有していないため、キサンチンオキシダーゼへの選択性が高いと考えられています。1)
上記の理由より、近年では尿酸生成抑制薬としてフェブリクが多く使用されている印象を受けますね。
以上、今回は高尿酸血症・痛風の病態や治療法、そしてフェブリクの作用機序等についてご紹介しました!
尿酸排泄促進薬の作用機序等のついては以下の記事をご参照ください^^
-
ユリス(ドチヌラド)の作用機序:類薬との違い【高尿酸血症・痛風】
続きを見る
引用文献・資料等
- 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版
- フェブリク錠 添付文書
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