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オジェンダ(トボラフェニブ)の作用機序【神経膠腫】

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2026年9月16日、「低悪性度神経膠腫」を対象疾患とするオジェンダ(トボラフェニブ)が条件付き承認されました!

IPSEN|ニュースリリース

基本情報

製品名オジェンダ錠100mg/ドライシロップ300mg
一般名トボラフェニブ
製造販売IPSEN
製品名の由来特になし
効能・効果BRAF遺伝子変異又は融合遺伝子を有する低悪性度神経膠腫
用法・用量週1回経口投与(記事内参考)
収載時の薬価
発売日

条件付き承認

日本人のBRAF遺伝子変異又は融合遺伝子を有する低悪性度神経膠腫患者に対する本剤の有効性を確認することを目的とした製造販売後調査を実施した上で、当該調査の結果を速やかに提出するとともに医療現場に適切に情報提供すること。

 

神経膠腫こうしゅは治療選択肢が非常少ない疾患です。

 

オジェンダは狭義のBRAF阻害薬で、類薬としては既に同疾患で使用されているタフィンラーカプセル(一般名:ダブラフェニブ)+メキニスト錠(一般名:トラメチニブ)がありますね。

タフィンラー/メキニストの作用機序【悪性黒色腫/肺がん/臓器横断】

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オジェンダはBRAFのうち、「遺伝子変異」と「融合遺伝子」の両方を阻害可能なType II pan-RAFキナーゼ阻害薬に分類されていますよ!

 

木元 貴祥
木元 貴祥
そののため、タフィンラー+メキニストよりも広い範囲が対象となります。

 

今回は神経膠腫こうしゅとオジェンダ(トボラフェニブ)の作用機序、エビデンスについてご紹介します。

 

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悪性神経膠腫とは

脳内には神経細胞が多数存在していますが、その中でも栄養供給や神経伝達物質の伝達などを担う神経膠細胞こうさいぼう(別名:グリア細胞)が存在しています。

神経膠腫はこのグリア細胞が腫瘍化することで引き起こされる疾患で、グリオーマとも呼ばれてています。1)

がん情報サービス|神経膠腫(グリオーマ)について

 

神経膠腫におけるBRAF遺伝子の活性化変異

最近、神経膠腫の約75%にBRAF遺伝子の活性化変異があることが分かってきました。2)

低悪性度神経膠腫の多くは、細胞の増殖シグナルを伝えるMAPK(MAPキナーゼ)経路の活性化が原因となっています。この経路は、EGFR→RAF(BRAF等)→MEKという順にシグナルが伝わり、細胞の増殖を促します。

 

正常な状態では、このシグナルは必要なときだけオン/オフされます。しかし、低悪性度神経膠腫ではBRAF遺伝子の活性化変異によってRAFが常に活性化し、MAPK経路が“スイッチが入りっぱなし”の状態(恒常的活性化)となり、腫瘍細胞が増え続けてしまいます。

 

BRAF遺伝子の活性化変異には、大きく分けて以下の2つのタイプがあります。

  • BRAF遺伝子変異(約20%):主にBRAF V600の変異
  • BRAF融合遺伝子(約80%):BRAFが他の遺伝子と融合して二量体を形成する

 

治療

神経膠腫はその悪性度によってグレード1~4に分類されていますが、グレード1は良性腫瘍です(基本、手術のみで完治)。そして、悪性度の高くなる2~4の治療は以下が一般的に行われています。1)

  • グレード2:手術±放射線療法±薬物療法
  • グレード3:手術+放射線療法+薬物療法(テモゾロミドなど)
  • グレード4:手術+放射線療法+薬物療法(テモゾロミド±ベバシズマブなど)

 

今回ご紹介するオジェンダは、BRAF遺伝子変異又は融合遺伝子を有するグレード2(低悪性度)の神経膠腫が対象となります。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
類薬のタフィンラー+メキニストは、BRAF遺伝子変異にしか使用できませんでしたが、オジェンダは融合遺伝子がある場合にも使用可能です。

 

また、IDH1/IDH2遺伝子変異がある場合には、IDH阻害薬のボラニゴ(ボラシデニブ)が使用できますね。

 

なお、グレード4は最も悪性度が高く、膠芽腫こうがしゅ(グリオブラストーマ)とも呼ばれています。近年、膠芽腫に対して腫瘍溶解性ウイルスのデリタクト(テセルパツレブ)が使用可能となりました。

デリタクト(テセルパツレブ):腫瘍溶解性ウイルスの作用機序【悪性神経膠腫】

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オジェンダ(トボラフェニブ)の作用機序:Type II pan-RAFキナーゼ阻害薬

トボラフェニブは「BRAF遺伝子変異」と「BRAF融合遺伝子」の両方を阻害可能なType II pan-RAFキナーゼ阻害薬です!

BRAF V600変異(単量体)だけでなく、BRAF融合遺伝子(二量体)による活性化も抑えることができますね。

オジェンダ(トボラフェニブ)の作用機序:Type II pan-RAFキナーゼ阻害薬

 

これにより、タフィンラー+メキニストが対応できなかったBRAF融合遺伝子の腫瘍にも効果を発揮します。

 

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エビデンス紹介:FIREFLY-1試験

根拠となった臨床試験(FIREFLY-1試験)をご紹介します。3)

本試験は1ライン以上の全身療法歴があり、BRAF遺伝子の活性化変異を有する再発・難治性の小児低悪性度神経膠腫(生後6か月〜25歳)を対象とした多施設共同・非盲検・単群第Ⅱ相試験です。

 

主要評価項目の奏効率は67%であり、主要評価項目を達成しました。なお、BRAF遺伝子変異例では50%、BRAF融合遺伝子例では67%でした。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
BRAFの異常によらず、効果が認められていますね!

 

副作用

30%以上に認められる副作用として、発疹(56.9%)、毛髪変色(77.4%)、皮膚乾燥(47.4%)、ざ瘡様皮膚炎、疲労(60.6%)、発熱(46.7%)、浮腫、上気道感染、嘔吐(56.2%)、悪心、便秘、頭痛(52.6%)、出血(47.4%)、CPK増加(62.0%)、AST増加、LDH増加、血中リン減少(55.5%)などが報告されています。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
発疹、ざ瘡様皮膚炎、皮膚乾燥、毛色変化といった皮膚・毛髪に関連する副作用の発現頻度が高いですね…。

 

重大な副作用として、

  • 骨成長の遅延(7%)
  • 重度の皮膚障害:斑状丘疹状皮疹(0.7%)等
  • 貧血(0.7%)

が挙げられています。

 

前述の臨床試験では、治療中に小児の身長が伸びにくくなる(成長への影響)が指摘されているため、治療終了後の成長の回復について追跡調査が行われています。

 

用法・用量

通常、トボラフェニブとして以下の用量を週1回、経口投与します。

患者の状態により適宜減量

 

錠剤とドライシロップで用量が異なります。

<錠剤>

体表面積

1回投与量

0.90m2以上1.12m2以下

400mg

1.13m2以上1.39m2以下

500mg

1.40m2以上

600mg

 

<ドライシロップ>

体表面積

1回投与量

0.30m2以上0.35m2以下

125mg

0.36m2以上0.42m2以下

150mg

0.43m2以上0.48m2以下

175mg

0.49m2以上0.54m2以下

200mg

0.55m2以上0.63m2以下

225mg

0.64m2以上0.77m2以下

275mg

0.78m2以上0.83m2以下

300mg

0.84m2以上0.89m2以下

350mg

0.90m2以上1.05m2以下

375mg

1.06m2以上1.25m2以下

450mg

1.26m2以上1.39m2以下

525mg

1.40m2以上

600mg

 

木元 貴祥
木元 貴祥
週1回の経口投与は珍しいですね~。

 

収載時の薬価

現時点では薬価未収載です。

 

まとめ・あとがき

オジェンダはこんな薬

  • BRAF遺伝子変異・融合遺伝子を有する低悪性度神経膠腫に用いるType II pan-RAFキナーゼ阻害薬(狭義のBRAF阻害薬)
  • RAFの単量体・二量体の両方を阻害し、MAPK経路のシグナルを遮断する
  • 週1回の経口投与(錠剤・ドライシロップ)

 

低悪性度神経膠腫は小児に最も多い脳腫瘍でありながら、BRAF融合遺伝子を対象とする全身療法はこれまで存在しませんでした。

オジェンダは、その空白を埋める初の治療薬であり、しかも週1回・自宅で服用できる経口薬です。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
手術・化学療法・放射線療法を繰り返してきた子どもたちにとって、負担の少ない新たな治療選択肢となる可能性があり、QOLの観点からも大きな進歩と言えるのではないでしょうか。

 

以上、今回は低悪性度神経膠腫とオジェンダ(トボラフェニブ)の作用機序・エビデンスについてご紹介しました!

 

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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