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2026年8月24日、厚労省の薬事審議会・医薬品第二部会にて、「低悪性度神経膠腫」を対象疾患とするオジェンダ(トボラフェニブ)の条件付き承認が了承されました!
現時点では未承認のためご注意ください。
基本情報
| 製品名 | オジェンダ錠100mg/ドライシロップ300mg |
| 一般名 | トボラフェニブ |
| 製造販売 | IPSEN |
| 製品名の由来 | |
| 効能・効果 | BRAF遺伝子変異又は融合遺伝子を有する低悪性度神経膠腫 |
| 用法・用量 | 週1回経口投与? |
| 収載時の薬価 | |
| 発売日 |
条件付き承認
薬物動態試験の実施、日本人患者に対する有効性を確認することを目的とした製造販売後調査の実施
神経膠腫は治療選択肢が非常少ない疾患です。
オジェンダは狭義のBRAF阻害薬で、類薬としては既に同疾患で使用されているタフィンラーカプセル(一般名:ダブラフェニブ)+メキニスト錠(一般名:トラメチニブ)がありますね。
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タフィンラー/メキニストの作用機序【悪性黒色腫/肺がん/臓器横断】
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オジェンダはBRAFのうち、「遺伝子変異」と「融合遺伝子」の両方を阻害可能なType II pan-RAFキナーゼ阻害薬に分類されていますよ!
今回は神経膠腫とオジェンダ(トボラフェニブ)の作用機序、エビデンスについてご紹介します。
悪性神経膠腫とは
脳内には神経細胞が多数存在していますが、その中でも栄養供給や神経伝達物質の伝達などを担う神経膠細胞(別名:グリア細胞)が存在しています。
神経膠腫はこのグリア細胞が腫瘍化することで引き起こされる疾患で、グリオーマとも呼ばれてています。1)

がん情報サービス|神経膠腫(グリオーマ)について
神経膠腫におけるBRAF遺伝子の活性化変異
最近、神経膠腫の約75%にBRAF遺伝子の活性化変異があることが分かってきました。2)
低悪性度神経膠腫の多くは、細胞の増殖シグナルを伝えるMAPK(MAPキナーゼ)経路の活性化が原因となっています。この経路は、EGFR→RAF(BRAF等)→MEKという順にシグナルが伝わり、細胞の増殖を促します。
正常な状態では、このシグナルは必要なときだけオン/オフされます。しかし、低悪性度神経膠腫ではBRAF遺伝子の活性化変異によってRAFが常に活性化し、MAPK経路が“スイッチが入りっぱなし”の状態(恒常的活性化)となり、腫瘍細胞が増え続けてしまいます。

BRAF遺伝子の活性化変異には、大きく分けて以下の2つのタイプがあります。
- BRAF遺伝子変異(約20%):主にBRAF V600の変異
- BRAF融合遺伝子(約80%):BRAFが他の遺伝子と融合して二量体を形成する
治療
神経膠腫はその悪性度によってグレード1~4に分類されていますが、グレード1は良性腫瘍です(基本、手術のみで完治)。そして、悪性度の高くなる2~4の治療は以下が一般的に行われています。1)
- グレード2:手術±放射線療法±薬物療法
- グレード3:手術+放射線療法+薬物療法(テモゾロミドなど)
- グレード4:手術+放射線療法+薬物療法(テモゾロミド±ベバシズマブなど)
今回ご紹介するオジェンダは、BRAF遺伝子変異又は融合遺伝子を有するグレード2(低悪性度)の神経膠腫が対象となります。
また、IDH1/IDH2遺伝子変異がある場合には、IDH阻害薬のボラニゴ(ボラシデニブ)が使用できますね。
なお、グレード4は最も悪性度が高く、膠芽腫(グリオブラストーマ)とも呼ばれています。近年、膠芽腫に対して腫瘍溶解性ウイルスのデリタクト(テセルパツレブ)が使用可能となりました。
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デリタクト(テセルパツレブ):腫瘍溶解性ウイルスの作用機序【悪性神経膠腫】
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オジェンダ(トボラフェニブ)の作用機序:Type II pan-RAFキナーゼ阻害薬
トボラフェニブは「BRAF遺伝子変異」と「BRAF融合遺伝子」の両方を阻害可能なType II pan-RAFキナーゼ阻害薬です!
BRAF V600変異(単量体)だけでなく、BRAF融合遺伝子(二量体)による活性化も抑えることができますね。

これにより、タフィンラー+メキニストが対応できなかったBRAF融合遺伝子の腫瘍にも効果を発揮します。
エビデンス紹介:FIREFLY-1試験
根拠となった臨床試験(FIREFLY-1試験)をご紹介します。3)
本試験は1ライン以上の全身療法歴があり、BRAF遺伝子の活性化変異を有する再発・難治性の小児低悪性度神経膠腫(生後6か月〜25歳)を対象とした多施設共同・非盲検・単群第Ⅱ相試験です。
主要評価項目の奏効率は67%であり、主要評価項目を達成しました。なお、BRAF遺伝子変異例では50%、BRAF融合遺伝子例では67%でした。
副作用
後日更新予定です。
臨床試験では、発疹、ざ瘡様皮膚炎、皮膚乾燥、毛色変化といった皮膚・毛髪に関連する副作用が報告されていました。
また、治療中に小児の身長が伸びにくくなる(成長への影響)が指摘されているため、治療終了後の成長の回復について追跡調査が行われています。国内ではどのように判断されるのか、判明次第追記します。
用法・用量
後日更新予定です。
臨床試験では、週1回経口投与とされていました。
収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
まとめ・あとがき
オジェンダはこんな薬
- BRAF遺伝子変異・融合遺伝子を有する低悪性度神経膠腫に用いるType II pan-RAFキナーゼ阻害薬(狭義のBRAF阻害薬)
- RAFの単量体・二量体の両方を阻害し、MAPK経路のシグナルを遮断する
- 週1回の経口投与(錠剤・ドライシロップ)
低悪性度神経膠腫は小児に最も多い脳腫瘍でありながら、BRAF融合遺伝子を対象とする全身療法はこれまで存在しませんでした。
オジェンダは、その空白を埋める初の治療薬であり、しかも週1回・自宅で服用できる経口薬です。
以上、今回は低悪性度神経膠腫とオジェンダ(トボラフェニブ)の作用機序・エビデンスについてご紹介しました!
引用文献・資料等
- がん情報サービス|神経膠腫(グリオーマ)
- Cancer Cell. 2020 Apr 13;37(4):569-583.
- FIREFLY-1試験:Nat Med. 2024 Jan;30(1):207-217.
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