PASSMED公式LINEの登録者特典|当サイトに掲載している図表の元データ&学習支援AI 薬科GPTをプレゼント♪

2026年1月23日、厚労省の薬事審議会・医薬品第一部会にて「インスリン療法が適応となる2型糖尿病」を効能・効果とするキーンス配合注(インスリンイコデク/セマグルチド)の承認可否が審議される予定です!
現時点では未承認のためご注意ください。
基本情報
| 製品名 | キーンス配合注フレックスタッチ |
| 一般名 | ●インスリン イコデク(遺伝子組換え) ●セマグルチド(遺伝子組換え) |
| 製品名の由来 | |
| 製造販売 | ノボ ノルディスク ファーマ(株) |
| 効能・効果 | インスリン療法が適応となる2型糖尿病 |
| 用法・用量 | 週1回皮下注投与 |
| 収載時の薬価 | |
| 発売日 |
キーンス配合注はインスリン製剤とGLP-1受容体作動薬(GLP-1アナログ製剤)の配合剤で、国内ではゾルトファイ配合注、ソリクア配合注に次いで3製品目となりました。
-
-
ソリクア配合注(インスリングラルギン/リキシセナチド)の作用機序【糖尿病】
続きを見る
配合されているインスリン製剤とGLP-1受容体作動薬(GLP-1アナログ製剤)は以下ですね!
- アウィクリ注(インスリン イコデク):週1回投与の持続型インスリン製剤
- オゼンピック(セマグルチド):週1回投与のGLP-1受容体作動薬
ゾルトファイ配合注とソリクア配合注は「1日1回」の投与でしたが、キーンス配合注は「週1回」の投与で治療が可能です!
今回は体内の血糖調節システムと糖尿病、そしてキーンス配合注(インスリンイコデク/セマグルチド)の作用機序等について解説します。
生体内の血糖調節システム
通常、生体内では以下のいくつかのホルモン等によって血糖が一定に保たれています。
<血糖を上昇させる生体内物質>
- グルカゴン
- アドレナリン
- ノルアドレナリン
- コルチゾール
- 成長ホルモン
<血糖を下降させる生体内物質>
- インスリン
このように、血糖を上昇させる物質は数種類存在していますが、血糖を下降する物質はインスリンしかありません。
インスリンの作用とGLP-1
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンです。
分泌されたインスリンは、細胞に作用することで血中のブドウ糖を細胞内に取り込む働きがあります。

また、インスリンの分泌を促進させる物質の一つに「GLP-1」と呼ばれるホルモンがあります。
GLP-1は食事が小腸を通過することで分泌されるホルモンで、以下のような働きを有します。
- インスリン分泌促進(血糖依存的)
- グルカゴン分泌抑制(血糖依存的)
- 胃排泄遅延
- 食欲抑制
血糖値が低い時にはインスリンの分泌を促進しないため、過剰に分泌されても低血糖になる恐れがありません。
しかし、GLP-1は「DPP-4」と呼ばれるタンパク質によって半減期1~2分ほどの早さで速やかに分解され、効果はすぐ失われます。

糖尿病とは
2023年(令和5年)の厚労省調査(3年に1度)によると、糖尿病の総患者数は552万3,000人(男性317万7,000人、女性234万6,000人)であり、調査年度によって多少の増減があるものの、全体的に増加傾向にあります。
糖尿病はその名の通り、血中ブドウ糖濃度が高い状態が慢性的に継続している病態です。
健康診断等で
- 空腹時血糖値が126mg/dL以上
- HbA1cが6.5%以上
の場合に疑われ、数回の検査を経て確定診断されます。
糖尿病にはその原因や病態によって
- 1型糖尿病
- 2型糖尿病
に分類されています。
日本人では約95%が「2型糖尿病」に分類されており、遺伝因子と食生活・運動不足・肥満等の生活習慣が原因で、以下の理由で引き起こされると考えられています。
- インスリンの分泌低下:インスリン量が減っている
- インスリンの抵抗性増大:インスリンの効きが悪くなっている

主にはインスリンの抵抗性増大によると考えられています。(インスリン分泌低下は軽度~中等度と様々)
一方、1型糖尿病は遺伝因子や自己免疫等によって、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が欠損・破壊されている状態です。(インスリンの分泌低下)
従って、治療の基本はインスリンの補充療法です。
2型糖尿病の治療
2型糖尿病治療は
- 食事療法
- 運動療法
- 薬物療法
を基本としますが、最も大切なのは食事療法と運動療法です。1)
食事/運動療法を2~3カ月続けても血糖値が下がらない場合、薬物療法が開始されます。
2型糖尿病治療薬
2型糖尿病治療薬にはいくつかの種類があり、年齢や肥満の程度、合併症、肝・腎機能等によって使い分けられます。
まずは、インスリンの適応かどうかが判断され、絶対的適応または相対的適応の場合、インスリン製剤による治療が開始されます。1-2)
【絶対的適応】
- 1型糖尿病
- インスリン依存状態
- 高血糖性の昏睡
- 重症感染症
- 全身麻酔を要する外科手術
- 食事療法だけでは良好な血糖コントロールが得られない妊娠糖尿病など
【相対的適応】
- インスリン非依存状態であっても著明な高血糖を示す場合や経口薬療法のみでは良好な血糖コントロールが得られない場合
- 糖毒性を積極的に解除する場合など
インスリン適応でない場合、まずは少量の経口血糖降下薬から開始されますが、その使い分けについては色々な考え方があります。1-2)

ビグアナイド薬(例:メトホルミン)単独で治療を開始する場合や、肥満(インスリン抵抗性)か非肥満(インスリン分泌能不足)かを判断の上、additional benefitを考慮して使い分ける場合などがあります。1-2)
慢性腎臓病や慢性心不全を合併している場合、それらにも適応を有するSGLT2阻害薬のフォシーガ(ダパグリフロジン)やジャディアンス(エンパグリフロジン)などがよい適応となるでしょう。
最近では、メトホルミンを改良した新規の経口薬であるツイミーグ(イメグリミン)も登場しました。1つでインスリン抵抗性改善とインスリン分泌促進作用を有している新薬です。
-
-
ツイミーグ(イメグリミン)の作用機序・特徴【糖尿病】
続きを見る
これら経口血糖降下薬を使用しても血糖値が下がらない場合、経口薬の増量や併用、そして注射剤(GLP-1受容体作動薬、インスリン製剤)の使用が検討されます。
また、最近では経口血糖降下薬でコントロール不十分な場合、持続型インスリン製剤による基礎インスリン(Basalインスリン)を追加するBOTやBPTと呼ばれれる治療が行われることもあります。
- 持続型インスリン製剤+経口血糖降下薬:BOT(Basal Supported Oral Therapy)
- 持続型インスリン製剤+GLP-1受容体作動薬:BPT(Basal supported post Prandial GLP-1 therapy)
まずはBOTを行い、それでも効果不十分な場合、BPTを行うといった流れですね。
2024年には初の週1回投与型のインスリン製剤であるアウィクリ注(インスリン イコデク)も登場しました。
今回ご紹介するキーンス配合注は「持続型インスリン製剤のアウィクリ+GLP-1受容体作動薬のオゼンピック」の配合剤のため、BPTに該当します。週1回投与で治療可能な点もよいですね。
なお、上記のBOTやBPTを行っても血糖コントロールが不十分な場合、基礎インスリン(basalインスリン)に加えて、1日のうちで食後血糖値が最も高くなる食事のときに超速効型インスリンを1日1回追加投与する方法 (basal-plus療法)も検討されます。1)
キーンス(インスリンイコデク+セマグルチド)の作用機序
キーンスは以下のインスリン製剤とGLP-1受容体作動薬(GLP-1アナログ製剤)を配合した薬剤です。
- アウィクリ注(インスリン イコデク):週1回投与の持続型インスリン製剤
- オゼンピック(セマグルチド):週1回投与のGLP-1受容体作動薬
インスリン イコデクは血中でアルブミンと結合することによって持続的なインスリン作用を有し、週1回の投与で特にピークもなく持続的に緩やかな血糖降下作用を示します。
また、セマグルチドはGLP-1のアミノ酸配列を改変させてDPP-4の分解を受けにくくしたGLP-1受容体作動薬に分類されています。
別名、「GLP-1アナログ製剤」とも呼ばれています(アナログとは“類似の”という意味です)。
従って、投与されると生体内で長時間作用するのが特徴です。
GLP-1は血糖値が低い時にはインスリンの分泌を促進しないため、生体内に長時間滞留しても低血糖になる恐れがありません。
このようにキーンス配合注は、持続的インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の作用を併せ持ち、1剤でBPTとしての血糖降下作用を示す薬剤ですね。

ちなみに、GLP-1受容体作動薬は胃排泄遅延と食欲抑制によって、体重減少効果も示唆されています。
余談:GLP-1の発見
アメリカドクトカゲと呼ばれるトカゲが、小動物を大量に捕食しても血糖値が全然上昇しないことがきっかけで、体内を調べたところ、ヒトのGLP-1によく似たGLP-1アナログが発見されたようです。
エビデンス紹介:COMBINE試験
根拠となった主な臨床試験は以下の3つです(いずれも第Ⅲ相試験)。
- COMBINE 1試験3):基礎インスリン療法で血糖コントロール不十分な2型糖尿病を対象に、アウィクリ単剤 vs. キーンス配合注(優越性)
- COMBINE 2試験4):GLP-1受容体作動薬で血糖コントロール不十分な2型糖尿病を対象に、オゼンピック単剤 vs. キーンス配合注(優越性)
- COMBINE 3試験5):基礎インスリン療法で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者を対象に、インスリンBasal-Bolus療法 vs. キーンス配合注(非劣性)
いずれの臨床試験でも主要評価項目が達成されていましたので、概要を下表にまとめてみました!
| 試験名 | 対象患者 (いずれも2型糖尿病) |
比較対照群 | キーンス配合注の効果 | |
| 52週時点のHbA1c改善効果 (主要評価項目) |
低血糖リスク | |||
| COMBINE 1 | 基礎インスリンで管理不十分 | アウィクリ (週1回) |
キーンスの優越性 :-1.55% vs -0.89% |
有意に低い |
| COMBINE 2 | GLP-1受容体作動薬で管理不十分 | オゼンピック (週1回) |
キーンスの優越性 :-1.35% vs -0.90% |
同程度 |
| COMBINE 3 | 基礎インスリンで管理不十分 | Basal-Bolus療法 (1日複数回) |
非劣性 :-1.47% vs -1.40% |
有意に低い (推定発生率比0.12) |
アウィクリ単剤よりも低血糖リスクが低くなっているのはびっくりですね。オゼンピックは元々そこまで低血糖リスクが高くないものの、インスリンイコデクを上乗せしても低血糖リスクが変わらないという結果でした。
また、インスリンのBasal-Bolus療法に対しては、キーンス配合注の方が有意に低血糖リスクが低いと報告されています。
副作用
後日更新予定です。
前述の臨床試験では消化器系障害の副作用が認められていました。GLP-1受容体作動薬のセマグルチドによるものですね。
有効成分のインスリン イコデク単剤の製剤であるアウィクリ注では、重大な副作用として低血糖やアナフィラキシーショックが挙げられていますので、同様の注意が必要かと考えます。
用法・用量、在宅自己注射
通常、成人では、1週間に1回皮下注射します。
臨床試験では、開始用量としてインスリンイコデク40単位+セマグルチド約0.11mg相当とされていました。
在宅自己注射については現時点では不明です。
デバイスは「フレックスタッチ」ですので、トレシーバ(インスリン デグルデク)、ノボラピッド(インスリン アスパルト)、ライゾデグ配合注(インスリン デグルデク/インスリン アスパルト)、フィアスプ(インスリン アスパルト)、アウィクリと同じです。

収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
まとめ・あとがき
キーンス配合注はこんな薬
- 持続型インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬を配合した薬剤
- BPT治療として期待
- 週に1回の皮下注投与で治療が可能
- 低血糖リスクが低い可能性
実地臨床でもしばしば持続型インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬の併用が行われるため、キーンス配合注によって1剤にまとめられることは患者さんにとっても簡便化に繋がるのではないでしょうか。
以上、今回は糖尿病とキーンス配合注フレックスタッチの作用機序、エビデンス等について解説しました!
引用文献・資料等
- 日本糖尿病学会|糖尿病治療ガイド、糖尿病診療ガイドライン、2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム(第2版)
- 日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会|糖尿病標準診療マニュアル
- COMBINE 1試験:Lancet Diabetes Endocrinol. 2025 Jul;13(7):568-579.
- COMBINE 2試験:Diabetologia. 2025 Apr;68(4):739-751.
- COMBINE 3試験:Lancet Diabetes Endocrinol. 2025 Jul;13(7):556-567.
\ 新薬情報オンラインの運営者が執筆! /
薬剤師におススメの記事
失敗しない薬剤師の転職とは?
数多く存在する薬剤師専門の転職エージェントサイト。
どこに登録したらいいのか悩むことも少なくありません。そんな転職をご検討の薬剤師さんに是非見ていただきたい記事を公開しました。
- 新薬情報オンラインの薬剤師2名が実際に利用・取材!
- 各サイトの特徴等を一覧表で分かりやすく掲載!
- 絶対にハズレのない厳選の3サイトを解説!
上手に活用してあなたの希望・条件に沿った【失敗しない転職】を実現していただけると嬉しいです!
-
-
薬剤師の転職サイト3選|評判・求人特徴とエージェントの質を比較
続きを見る
日々の情報収集に最適
-
-
薬剤師の勉強・情報収集に役に立つ無料サイト・ブログ8選


































