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2023年2月24日、アメナリーフ錠200mg(一般名:アメナメビル)の効能・効果に「再発性の単純疱疹」を追加することが承認されました!
アメナリーフは2017年7月3日に「帯状疱疹」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品として承認されました。
今回の適応拡大は、患者さんが単純疱疹の初期症状を自覚した時点であらかじめ処方されている薬剤を服用することが可能なPIT(Patient Initiated Therapy)と呼ばれる治療法です。
既に類薬のファムビル(ファムシクロビル)もPITが可能ですね。
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ファムビル(ファムシクロビル)の作用機序・特徴【再発型の単純疱疹】
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今回は帯状疱疹とアメナリーフ(アメナメビル)の作用機序についてご紹介いたします☆
ヘルペスと単純疱疹・帯状疱疹
「ヘルペス」という言葉はよく耳にすることがあると思いますは、これはヘルペスウイルスによって引き起こされる小水疱(小さいみずぶくれ)が集った「急性炎症性皮膚疾患」に分類されています。1)
また、感染するヘルペスウイルスの種類によって以下の2種類があります。
- 単純疱疹:単純ヘルペスウイルス(HSV)感染による
- 帯状疱疹:水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)感染による
いずれもウイルスによる初感染時には症状(単純疱疹では発熱等、帯状疱疹では水痘等)が現れますが、1〜3週間ほどで完治します。
しかし、完治したとしてもウイルスの一部が体内に残存してしまい、免疫力の低下等によってウイルスが再活性化して再発を繰り返すといった特徴があります。
単純疱疹の症状と治療
単純疱疹は体の全部位で起こる可能性があり、部位によって呼び方が異なります。また頻度としては以下の順です。1)
- 口唇ヘルペス
- 性器ヘルペス
- 顔面ヘルペス
- カポジ水痘様発疹症
口唇ヘルペスは最もメジャーな単純疱疹ですので皆様の中にもご経験された方がいらっしゃるのではないでしょうか?
再発型の単純疱疹の症状としては感染部位のそう痒・違和感、ヒリヒリ感といった前駆症状が発現し、その後、皮疹(紅斑、丘疹、水疱、潰瘍)へと進行して徐々に治癒に至ります。
また治療薬としては以下の抗ヘルペスウイルス薬が投与されますが、これまでは皮疹出現後に5日間投与する治療法しかありませんでした。
- ゾビラックス錠(一般名:アシクロビル)
- バルトレックス錠(一般名:バラシクロビル)
- ファムビル錠(一般名:ファムシクロビル)
2019年には、単純疱疹の前駆症状発現時にあらかじめ処方されている薬剤を服用するといった「PIT(Patient Initiated Therapy)」と呼ばれる治療法がファムビルに追加されました。
アメナリーフについても同様に前駆症状発現時に服用することで、単回投与で治療が完了するとのことです。
帯状疱疹の症状と治療
帯状疱疹の初期症状は、体の左右どちらかに生じる痛みやかゆみを伴う発疹が主で、ピリピリした痛みを感じる神経痛を伴うこともあります。
次に、痛みを感じた場所にブツブツとした赤い発疹(紅斑)ができ、次第に水ぶくれに変わっていきます。最初は少量の水ぶくれですが、次第に新旧が混在しながら増加し、帯状に広がっていきます。
その後は2~3週間で治癒していくのですが、一部のVZVは神経等に潜伏していることがあるため、免疫力低下時等に再発することもあります。
治療薬としては単純疱疹と同様の抗ヘルペスウイルス薬が用いられ、アメナリーフも選択肢として使用可能です(1回400mgを1日1回食後に経口投与。原則として7日間服用)。
また、痛みを伴う場合には鎮痛薬を併用します。
ヘルペスウイルスの増殖過程
ヘルペスウイルスは以下の過程によって増殖します。
- DNAの2重らせん構造をほどき、一本鎖DNAにする(ヘリカーゼ・プライマーゼが関与)
- DNAを複製する(DNAポリメラーゼが関与)
- 細胞分裂を行う(微小管等が関与)
アメナリーフ(アメナメビル)の作用機序
今回ご紹介するアメナリーフは、ウイルス増殖の初期段階(上記、増殖過程の①)に働くヘリカーゼ・プライマーゼ活性を直接阻害することで、二本鎖DNAの開裂及びRNAプライマーの合成を抑制し、ヘルペスウイルスの増殖を初期段階で阻害するといった作用機序を有する新規薬剤です。
既存の抗ヘルペスウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムビル)は、主にDNAポリメラーゼを阻害するといった作用機序のため、アメナリーフ錠とは作用点が異なります。
また、既存の抗ヘルペスウイルス薬は1日3~5回服薬する必要がありますが、アメナリーフは1日1回の投与で治療効果を発揮します。
エビデンス紹介:再発型の単純疱疹
今回は代表として、再発型の単純疱疹の根拠となった臨床試験をご紹介します。2)
本試験は再発型単純疱疹(口唇ヘルペス)患者さんを対象に、前駆症状発現時にアメナリーフもしくはプラセボを単回投与した際の有効性と安全性を検証した国内第Ⅲ相臨床試験です。
主要評価項目は「再発性の口唇ヘルペスの全ての病変部位が治癒するまでの期間」とされ、結果は以下の通りでした。
試験群 | アメナリーフ群 | プラセボ群 |
全ての病変部位が治癒するまでの期間中央値 | 5.1日 | 5.5日 |
HR=1.24, p=0.0085 |
このようにアメナリーフによる単回投与は、プラセボと比較して有意に治癒するまでの期間を短縮していることが示されました。
あとがき
これまで「再発性の単純疱疹」については、PITとしてファムビル(ファムシクロビル)しか治療選択肢がありませんでした。
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ファムビル(ファムシクロビル)の作用機序・特徴【再発型の単純疱疹】
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以上、今回は新規作用機序を有する帯状疱疹・単純疱疹治療薬のアメナリーフ錠をご紹介いたしました☆
引用文献・資料等
- 日本皮膚科学会「ヘルペスと帯状疱疹」
- JapicCTI-194954
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