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今回は「注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」とその治療薬の一つであるストラテラ(アトモキセチン)の作用機序についてご紹介します。
ADHDとは
ADHD(attention deficit hyperactivity disorder)とは、
- 不注意(集中力がない)
- 多動性(じっとしていられない)
- 衝動性(考えずに行動してしまう)
の3つの症状がみられる疾患です。
ただ、小さい子どもであればこれらの要素は誰にでも見られるものなので、なかなか診断が難しい疾患です。
一方、大人の場合、仕事中に落ち着きがなかったり、思ったことを口にしてしまって失言してしまったり、と仕事・日常生活で日々の暮らしを困難に感じる事が多いのではないでしょうか。
ADHDの治療
ADHDの治療目標は、
- 本人が自分を理解し、自身の行動をコントロールできるようになることによって、周囲の環境が改善し、自信を取り戻せること。
- それによって生きにくさが改善され、充実した生活・社会生活が送れることです。
必ずしも不注意、多動性、衝動性を抑えることが治療の目標ではありません。
ADHDの治療には「非薬物療法(教育・療育的支援)」と「薬物治療」があります。
まずは、環境調整などの心理社会的治療による非薬物療法を優先して行います。
これら非薬物療法で効果の無かった場合、薬物療法が考慮され、非薬物療法と適宜並行して行われます。
ADHDの原因
脳内の情報伝達にはノルアドレナリンやドパミンが関与しています。
ADHDの原因は解明されていませんが、脳内(特に前頭葉)の情報伝達に異常があると考えられています。
脳内伝達物質のノルアドレナリンやドパミン量が低下したり、脳内の情報伝達を司る「シナプス」がうまく働かないことが原因の一つではないかと言われています。
そのため、外から入ってきた情報をうまく取り込んだり処理をしたりするのが困難になり、自分の注意や行動をコントロールできなくなる(“不注意”、“多動性”、“衝動性”が発現)と考えられています。
ADHDのある人の中には、以下の図のように後シナプスと前シナプスの間のノルアドレナリンやドパミン量が低下していることがあります。
そのため、脳内の情報伝達量が減少してしまっていると考えられます。
ノルアドレナリンやドパミンの再取り込み
通常、前シナプスから分泌されたノルアドレナリンやドパミンは、前シナプスにある「トランスポーター」によって一部が再取り込みされます。
ADHDの患者さんでは、この再取り込みが過剰に起こっている結果、ノルアドレナリンやドパミン量が減少している可能性があります。
ストラテラ(一般名:アトモキセチン)の作用機序
ストラテラは、再取り込みのトランスポーターの中でも「ノルアドレナリントランスポーター」を選択的に阻害する作用機序を有しています。
ノルアドレナリンの再取り込みが阻害される結果、シナプス間のノルアドレナリン量が回復すると考えられます。
従って、より多くの情報を伝達できるようになり、覚えられる情報の量や、その持続力も高まります。
その結果、不注意、多動性、衝動性といった症状の改善に繋がります。
このように、ストラテラは中枢神経を刺激して神経伝達物質を増やすのではなく、再取り込みを阻害して効果を発揮することから非中枢神経刺激薬と呼ばれます。
非中枢神経刺激薬は一般的に耐性や依存性が少ないとされています。
代表的な副作用としては、頭痛、食欲減退、傾眠、腹痛、悪心、口渇などがあります。
ストラテラ(一般名:アトモキセチン)の用法用量
ストラテラは飲み薬で、現在カプセル剤と液体製剤のどちらかが処方されます。
18歳未満の子どもと18歳以上の成人では処方量や処方回数が異なります。
- 18歳未満の場合
通常、18歳未満の患者には、アトモキセチンとして1日0.5mg/kgより開始し、その後1日0.8mg/kgとし、さらに1日1.2mg/kgまで増量した後、1日1.2~1.8mg/kgで維持する。
- 18歳以上の場合
通常、18歳以上の患者には、アトモキセチンとして1日40mgより開始し、その後1日80mgまで増量した後、1日80~120mgで維持する。
類薬
ADHDに適応を持つ類薬としては、以下の2種類があります。
- インチュニブ錠(一般名:グアンファシン):非中枢神経刺激薬
- コンサータ錠(一般名:メチルフェニデート):中枢神経刺激薬
あとがき
今回ご紹介したストラテラは「6歳未満」には適応を有していませんので注意が必要です!!
2019年には新たな新薬のビバンセ(一般名:リスデキサンフェタミン)が登場しました!以下の記事で各薬剤の比較表も掲載していますので是非ご覧ください。
以上、本日はADHDとストラテラ(一般名:アトモキセチン)の作用機序についてご紹介しました。
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