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厚労省は2015年3月26日、厚生労働省は「尋常性ざ瘡(にきび)」を効能・効果とするデュアック配合ゲル(一般名:クリンダマイシンリン酸エステル水和物/過酸化ベンゾイル)を承認したと発表がありました。
デュアック配合ゲルは、抗菌薬のクリンダマイシンとベピオ(過酸化ベンゾイル)の配合剤です。
尋常性ざ瘡は、いわゆる「ニキビ」です。
今回は尋常性ざ瘡とデュアック(クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル)の作用機序についてご紹介します。
皮膚のターンオーバー(分化)
皮膚の細胞は、基底層という一番下の層で作られ、徐々に変化を伴いながら表面へと押し上げられていきます。
具体的には、
基底層⇒有棘層(有棘細胞)⇒顆粒層(顆粒細胞)⇒角質層(角質細胞)の順番に徐々に表面へ押し上げられます。
そして最終的には角質細胞が剥がれ落ちます。
このような一連の流れをターンオーバー(分化)と呼んでおり、約28日を1サイクルとして繰り返されています。
尋常性ざ瘡(ニキビ)とは
ざ瘡は、様々な原因で毛穴の角質層が厚くなっていて、毛穴に皮脂が詰まり、そこにアクネ菌などの細菌が繁殖することで炎症を引き起こす疾患です。
よくできる部位としては顔ですよね。
思春期の男女に多く発症することが知られていますが、30歳前後までみられることもあります。
主な原因としては、
- 食生活(脂が多めの食事の過量摂取)
- ホルモンバランスの崩れ
- 便秘
- ストレスや睡眠不足
などがあります。
尋常性ざ瘡(ニキビ)の症状
症状としては、
- 毛穴に皮脂が詰まる「面皰(めんぽう)」
- 赤く腫れて痛む「紅色丘疹」
- 膿が溜まる「膿疱」
などがあります。
これらの症状は、見た目にも関わるため、進行してしまうとQOLを著しく低下させてしまいます。
従って、初期の段階からしっかりと治療を行うことが重要です。
尋常性ざ瘡(ニキビ)の治療
面皰・紅色丘疹・膿疱などの症状や程度に応じて、薬剤による治療が行われます。
主に用いられる薬剤しては以下があります。
<炎症を抑える薬>
- ディフェリン(アダパレン外用薬)
- ステロイド
<アクネ菌等を殺菌する薬>
- 抗菌薬の外用・内服
- ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)の外用
これらの薬剤を単剤もしくは適宜併用して治療を行います。
今回ご紹介するデュアック(クリンダマイシンと過酸化ベンゾイル)は、上記の抗菌薬に分類されています。
クリンダマイシンの作用機序
クリンダマイシンは「リンコマイシン系抗生物質」と呼ばれる抗菌薬です。
アクネ菌は増殖する際に必要なタンパク質を合成する必要があります。
DNAからmRANが作成(転写)され、mRNAの情報を元にリボソームによって翻訳が行われてタンパク質が合成されます。
クリンダマイシンは、アクネ菌のリボソームを選択的に阻害することで、タンパク質合成を阻害します。
その結果、アクネ菌の増殖を抑制できると考えられています。
ベピオ(過酸化ベンゾイル)の作用機序
ベピオには以下の2つの作用があります。
- アクネ菌の殺菌作用
- 角質層の剥離作用(ピーリング作用)
詳しくは以下の記事をご覧ください。
デュアック配合ゲルの作用機序
デュアック配合ゲルは、
- クリンダマイシンと過酸化ベンゾイルによるアクネ菌の殺菌作用⇒原因菌の減少
- 過酸化ベンゾイルによる角質層の剥離作用⇒角質層が薄くなる
といったの作用機序によって、原因菌を減らし、毛穴の詰まりを解消させることで尋常性ざ瘡の症状が改善すると考えられます。
デュアック配合ゲルの副作用
主な副作用として、
乾燥、接触皮膚炎、紅斑、皮膚剥脱、そう痒症などが報告されています。
デュアック配合ゲルの用法・用量
1日1回、洗顔後に患部に適量を塗布して用います。
あとがき
高度なにきびに対しては、抗生剤もしくは過酸化ベンゾイルとアダパレンの併用療法がありますが、中度なにきびに対しては抗生剤と過酸化ベンゾイルの配合剤である本剤が使われるようになるかと思います。
アダパレンと過酸化ベンゾイルを配合したエピデュオゲルについては以下の記事をご参照ください。
それぞれの薬剤との使い分けや併用療法の有用性等が示されることを期待します☆
以上、今回は尋常性ざ瘡とデュアック配合ゲル(クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル)の作用機序についてご紹介しました。
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