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2025年2月27日、厚労省の薬事審議会・医薬品第二部会にて「食道がん」を対象疾患とするテビムブラ(チスレリズマブ)の承認が了承されました!
現時点では未承認のためご注意ください。
基本情報
製品名 | テビムブラ点滴静注100mg |
一般名 | チスレリズマブ(遺伝子組換え) |
製品名の由来 | |
製造販売 | BeiGene Japan |
効能・効果 | 根治切除不能な進行・再発の食道がん |
用法・用量 | フルオロウラシル及びシスプラチンとの併用において、 通常、成人には、チスレリズマブ(遺伝子組換え)として、 1 回 200 mg を 3 週間間隔で 60 分かけて点滴静注する。 がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌に対しては、 本剤を単独投与することもできる。なお、初回投与の忍容性が良好であれば、 2 回目以降の投与時間は 30 分まで短縮できる。 |
収載時の薬価 | |
発売日 |
テビムブラは、既に食道がん領域で使用されているオプジーボ(ニボルマブ)やキイトルーダ(ペムブロリズマブ)と同じ抗PD-1抗体薬ですね。
今回、食道がんにおける
- 一次治療:化学療法との併用
- 二次治療:テビムブラ単剤
として承認が見込まれています。

今回は、食道がんと共にテビムブラ(チスレリズマブ)の作用機序とエビデンスについて解説していきます!
食道がんの概要
食道がんはその名の通り、食道に発生するがんです。
日本人の食道がんは約半数が食道の中央付近からでき、次に食道の下部に多くできると言われています。
治療
治療の基本は手術と放射線治療ですが、がんが進行している場合、適宜、抗がん剤(化学療法)が併用して行われます。
特に発見時に他の臓器に転移の有る場合(StageⅣ)、5-FUとシスプラチンの併用療法(FP療法)が一次治療として行われますが、最近ではPD-L1発現状態や組織型も考慮して、以下の併用療法も選択可能です。
- FP療法+キイトルーダ:PD-L1陽性(CPS≧10)かつ扁平上皮がん
- FP療法+オプジーボ:PD-L1の発現状態の制限はないものの、1%以上が望ましい
- オプジーボ+ヤーボイ(イピリムマブ)併用療法:PD-L1の発現状態の制限はないものの、1%以上が望ましい
上記の免疫チェックポイント阻害薬は、いずれもFP療法としか併用できませんでしたが、使用するシスプラチンは腎機能や年齢によってはしばしば使いづらいこともありました。
今回ご紹介するテビムブラも、一次治療としてFP療法と併用します(PD-L1発現状態の制限なし)。
ただ、臨床試験では以下の化学療法と併用が可能でしたので、今後の拡大が期待できそうです。

参考までに、米国NCCNガイドラインでは、シスプラチンよりもオキサリプラチンが推奨されています(ただし、日本では食道がんに対するオキサリプラチンは適応外)。また、テビムブラは、オプジーボやキイトルーダと同列の推奨です。
NCCN Guidelines Esophageal and Esophagogastric Junction Cancers Version 1.2025
また、FP療法に抵抗性となった場合の二次治療としては
- オプジーボ(ニボルマブ)単剤療法:PD-L1に関わらず使用可能
- キイトルーダ(ペムブロリズマブ)単剤療法:PD-L1陽性の場合に使用可能
が治療選択肢として挙げられていますが、テビムブラも二次治療として使用可能となる予定です。

がんと免疫チェックポイント
通常、がんができると生体内の免疫反応が活性化され、がん細胞を死に導こうとしますが、がん細胞はヒトの免疫機構から逃れる術をいくつか持っています。
その一つに、がん細胞ではヒトの免疫反応を抑制する「PD-L1」を大量に発現し、免疫反応(T細胞からの攻撃)から逃れています。
PD-L1はT細胞のPD-1と結合することで、T細胞の活性を抑制させる働きがある、いわば、ブレーキのような働きを担っています。

これを“免疫チェックポイント”と呼んでいます。
テビムブラ(チスレリズマブ)の作用機序
今回紹介するテビムブラは、「ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体薬」と呼ばれる、がん免疫療法薬です。
テビムブラはT細胞の「PD-1」を特異的に抑制することで、がん細胞からのブレーキを解除させ、ヒト本来の免疫反応を活性化させます。
その結果、T細胞が、がん細胞を攻撃することでがん細胞を死に導く、といった作用機序を有しています☆
T細胞が活性化され、ヒト本来の免疫力によってがん細胞を攻撃しますので、従来の抗がん剤と比較して副作用が比較的少ないと言われています。
エビデンス紹介:RATIONALE-306試験(一次治療)
一次治療の根拠となった臨床試験(RATIONALE-306試験)をご紹介します。1)
本試験は、切除不能な局所進行または再発・転移を有する食道扁平上皮癌患者さん(D-L1発現の状態に関わらず)を対象に、医師選択の化学療法(前述のレジメン)に加えてプラセボまたはテビムブラを比較した第Ⅲ相臨床試験です。
主要評価項目は「全生存期間」とされ、結果は以下の通りでした。
医師選択の化学療法+ プラセボ |
医師選択の化学療法+ テビムブラ |
|
全生存期間(OS)中央値 | 10.6か月 | 17.2か月 |
HR=0.66(95%CI:0.54-0.80) p<0.0001 |
||
無増悪生存期間(PFS)中央値 | 5.6か月 | 7.3か月 |
HR=0.62(95%CI:0.52-0.75) p<0.0001 |

また、PD-L1発現状態によっても治療効果に差がないと報告されています。
なお、二次治療の根拠となった臨床試験は、RATIONALE-302試験2)ですが、ここでは割愛します。
副作用
後日更新予定です。
用法・用量
後日更新予定です。
臨床試験では、3週間1サイクルとされていました。
収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
まとめ・あとがき
テビムブラはこんな薬
- 食道がんの一次治療に使用する新規の抗PD-1抗体薬
- 一次治療ではFPと併用するものの、今後の拡大に期待
- 3週1サイクルの治療
これまで、食道がんの一次治療にオプジーボやキイトルーダを併用する場合、FP療法しか使用できませんでした。
現時点ではテビムブラもFP療法との併用に限定されていますが、今後はオキサリプラチン併用療法やパクリタキセル併用療法などとの併用も期待したいところです。

以上、今回は食道がんとテビムブラ(チスレリズマブ)の作用機序・エビデンスについて解説しました。
参考資料・論文
- RATIONALE-306試験(一次治療):Lancet Oncol. 2023 May;24(5):483-495.
- RATIONALE-302試験(二次治療):J Clin Oncol. 2022 Sep 10;40(26):3065-3076.
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