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2024年12月2日、厚労省の薬事審議会医薬品第一部会にて「近視の進行抑制」を対象疾患とするリジュセアミニ点眼液0.025%(アトロピン)の承認可否が審議される予定です。
参天製薬|申請のニュースリリース
現時点では未承認のためご注意ください。
基本情報
製品名 | リジュセアミニ点眼液0.025% |
一般名 | アトロピン硫酸塩水和物 |
製品名の由来 | |
製造販売 | 参天製薬(株) |
効能・効果 | 近視の進行抑制 |
用法・用量 | 1日1回点眼? |
収載時の薬価 | 自由診療となる予定? |
発売日 |
アトロピン自体は既に眼科領域で1%用量のものが散瞳と調節麻痺を目的として使用されていますが、リジュセアミニは低用量のアトロピン点眼剤です。
臨床試験では小児を対象としていたため、小児の近視に対して使用が見込まれます。
今回は近視と共に、リジュセアミニ(アトロピン)の作用機序をご紹介します。
近視
眼に入ってきた光は、角膜や水晶体を通して網膜で焦点を結び、その情報が視神経を通って脳へ伝わることによって物体が認識されています。1)
近視とは、眼軸長(眼球の前後方向の長さ)と角膜や水晶体の屈折力(光を集める力)のバランスが良くないために、遠方からきた光線が網膜の手前で焦点を結んでしまう状態です。
文部科学省|児童生徒の近視実態調査について>近視について解説した資料
なお、近視には主に以下の2つがありますが、小児の多くは眼軸長が過度に伸びることによる軸性近視です。1)
- 軸性近視:眼軸長が過度に伸びることによる近視
- 屈折性近視:角膜や水晶体の屈折力が強すぎることによる近視
眼鏡によって正常視力まで矯正可能な単純近視が多いですが、まれに病的近視に進行する例もあります。
近視の割合
日本においては、文部科学省が実施した学校保健統計調査で、裸眼視力1.0未満の者の割合は年々増加しており、2022年度調査2)では小学校で37.88%、中学校で61.23%、高等学校で71.56%という結果が示されています。
年々、増加傾向の理由としては、屋外活動時間の減少と、子供たちの読書、勉強、デジタル機器の使用など近業作業(近くを長時間見る作業のこと)活動の増加が組み合わさったことによるライフスタイルの変化に起因していると考えられています。
なお、近視は遺伝的要因と環境的要因がある言われていますが、近年では環境的要因が多いと考えられています。2)
治療・対策
現時点では、近視の進行を抑える明確な予防治療は確立されていないため、眼科医で精密検査を受けて適切な眼鏡の処方を受けることが推奨されています。1)
コンタクトレンズは管理が難しいのと、管理を誤ると目の病気の原因になることから、中学生から高校生などある程度の年齢に達して自己管理ができるようになってから使うのが安全とされています。1)
予防治療として、自由診療で以下が挙げられていましたが、リジュセアミニはようやく正式な効能・効果として使用できる「低濃度アトロピン点眼による予防法」です。
- 低濃度アトロピン点眼による予防:世界的に最も広く行われている治療
- オルソケラトロジーによる予防:カーブの弱いハードコンタクトレンズを睡眠時に装着して一時的に角膜の形状を平らにし、焦点を後方にずらす
- 多焦点ソフトコンタクトレンズによる予防
- レッドライト治療法(red light therapy):長波長の650nmの赤色光が、過剰な眼軸延長を抑制するというもの
リジュセアミニ(アトロピン)の作用機序
リジュセアミニの有効成分はアトロピンのため、アセチルコリンが作用する受容体に対して拮抗作用を示します(抗コリン作用)。
アセチルコリン受容体にはM1、M2、M3 などがあり、濃度によって抗近視作用や散瞳作用を示すことが知られています。
リジュセアミニは、近視を治療しつつ散瞳が起こらないM2受容体を選択的に阻害します。その結果、眼軸長の延長が抑制され、近視の進行が抑制されると考えられています。
エビデンス紹介
後日更新予定です。
メーカーのニュースリリースによれば、国内で近視の小児を対象に行われた第Ⅱ/Ⅲ相プラセボ対照二重遮蔽比較試験において、投与24か月後における投与前からの他覚的等価球面度数の変化量について、リジュセアミニはプラセボ点眼液と比較して、調節麻痺下での進行抑制効果が認められ、優越性が示されたと報告されています。
副作用
後日更新予定です。
用法・用量
後日更新予定です。
海外では1日1回の点眼投与とされています。
収載時の薬価
現時点では未承認かつ薬価未収載です。
メーカーの資料等によると、薬価がつかない自由診療での販売展開を予定しているとのことです。
まとめ・あとがき
リジュセアミニはこんな薬
- 近視の進行抑制を適応症とする初の新薬
- 低用量アトロピンの抗コリン作用によって、眼軸長の延長を抑制する
これまで、近視の抑制に対しては、オルソケラトロジーやレッドライト治療法などが適応外として使用されていました。
リジュセアミニは国内で初めて近視の進行抑制を効能・効果として登場しました。
以上、今回は近視と共に、リジュセアミニ(アトロピン)の作用機序をご紹介しました!
引用文献・資料等
- 日本小児眼科学会:近視について
- 文部科学省|児童生徒の近視実態調査について
- 親子で学ぶ近視サイト|近視の抑制・治療
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