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厚労省は2015年3月26日、厚生労働省は「慢性閉塞性肺疾患の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解」を効能・効果とするエクリラ400μgジェヌエア吸入用(一般名:アクリジニウム臭化物)を承認しました。
本剤は、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)のアクリジニウムを有効成分とした定量式吸入用散剤です。
ちなみに、LAMAは“ラマ”と読みます。
今回は慢性閉塞性肺疾患(COPD)とエクリラ ジェヌエアの作用機序についてご紹介します。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは
慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)とは、喫煙を主な原因として発症する肺の炎症性疾患です。
基本的には不可逆的の慢性疾患で、徐々に症状が進行していきます。
主な症状は、咳、痰や動作時の呼吸困難などで、患者さんのQOLが著しく低下するだけでなく、症状の進行によって、やがては呼吸不全を起こし、生命を脅かす可能性のある病気です。
ではここで、COPDがどのような症状か体験してみたいと思います。
まず息を大きく吸って下さい。そのまま吐かずに吸って吸って吸って・・・・。
ちょっと吐いて下さい。
そしたらまた吸って吸って吸って・・・。ちょっと吐いてください。これを繰り返します。
このような状態がずっと続くのがCOPDの主な症状だとお考えください。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因と病態
COPDの最大の原因は喫煙です。
喫煙者の15~20%がCOPDを発症すると言われています。従って、発症予防としては「禁煙」が最も効果的です。
喫煙によって気管支に炎症が生じ、それに伴い気管支平滑筋の収縮や肥厚(平滑筋が厚くなってしまう)してしまいます。
また、喫煙による痰も絡みやすくなり、次第に気管支は狭窄していってしまいます。
進行してしまうと、酸素を取り込む肺胞自体も炎症によって破壊され、呼吸機能が低下していってしまいます。
呼吸機能が低下しすぎてしまうと、人工呼吸器を用いることもあります。
気管支平滑筋の収縮と弛緩(拡張)
通常、気管支平滑筋の収縮や弛緩(拡張)は副交感神経と交感神経によって調節されています。
- 副交感神経:平滑筋の収縮
- 交感神経:平滑筋の弛緩(拡張)
副交感神経から産生される「アセチルコリン」が平滑筋の「アセチルコリンM3受容体」に作用することで平滑筋が収縮します。
また、交感神経から産生される「ノルアドレナリン」が平滑筋の「アドレナリンβ2受容体」に作用することで平滑筋が弛緩(拡張)します。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療
COPDの治療の基本は気管支拡張薬による薬物療法が中心です。
主な気管支拡張薬には以下があります。
- 抗コリン薬
- β2刺激薬
- テオフィリン薬
また、上記薬剤は基本的には「吸入」で使用し、長時間持続タイプのものが使用されます。
抗コリン薬の長時間持続タイプを「LAMA」、β2刺激薬長時間持続タイプを「LABA」と呼んでいます。
治療を開始する際には、LAMAやLABAを単剤から使用していきますが、最近ではLAMAの単剤が第一選択として推奨されています。
単剤で治療効果が不十分な場合に併用療法(LAMA+LABA)が検討されますが、症状や重症度によっては最初から併用療法が行われることもあります。
その他にも症状に応じて吸入ステロイド薬が適宜併用して使用されることもあります。
今回ご紹介するエクリラ ジェヌエアはLAMAに分類されている薬剤です!
エクリラ ジェヌエア(アクリジニウム)の作用機序
アクリジニウムは抗コリン薬に分類されています。
アセチルコリンM3受容体を遮断することで気管支平滑筋の収縮を抑制し、気管支を拡張するといった作用機序を有しています。
エクリラ ジェヌエアの副作用と注意事項
主な副作用として不整脈、めまい、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、尿中ブドウ糖陽性などが報告されています。
また、本剤は抗コリン薬のアクリジニウムを配合していることから、下記の患者さんには投与禁忌です。
- 閉塞隅角緑内障の患者さん
- 前立腺肥大等による排尿障害がある患者さん
共に、抗コリン作用によって、悪化する可能性があるためです。
エクリラ ジェヌエアの用法・用量
通常、成人には1回1吸入を1日2回吸入投与します。
類薬とあとがき
同様のLAMAとしては、
- スピリーバ(一般名:チオトロピウム)
- シーブリ(一般名:グリコピロニウム)
- エンクラッセ(一般名:ウメクリジニウム)
があります。
投与回数等に違いがありますが、効果や安全性の比較などの検討が進めば興味深いと思います。
以上、今回はCOPDとエクリラ ジェヌエアの作用機序についてご紹介しました。
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