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今回は急性骨髄性白血病に使用されるマイロターグ点滴静注用5mg(一般名:ゲムツズマブオゾガマイシン)についてご紹介します。
マイロターグは「抗体薬物複合体:Antibody drug conjugate(ADC)」と呼ばれる薬剤です。
急性骨髄性白血病
白血病は「血液のがん」です。
血液細胞には、白血球、赤血球、血小板等がありますが、これら血液細胞の異常化(腫瘍化=がん化)によって引き起こされる病気が白血病です。
また、白血球には
- 顆粒球(骨髄系):好中球、好酸球、好塩基球
- リンパ球(リンパ系):B細胞、T細胞、NK細胞
があります。
急性骨髄性白血病は、白血球の中でも「顆粒球」の未熟細胞が腫瘍化する疾患で、予後は不良とされています。
この腫瘍化した未熟な顆粒球のことを「白血病細胞」と呼んでおり、白血病細胞の表面には「CD33」と呼ばれるタンパク質が発現していることが知られています。
急性骨髄性白血病の治療
基本的な治療は、抗がん剤の多剤併用療法(化学療法)です。
1カ月程の化学療法(導入化学療法)によって8割以上の患者さんでは「完全寛解」が得られ、その後、地固め療法を数回行います。
そして完全寛解が5年以上続けば、「治癒」に至ります。
ただし、最初の導入化学療法で1~2割の患者さんは抵抗性を示してしまいます(難治性)。
また、一度完全寛解が得られたとしても、半数以上の患者さんは再発してしまいます。
このような再発・難治性の患者さんに対して使用できる薬剤がマイロターグです。
マイロターグ(一般名:ゲムツズマブオゾガマイシン)の構造
マイロターグは「抗体(ゲムツズマブ)+抗がん剤(オゾガマイシン)」で成り立っている薬剤です。
マイロターグは「CD33」を特異的に認識する“モノクローナル抗体”で、これにオゾガマイシンと呼ばれるカリケアマイシン誘導体の“抗がん剤”が結合しています。
オゾガマイシンは強力なDNA障害作用を持つ抗がん剤ですが、そのまま体内に投与されると、正常細胞も傷つけてしまうため、副作用が強く発現してしまいます。
そこで、白血病細胞を特異的に認識する抗体であるゲムツズマブに、抗がん剤のオゾガマイシンを結合させることで、抗がん剤が白血病細胞のみに作用するよう工夫した薬剤がマイロターグです!
ゲムツズマブは、いわゆる「薬の運び屋」みたいなイメージですね♪
マイロターグ(一般名:ゲムツズマブオゾガマイシン)の作用機序
まず、マイロターグは白血病細胞表面にある「CD33」を認識して結合します。
その後、マイロターグは白血病細胞内に取り込まれ、抗がん剤のオゾガマイシンが遊離されます。
そしてオゾガマイシンは核内のDNAに結合し、強力なDNA障害作用によって、白血病細胞を死滅させるといった作用機序です!
マイロターグの副作用
主な副作用として発熱性好中球減少症、血小板減少、発熱、好中球減少、敗血症などが報告されています。
また、アナフィラキシーショックや静脈閉塞性肝疾患(VOD)/類洞閉塞症候群(SOS)等の肝障害より死亡に至った例も報告されていますので、十分注意が必要です。
あとがき
マイロターグは米国では2000年に承認されました。
しかしその後、抗がん剤(ダウノルビシンやシタラビン)とマイロターグを併用する臨床試験等で副作用による死亡例が多いことが分かり、承認取下げとなっています。
日本においては、他の抗がん剤と併用しない旨を添付文書に明記した上で、現在でも販売は継続されています。
再発・難治性の急性骨髄性白血病では治療選択肢が限られているため、リスクとベネフィットを考慮してマイロターグが使用されています。
以上、今回は急性骨髄性白血病とマイロターグの作用機序についてご紹介しました。
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