新薬承認・薬価収載

【適応拡大】5製品(2022年11月24日)

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2022年11月24日、既に販売中の医薬品5製品の適応拡大などが承認されました!

 

直近の第二部会で承認了承されていた報告品目が承認されていますね。

【第二部会:期待の新薬】5製品+1製品(2022年10月31日)

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木元 貴祥
木元 貴祥
今回は概要の紹介です。サクッと押さえておきましょう!

 

適応拡大の5製品

●エンハーツ点滴静注用100mg(一般名:トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え))
:「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん」を効能・効果とする新効能医薬品。

エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)の作用機序【乳/胃/肺がん】

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これまで、乳がんに使用する場合には「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん(標準的な治療が困難な場合に限る)」とされていて、三次治療以降に使用されていました。

今回、二次治療から使用可能となり、「(標準的な治療が困難な場合に限る)」が削除されています。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
現在、HER2低発現の乳がんについても申請中のため、期待です!

 

●アドリアシン注用10、同50(一般名:ドキソルビシン塩酸塩)
●注射用エンドキサン100mg、同500mg(一般名:シクロホスファミド水和物)
:いずれも「乳がん(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)」を効能・効果とする新用量医薬品。

 

これまで、同効能・効果で両薬剤を併用したAC療法(ドキソルビシン+シクロホスファミド)として使用できますが、休薬期間は「20日間」とされていました(3週間間隔)。

 

国内外の臨床試験ではその投与間隔を2週間として薬剤投与強度を高めた「dose-dense AC療法」の有効性が示唆されていることから、国内のガイドラインにおいてはdose-dense AC療法が推奨されています。

乳癌診療ガイドライン|推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:強

 

今回、休薬期間を「13日間」とする新用量が追加されましたので、2週間間隔のdose-dense AC療法が使用可能になりましたね。

 

●ティーエスワン配合カプセルT20及び同T25、同配合顆粒T20及び同T25、同配合OD錠T20及び同T25(一般名:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)
●エスワンタイホウ配合OD錠T20、同T25(一般名:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)
:「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳がんにおける術後薬物療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。

ティーエスワン(TS-1)と5-FUの作用機序と特徴【抗がん剤】

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これまでティーエスワン(TS-1)は乳がんに対しては「手術不能又は再発乳がん」にしか使用できませんでした。

 

今回、医師主導臨床研究のPOTENT試験の結果を受けて、乳がん術後薬物療法の適応拡大に至りました。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
特定臨床研究の結果のみで一変承認するのは初とのことですね!すごい!

 

POTENT試験の概要

  • 対象:StageⅠ~ⅢBのエストロゲン受容体(ER)陽性かつHER2陰性乳がん患者さん(リンパ節転移状況は問わず)1,930例
  • 試験群:TS-1(1日2回経口、3週間間隔)+標準的ホルモン療法(S-1併用群)957例
  • 対照群:標準的ホルモン療法 973例
  • 主要評価項目:iDFS

⇒主要評価項目のiDFSにおいて、試験群(TS-1併用群)で有意な再発抑制効果が認められた(ハザード比=0.63, 95%CI:0.49-0.81, p=0.0003)。

Lancet Oncol. 2021 Jan;22(1):74-84.

 

エスワンタイホウ配合OD錠は岡山大鵬薬品が販売しているTS-1のオーソライズドジェネリック(AG)のため、同時に適応拡大されています。

 

あとがき

今回は直近の薬食審医薬品部会で報告されていた5製品のみの適応拡大でした。

 

しかしながら、いずれも実臨床で使用できる選択肢が広がるため、患者さんにとっては朗報ではないでしょうか。

 

木元 貴祥
木元 貴祥
特に、最近のエンハーツの適応拡大はすごいですよねー!
エンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)の作用機序【乳/胃/肺がん】

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今後の適応拡大についても大いに期待したいと思います。

 

以上、今回は2022年11月24日に適応拡大された薬剤の概要についてご紹介しました。

 

 

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木元 貴祥

株式会社PASS MED(パスメド)代表

【保有資格】薬剤師、FP、他
【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。

今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。

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