薬理

薬理学:悪性腫瘍に作用する薬(21問)

★成績優秀者限定の就活|薬学生プレミア

問1 DNAをアルキル化する薬物はどれか。

①イホスファミド

②オキサリプラチン

③フルオロウラシル

正解は①でした!

【解説】

①正。イホスファミドは生体内で活性化を受けて、DNAをアルキル化して抗腫瘍作用を示す。副作用には出血性膀胱炎があり、解毒剤のメスナと併用することで発生を防止する。

②誤。オキサリプラチンは白金化合物であり、がん細胞のDNA鎖に架橋を形成し、DNA合成(S期)および、分裂期(M期)の進行を抑制する。

③誤。フルオロウラシルは代謝活性化を受けて、チミジル酸合成酵素を阻害してDNAの生合成を阻害する。ソリブジンと併用すると、解毒酵素が阻害され毒性が増大するため、禁忌である。

 

問2 ピリミジン系代謝拮抗薬はどれか。

①ブスルファン

②ニムスチン

③ドキシフルリジン

正解は③でした!

【解説】

①誤。ブスルファンはマスタード類のアルキル化薬であり、DNAをアルキル化して抗腫瘍効果をあらわす。

②誤。ニムスチンはニトロソウレア類のアルキル化薬であり、血液脳関門を通過する為、脳腫瘍に使用される。

③正。ドキシフルリジンはフルオロウラシルのプロドラッグであり、代謝活性化を受けて作用する。がん細胞への選択制が向上し化学療法による副作用を軽減できる。

ドキシフルリジンを更に改良したカペシタビン(製品名:ゼローダ)も広く使用されている。

 

問3 次の薬物のうち正しい薬物と薬効の記述のうち正しいものはどれか。

①オテラシルは5-FUの薬効を増強する

②ギメラシルは5-FUの消化管障害を抑制する

③テガフールは5-FUに変換され、DNA合成を阻害する。

正解は③でした!

【解説】

①誤。オテラシルはオロテートホスホリボシルトランスフェラーゼを阻害して、消化管での5-FUへの代謝活性化を阻害して消化管毒性を軽減する。

②誤。ギメラシルは肝臓でジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼを阻害して、5-FUの濃度を上昇させ抗腫瘍効果を高める。

③正。テガフールは5-FUに代謝活性化を受けて持続的な抗腫瘍効果を発現するプロドラッグである。

これら3剤を配合した薬剤が「製品名:ティーエスワン」である。

 

問4 パクリタキセルの作用機序はどれか。

①微小管重合促進

②トポイソメラーゼ阻害

③DNA鎖の切断

正解は①でした!

【解説】

①正。パクタキセルは微小管タンパク質の重合を促進し安定化させ、有糸分裂を阻害する。また、微小管の過剰形成による有糸分裂阻害作用も示す。

​②誤。トポイソメラーゼを阻害するのはイリノテカン、エトポシドである。

③誤。DAN鎖切断作用を持つのはブレオマイシンである。

 

問5 ヒト上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)を標的とした抗体製剤はどれか。

①ペメトレキセド

②セツキシマブ

③アフリベルセプト

正解は②でした!

【解説】

①誤。ペメトレキセドはチミジル酸合成酵素、ジヒドロ葉酸還元酵素、グリシンアミドリボヌクレオチドホルミル転移酵素などの複数の酵素を阻害してDNA合成を抑制する。

②正。セツキシマブはEGFRを標的とした分子標的薬であり、EGFとEGFRの結合を阻害し細胞増殖を抑制する。

③誤。アフリベルセプトはVEGFRと抗体との融合タンパク質であり、VEGFを特異的に補足する。

 




問6 ドキソルビシンの作用機序はどれか。

①DNAインターカレーション作用

②チューブリン重合の阻害

③DNAアルキル化

正解は①でした!

【解説】

ドキソルビシンはアントラサイクリン系の抗腫瘍抗生物質であり、腫瘍細胞のDNA塩基対にインターカレーション(間に入り込む)作用により、複合体を形成し、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼを阻害する。

トポイソメラーゼⅡ阻害作用も併せ持つ。

 

問7 メトトレキサートの作用機序はどれか。

①ジヒドロ葉酸還元酵素阻害

②トポイソメラーゼ阻害

③エストロゲン受容体阻害

正解は①でした!

【解説】

①正。メトトレキサートはジヒドロ葉酸還元酵素を阻害して、活性葉酸の生合成を阻害してDNA合成を抑制する。

②誤。トポイソメラーゼを阻害する薬物にはイリノテカンやエトポシドがある。

③誤。エストロゲン受容体を遮断する薬物にはタモキシフェンなどがある。

 

問8 ブレオマイシンの作用機序はどれか。

①チューブリンの重合促進

②DNA鎖の切断

③DNA鎖に架橋形成

正解は②でした!

【解説】

①誤。チューブリンの重合を促進することで安定化させ、抗腫瘍効果を発揮する薬物にはパクリタキセルやドセタキセルがある。

②正。ブレオマイシンはFe2+とキレートを形成して分子状酸素を活性酸素に変換し、非酵素的にDNA鎖を切断する。

③誤。白金製剤やマイトマイシンCの作用機序である。

 

問9 イマチニブの標的分子はどれか。

①EGFRチロシンキナーゼ

②BCR-ABLチロシンキナーゼ

③HER2チロシンキナーゼ

正解は②でした!

【解説】

①誤。EGFRチロシンキナーゼを阻害する分子標的薬にはエルロチニブがある。

②正。イマチニブは慢性骨髄性白血病の遺伝子変異で出現するBCR-ABLチロシンキナーゼを選択的に阻害し、白血球の増殖を抑制する。

③誤。HER2チロシンキナーゼを阻害する薬物にはラパチニブがある。ラパチニブにはEGFRチロシンキナーゼを阻害する作用もある。

 

問10 ビンクリスチンの作用機序はどれか。

①トポイソメラーゼⅡ阻害

②微小管タンパク質重合の安定化

③微小管重合の抑制

正解は③でした!

【解説】

①誤。トポイソメラーゼⅡを阻害するのはエトポシドである。

②誤。タキサン系のパクリタキセルの作用機序である。微小管重合を促進し、微小管の安定化および過剰形成を引き起こし、細胞分裂を抑制する。

③正。ビンアルカロイド系のビンクリスチンは微小管重合を抑制することで、有糸分裂を抑制する。タキサン系と間違えやすいので、微小管抑制か微小管安定化かを整理して覚えよう。

 




問11 イリノテカンの作用機序はどれか。

①トポイソメラーゼⅠ阻害

②DNAポリメラーゼ阻害

③DNA塩基対へのインターカレーション

正解は①でした!

【解説】

①正。イリノテカンは活性代謝物SN-38となり、トポイソメラーゼⅠを阻害してDNA合成を阻害する。副作用に重度の下痢がある。

②誤。ピリミジン系塩基と競合してDNAポリメラーゼを阻害して、抗腫瘍効果を発揮する薬物にはシタラビンがある。

③誤。DNA塩基対にインターカレーションを起こしてDNA合成を阻害する薬物にはアントラサイクリン系のダウノルビシンがある。

 

問12 ゲフィチニブの標的分子はどれか。

①EGFRチロシンキナーゼ

②VEGFチロシンキナーゼ

③BCR-ABLチロシンキナーゼ

正解は①でした!

【解説】

①正。ゲフィチニブはEGFRチロシンキナーゼを阻害して腫瘍細胞の異常な増殖を抑制する。

②誤。VEGFR受容体を阻害してチロシンキナーゼを阻害するのはアキシチニブである。

③誤。BCR-ABLチロシンキナーゼを阻害するのはイマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブである。

 

問13 シスプラチンの作用機序はどれか。

①DNAアルキル化

②DNA架橋形成

③DNAポリメラーゼ阻害

正解は②でした!

【解説】

シスプラチンは白金化合物であり、DNAの一本鎖および、二本鎖間に架橋を形成し、DNAの合成、有糸分裂過程を阻害する。

細胞周期に依存せずに効果を発揮する。

 

問14 ボルテゾミブの作用機序はどれか。

①ALKチロシンキナーゼ阻害

②プロテアソーム阻害

③mTORセリン・トレオニンキナーゼ阻害

正解は②でした!

【解説】

①誤。ALKチロシンキナーゼを阻害するのはクリゾチニブおよびアレクチニブである。

②正。ボルテゾミブはプロテアソームを阻害して、変性タンパク質を蓄積させることで、細胞のアポトーシスを誘導する。

③誤。エベロリムス、テムシロリスの作用機序である。PI3K/AKT経路を抑制し、細胞増殖や血管新生を抑制する。

 

問15 トラスツズマブの標的分子はどれか。

①HER2

②EGFR

③VEGF

正解は①でした!

【解説】

①正。トラスツズマブはヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)に特異的に結合し、乳がん細胞の増殖を抑制する。

②誤。セツキシマブ、パニツムマブの標的分子である。

③誤。ベバシズマブの標的分子である。

 




問16 Bリンパ球のCD20に対する抗体製剤はどれか。

①ウステキヌマブ

②パニツムマブ

③リツキシマブ

正解は③でした!

【解説】

①誤。ウステキヌマブは完全ヒト型IL-12/23モノクローナル抗体であり、既存治療で効果不十分なクローン病に使用する。

②誤。パニツムマブはEGFR受容体に対するモノクローナル抗体であり、KRAS遺伝子野生型の大腸癌に使用される。KRAS遺伝子はEGFRの下流に存在する因子であり、ここに変異がある場合は抗EGFR抗体による効果は期待できない。

③正。リツキシマブはヒトBリンパ球に存在するCD20対する抗体製剤であり、ヒト補体存在下でCD20陽性細胞を障害する。

 

問17 ベバシズマブの標的分子はどれか。

①EGFR

②VEGF

③VEGFR

正解は②でした!

【解説】

ベバシズマブはヒト血管内皮増殖因子(VEGF)を標的とするモノクローナル抗体であり、腫瘍細胞から分泌されたVEGFと結合し、受容体との結合を阻止する。

 

問18 ニボルマブの作用機序はどれか。

①PD-1に対する抗体製剤で、PD-1とがん細胞のPD-L1との結合を抑制する

②CTLA-4に結合して、抗原提示細胞のCD80/86との結合を抑制する

③VEGFに結合して、VEGFRとの結合を抑制する

正解は①でした!

【解説】

①正。ニボルマブは、T細胞に存在するPD-1に対する抗体製剤で、がん細胞が発現するPD-L1との結合を阻害し、がん細胞によるT細胞抑制作用を抑制する。

②誤。イピリムマブの作用機序である。抗原提示細胞のCD80/86によりT細胞が抑制されるのを阻害することで免疫反応を持続させる。

上記2剤の併用療法が行われることもある。

③誤。ベバシズマブの作用機序である。

 

問19 ビタミンA活性体であり、白血病に使用されるのはどれか。

①トレチノイン

②ダサチニブ

③シクロフォスファミド

正解は①でした!

【解説】

①正。トレチノインは活性型ビタミンAであり、急性前骨髄正白血病において、白血病細胞の分化誘導により異常増殖を抑制する。

②誤。ダサチニブはBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬であり、慢性骨髄性白血病に使用する。イマチニブ抵抗性にも有効である。

③誤。シクロフォスファミドはマスタード類のアルキル化薬である。

 

問20 デノスマブの作用部位はどれか。

①パラトルモン

②RANKL

③破骨細胞

正解は②でした!

【解説】

がん細胞によりRANKL分泌が亢進し、破骨細胞の活性化がおこり、骨がもろくなり、骨折するなどの骨関連事象がおこる。

デノスマブはRANKLに対する抗体として、RANKLと破骨細胞の受容体との結合を抑制する。

 




問21 マルチキナーゼ阻害薬はどれか。

①クリゾチニブ

②ソラフェニブ

③エルロチニブ

正解は②でした!

【解説】

①誤。クリゾチニブはALKチロシンキナーゼを阻害し、ALK陽性の肺がん細胞の増殖を抑制する。

②正。ソラフェニブはVEGFR、PDGFR、Rafなど多くのチロシンキナーゼを阻害する、マルチキナーゼ阻害薬である。他にスニチニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブなどがある。

③誤。エルロチニブはEGFRチロシンキナーゼ阻害薬であり、肺がん、膵がんに使用される。

 

 

薬理学の問題選択に戻る

他の科目選択(TOPページ)

[no_toc]

 

PASSMED公式LINE、はじめました。

薬単病単の無料演習が可能です♪

友だち追加

 

★CBTの対策・勉強法については以下の記事をご確認ください。

薬学部CBT対策で押さえておきたい勉強法!合格率99%でも油断大敵

続きを見る

成績優秀者は「薬学生プレミア」で就活を

理想の就職を実現したい方に

  • 登録はCBT・国家試験等の模試で「B判定」以上の方限定
  • 薬剤師国家試験合格を前提とした就職活動
  • 成績優秀者は有利な条件(年収、勤務地、福利厚生等)を引き出すことが可能

薬学生プレミアは手厚いサポートで就活におけるミスマッチ・失敗を最小限にできる理由があります。

\登録者全員にプレゼント/

調剤・ドラッグストアの初任給や残業時間・年間休日日数・住宅手当・奨学金サポート有無などの比較表

成績優秀者ではなくとも就活は有利にできる!

薬学生アープの特徴

公式サイト:https://passmed.co.jp/success/

 

★薬学部の就活については以下の記事をご確認ください。裏技的な必勝法を伝授します。

要チェック!
薬学生の就活に大事な心構えなどを解説!失敗しない必勝法もあります。
薬学部の就職活動は楽じゃない!就活必勝法と主な就職先の年収は?

続きを見る

  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他 【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。 今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。 お問い合わせ・家庭教師の依頼

-薬理