薬理

薬理学:内分泌系(20問)

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問1 ヒドロコルチゾンの薬理作用として誤っているものはどれか。

①血糖値の低下

②胃酸分泌の亢進

③免疫抑制作用

正解は①でした!

【解説】

①誤。ヒドロコルチゾンは、糖質コルチコイド作用により、肝臓での糖新生促進、インスリン感受性低下による末梢組織での糖利用低下により血糖値は上昇する。

②正。胃酸分泌亢進作用に加え、プロスタグランジンの合成抑制作用により、胃粘液分泌が低下する。

③正。NF-κBを抑制してサイトカインの産生を抑制し免疫抑制作用を示す。感染のリスクが上昇するため、吸入薬では吸入後にうがいが必要になる。

 

問2 糖質コルチコイドの受容体が存在する場所はどこか。

①細胞膜

②細胞質

③核内

正解は②でした!

【解説】

糖質コルチコイドなどのステロイド受容体は細胞質に存在し、ステロイドが細胞膜を通過した後、細胞質のステロイド受容体と結合し、核内へ移行してmRNAの転写を促進する。

 

問3 ペルオキシダーゼを阻害して、甲状腺ホルモンの生成を抑制するのはどれか。

①チアマゾール

②レボチロキシン

③リオチロニン

正解は①でした!

【解説】

①正。チアマゾールは甲状腺ペルオキシダーゼを阻害して、IからIの生成を抑制することにより、チログロブリンのヨウ素化を阻害して、甲状腺ホルモンの合成を抑制する。

②誤。レボチロキシンナトリウムはチロキシン(T)製剤であり、核内の甲状腺ホルモン受容体と結合して、mRNAの転写を促進する。基礎代謝の亢進、代謝亢進、β受容体増加作用を示す。

③誤。リオチロニンナトリウムはトリヨードチロニン(T)製剤であり、作用時間はTと比較して短いが、作用強度はTが優れている。末梢でTはTへと変換され作用するためTはそのまま作用することができる。

 

問4 子宮平滑筋を収縮させ、分娩を誘発するものはどれか。

①リトドリン

②ピペリドレート

③オキシトシン

正解は③でした!

【解説】

①誤。リトドリンは子宮平滑筋のアドレナリンβ受容体に作用して、子宮平滑筋を弛緩させて、切迫流産や早産の防止に使用される。

②誤。ピペリドレートは子宮平滑筋のムスカリンM受容体を遮断して、子宮平滑筋を弛緩させる。切迫流産や早産の防止に使用される。

③正。オキシトシンは、下垂体後葉から分泌されるホルモン製剤で、子宮平滑筋に作用して律動的(リズミカルなイメージ)に子宮を収縮させることで、分娩を誘発する。

 

問5 エストラジオールの作用で正しいものはどれか。

①子宮平滑筋のオキシトシン感受性を低下させる

②骨吸収の促進する

③子宮内膜を増殖させる

正解は③でした!

【解説】

①誤。エストラジオールは子宮平滑筋へのオキシトシン感受性を高める。

②誤。骨吸収抑制作用を持つ。閉経後の女性では体内のエストラジオール分泌量が低下するため、骨吸収が亢進的になり骨密度が低下して骨粗しょう症のリスクが上昇する。

③正。子宮内膜を増殖させ、月経周期において重要な役割を持つ。

 




問6 腎での水再吸収を抑制するのはどれか。

①トルバプタン

②バソプレシン

③デスモプレシン

正解は①でした!

【解説】

①正。トルバプタンはバソプレシンV受容体を遮断して、腎集合管での水の再吸収を抑制し、尿量を増加させる。ループ利尿薬で効果不十分な心不全に使用される。

②誤。バソプレシンは下垂体後葉から分泌され、V受容体に作用して腎集合管での水の再吸収を促進し、抗利尿作用を示す。

③誤。デスモプレシンはバソプレシンの誘導体でありV受容体への選択性が高く、中性尿崩症の治療に使用される。

 

問7 リュープロレリンの臨床における使用目的に沿った薬理作用はどれか。

①タンパク質同化作用

②GnRH受容体脱感作

③プロラクチン分泌抑制

正解は②でした!

【解説】

リュープロレリンは、反復投与によりLH-RH受容体を脱感作(発現量を減らすこと、ダウンレギュレーションとも)させ、ゴナドトロピン分泌を抑制する結果、エストロゲン、アンドロゲンの分泌を抑制する。

投与初期には一過性の下垂体-性腺系刺激作用(フレアアップ現象)が現れる。

 

問8 アンドロゲン受容体遮断薬はどれか。

①メテノロン

②フィナステリド

③フルタミド

正解は③でした!

【解説】

①誤。メテノロンはタンパク質同化(合成)作用を持つ合成ステロイド薬である。ドーピング禁止薬物に指定されている。

②誤。フィナステリドは、5α-還元酵素Ⅱ型を選択的に阻害して、テストステロンからジヒドロテストステロンの変換を阻害する。AGA(男性型脱毛症)の治療に用いられる。

③正。フルタミドはアンドロゲン受容体を遮断して前立腺がんの治療に使用される。

 

問9 エストロゲン受容体遮断薬はどれか。

①アナストロゾール

②クロミフェン

③クロルマジノン

正解は②でした!

【解説】

①誤。アナストロゾールはアンドロゲンをエストロゲンへと変換するアロマターゼを阻害することでエストロゲンの合成を阻害する。閉経後乳がんに使用される。

②正。クロミフェンは視床下部のエストロゲン受容体に拮抗して、エストロゲンによる負のフィードバックを阻害し、Gn-RHの分泌を促進する。その結果、下垂体からFSHとLHが分泌され、卵巣を刺激して排卵が誘発される。

③誤。クロルマジノンは合成黄体ホルモン製剤で抗アンドロゲン作用を示し、前立腺がんや前立腺肥大症の治療に使用される。

 

問10 カルシトニンの作用機序として正しいものはどれか。

①血中Ca2+濃度低下作用

②血中Ca2+濃度上昇作用

③骨吸収促進作用

正解は①でした!

【解説】

カルシトニンは、骨吸収の抑制、Ca2+やリン酸の再吸収を抑制して血中Ca2+濃度低下作用を示す。骨粗しょう症の治療薬として、カルシトニン製剤であるエルカトニンがある。

 




問11 3-βヒドロキシステロイド脱水素酵素を阻害する薬物はどれか。

①メチラポン

②トリロスタン

③ゴナドレリン

正解は②でした!

【解説】

①誤。メチラポンは11β-水酸化酵素を阻害して、ヒドロコルチゾンの合成を抑制する。

②正。トリロスタンは3-βヒドロキシステロイド脱水素酵素を阻害してアンドロゲンやヒドロコルチゾンの合成を抑制する。

③誤。ゴナドレリンは、下垂体からのLH分泌を促進する。下垂体LH分泌機能検査に使用される。

 

問12 副甲状腺ホルモン製剤はどれか。

①テリパラチド

②エルカトニン

③ビカルタミド

正解は①でした!

【解説】

①正。テリパラチドは副甲状線ホルモン(パラトルモン)製剤であり、骨吸収促進、Ca2+の再吸収促進、リン酸の再吸収抑制、活性型ビタミンDの生成を促進させる。間欠的投与により、骨吸収作用よりも骨形成が促進され、骨折リスクの高い骨粗しょう症に使用される。

②誤。エルカトニンはカルシトニン製剤であり、骨吸収の抑制等により血中Ca2+濃度を低下させる。

③誤。ビカルタミドはアンドロゲン受容体遮断作用をもち、前立腺がんに使用される。

 

問13 経口投与で有効な男性ホルモン製剤はどれか。

①メチルテストステロン

②テストステロン

③エストラジオール

正解は①でした!

【解説】

①正。メチルテストステロンは合成男性ホルモン製剤であり、肝臓で分解されにくく、経口投与が可能である。プロピオン酸とエステル化をすることにより、持続的な作用が期待できる。

②誤。テストステロンは天然の男性ホルモンであり、消化管吸収は良好だが肝臓で不活性化されるため、経口投与では使用されない。タンパク質同化作用や男性化作用を持つ。

③誤。エストラジオールは天然の女性ホルモンである。肝臓で初回通過効果を受ける為、経口では用いられない。他に天然の女性ホルモンとしてエストリールがある。作用強度はエストラジオールのほうが高い。

 

問14 Gn-RH受容体拮抗作用をもつのはどれか。

①ゴセレリン

②プロチレリン

③ガニレリクス

正解は③でした!

【解説】

①誤。ゴセレリンはGn-RH受容体を刺激し、反復投与により受容体の脱感作を起こして、ゴナドトロピンの遊離を抑制する。

②誤。プロチレリンは甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)であり、下垂体からのTSHとプロラクチンの放出を促進する。

③正。ガニレリクスはGn-RH受容体を遮断して、ゴナドトロピンの分泌を抑制する。リュープロレリン、ゴセレリンと違い、受容体を遮断するので一過性のゴナドトロピン分泌作用はおこらない。

 

問15 プロピルチオウラシルの作用機序はどれか。

①甲状腺ペルオキシダーゼ阻害

②11β-水酸化酵素阻害

③プロラクチン分泌抑制

正解は①でした!

【解説】

①正。プロピルチオウラシルは、甲状腺ペルオキシダーゼを阻害して、活性型ヨウ素の生成を抑制し、甲状腺ホルモンの合成を抑制する。

②誤。メチラポンは11β-水酸化酵素を阻害して、ヒドロコルチゾンの合成を抑制する。

③誤。テルグリドは、下垂体のプロラクチン分泌細胞のドパミンD受容体を刺激して、プロラクチンの分泌を抑制する。

 




問16 組織特異的にエストロゲン受容体を遮断するのはどれか。

①タモキシフェン

②エチニルエストラジオール

③デュタステリド

正解は①でした!

【解説】

①正。タモキシフェンは乳がん組織のエストロゲン受容体を拮抗し、抗エストロゲン作用により乳がんの進行を抑制する。子宮内膜組織ではエストロゲン受容体を刺激するため、子宮体癌や子宮肉腫を起こすことがある。

②誤。エチニルエストラジオールは、合成卵胞ホルモン製剤であり、血中のテストステロン濃度を減少させ、前立腺がんの進行を抑制する。

③誤。デュタステリドは5α-還元酵素を非選択的に阻害して、テストステロンからジヒドロテストステロンの変換を阻害する。前立腺肥大症に使用される。

 

問17 合成黄体ホルモン製剤はどれか。

①テストステロンプロピオン酸エステル

②ラロキシフェン

③クロルマジノン

正解は③でした!

【解説】

①誤。テストステロンプロピオン酸エステルは、合成男性ホルモン製剤であり、プロピオン酸とのエステル化によって持続的作用を示す。

②誤。ラロキシフェンは骨のエストロゲン受容体を刺激して、骨吸収抑制作用を示すが、乳腺や子宮ではエストロゲン受容体に拮抗するため、乳がんや子宮体癌増悪のリスクは少ない。

③正。クロルマジノンは合成黄体ホルモン製剤であり、アンドロゲン受容体でアンドロゲンと拮抗する。

 

問18 副腎皮質ステロイド製剤の作用として正しいものはどれか。

①ナトリウム排泄作用

②骨形成促進

③眼圧上昇

正解は③でした!

【解説】

①誤。ステロイド製剤は鉱質コルチコイド作用により、Naを貯留させKを排泄する。

②誤。腸管からのCa2吸収抑制によりパラトルモンの分泌が亢進し、骨吸収が起こる。タンパク質異化促進作用により、骨基質のタンパク質を分解する。

③正。眼圧の上昇を引き起こすため、ステロイド性点眼液を使用する場合は最低限度にとどめる必要がある。緑内障に対しての副腎皮質ステロイド薬の投与は、点眼・内服は基本的には禁忌と考える。

 

問19 酵素を阻害することにより、甲状腺機能亢進症の治療に使用されるのはどれか。

①プロプラノロール

②チアマゾール

③放射性ヨウ素

正解は②でした!

【解説】

①誤。プロプラノロールは甲状腺機能亢進症でおこる振戦や頻脈などの症状改善を目的として使用せれる。

②正。チアマゾールは甲状腺ペルオキシダーゼを阻害して、甲状腺ホルモンの合成を抑制し、甲状腺機能亢進症の治療に使用される。

③誤。放射性ヨウ素(131I)はβ線を放出して甲状腺を破壊し、甲状腺機能亢進症を改善する。

 

問20 成長ホルモンの作用として誤っているものはどれか。

①血糖値低下

②骨形成促進

③タンパク質同化作用

正解は①でした!

【解説】

成長ホルモンは肝臓でのグリコーゲン分解促進作用により血糖値上昇を示す。骨形成促進、タンパク質同化(合成)作用により、身体の成長を促す。

 

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  • この記事を書いた人

木元 貴祥

【保有資格】薬剤師、FP、他 【経歴】大阪薬科大学卒業後、外資系製薬会社「日本イーライリリー」のMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。 今でも現場で働く現役バリバリの薬剤師で、薬のことを「分かりやすく」伝えることを専門にしています。 お問い合わせ・家庭教師の依頼

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